対策室本部 Ⅱ
ツィート中@utamaumiです♪( ´▽`)
よろしければどうぞ笑
☆
p.m7:00 inいわなみ
カテゴリーBの群れをあらかた浄霊し、残りを二人の隊員が倒そうとしていた。
悪霊が逃げたこの地下通路は2030年完成予定の『いわなみ』通路で辺りは工事中の機材や重機が散乱としていた。
足場は悪いが工事用の柱が多く、カテゴリーBからの攻撃から身を隠すスペースが多いことが救いだった。
「お前今何体目だ!?」
「Bが1体、Cが14体だ!」
隊員達の声が張りつめる中、女性隊員が残存勢力の確認に入る。その隙に男性隊員たちは柱の陰に身を潜めた。
「んー、Bが1つとCが17つほどいますね」
そう言う彼女のヘルメットには特殊なゴーグルがついていた。
悪魔、悪霊は一般の霊感の無いものには視認することはできない。視野を悪くするこのゴーグルをつけなければ、彼女たちはそもそも戦うことはできないのだ。
しかし、彼女はこのゴーグルが気に入っていた。
「だって、結構かっこいくない!?」
2人の男性隊員たちが彼女を奇怪な目で見つめる。そんなものはお構いなしと言わんばかりに自分の世界にはいる彼女を尻目に、2人の隊員は少しばかり息を吐く。
「しっかし、これで俺の方が一歩リードだな。今夜はお前の奢りで飲みにでもいくか」
「まだ残りを倒せば先輩がおごることになりますよ?気を抜かないでください」
と、言った矢先、1体のカテゴリーCが今発言した男性隊員を襲った。同じく柱の影に隠れていたらしい人型の黒い悪霊が、隊員の胸を貫こうと腕(?)を振りかぶった瞬間、
「ビシッビシ、パスッパシュッ!」
女性隊員が身につけていた2丁の拳銃が火を吹いた。
ウォォォ、と掠れた洗濯機が上げる声を出しながらカテゴリーCはそのまま消滅した。
「ちょっと気を抜かないでくれる?あなた達今夜は私に奢りなさいよね!」
おっかなびっくりの男性隊員を見ながら彼女は残りの討伐に向かった。
☆
「ふぅ・・・終わったな」
カーン、とショベルカーのアームを力無く蹴った。もう一度ゴーグルをつけ、辺りを見回す。カテゴリーCもBも見当たらなかった。
ゴーグルを外し、無線で本部に連絡を入れる。
「こちら、対策室デルタ1。カテゴリー掃討のため本部への帰還を要請する。場所はいわなみ予定通路だ」
その様子を見ていたもう一人の隊員がヘルメットを外し、簡易コーヒーを差し出してきた。
「お疲れ様っす。・・・こんどは負けませんよ!今日は私が彼女の分まで出しますよ」
コーヒーを飲みつつ、「そりゃあ、ありがてぇな」と笑った。
いわなみ通路の広い空間のなかでその笑い声が異様に響く。
ふと、彼女の方を向くと上の空で考え事をしているようだった。何かあったのだろうか、そんなことを考えつつ彼女に問う。
「どうした?何かあったのか?」
すると、彼女は眉を顰め周りを見回して答えた。
「その・・・カテゴリーFって・・・いました?」
・・・・その時、静まり返った現場に刃物のような物で金属を斬る甲高い音が聞こえた。
「急いで本部に連絡!通路周辺に非常事態宣言だ!」
言い終わるや否やゴーグルをつけ、周辺の確認に移る。先程音がした方向を見ると、そこには何もいなかった。
「おいッ、お前も早くゴーグルをつけろ!」
もたもたしているもう一人の隊員を怒鳴りつけると、ヘルメットを被りながらその隊員は苦笑する。
「先輩、そんなに本気になってどうしたんです?こっちには3人もいるんだからそんなに・・・・」
急に若い隊員がしゃべらなくなった。代わりに聞こえたのは、シャッという何かが斬れた音だった。次いでボトッ、ズシャッという何かが倒れる音がした。
辺りを警戒していたもう一人の隊員は、彼が喋らなくなったことに気づいていなかった。
そのことを気づかせたのは若い女性隊員の悲鳴だった。
「キャ、キャーーッ!ど、どうして、なにが?」
女性隊員が彼を揺するが動く気配は全く無かった。女性隊員が息を確認しようと顔に手をやろうとするが、あることに気がつく。
「顔が・・・顔が、な、ない」
あるのは首から下のみだった。男性隊員が慌てて周囲を確認する。
「おいッそんなことはあとだッ!本部に連絡!陣形を乱すなッ」
そう言って彼は彼女の腕を掴み柱の影まで連れて行った。彼女は震える指で通信をONにする。
「げ、現在、カテゴリーFの攻撃を受け隊員1名が死亡。し、至急応援を願う。」
先程までの勇ましい彼女の姿はどこにもなかった。あるのはか弱い一人の少女だけだった。
このままでは全員が死んでしまう。そう考えた男性隊員は彼女と背中合わせになり、
「お前だけでも逃げろ!ここは俺が抑える!お前は地上に出て本部と合流しろ!」
と言い、彼女だけでも逃がそうとした。
女性隊員は何か言いたそうな雰囲気だったが彼の迫力に負け、「し、死なないでください」と言い残し去って行った。
しかし、カン、カン、カンと段々遠ざかる足音がピタッと止んだ。
聞こえたのは先ほどと同じ何かが落ちる音だった。男性隊員はいよいよ不安になり、大声で狂気に叫んだ。
「何が、何がどうなってるんだァァァァッ」
ライフルを連射し、跳弾のたびに火花があたりを明るく照らす。
広大な空間に男の叫び声と銃の連射音が響く。
マガジンすべての弾を撃ち終え、男性隊員が息を上げ腰を落とした。
ドスンッ、半ば崩れるように地面に座る。もう意味をなさない拳銃を持ちながら、周囲を見る。
「な、何なんだ、今のは、・・・何がどうなってんだッ」
緊張と疲労と不安で精神崩壊を起こす寸前だった。その時、脂汗で視界が霞む中、男性隊員の目に突然1人の少女・・・が見えた気がした。
「な、何だ、今のは!?」
その少女らしき物体はすぐに消えた。・・・しかし、男性隊員はそのすぐ後ろに気配を感じた。音も無く近寄る物体に彼は半ば狂気だった。
ガチッガチッと弾の無くなった拳銃が虚しく音を上げる。
「も、もう、やめてくれ!な、何なんだお前はァ!」
男の声が木霊する中、少女らしき物体が始めて声を発する。
「私?私は早無紫姫。15歳高校1年生よ」
しかし、その声が男性に届くことはなかった。
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最近貧血気味なの、血は出したくないよね笑
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