ORDER_11.[因果応報(クライムエフェクト)]
[Fab-11.Sat/16:15]
ズシャ、と鈍い音を立てて仰向けに倒れるシズカ。打ち上げたカナタはカナタで、左腕の激痛に限界が出てきたのか、傷口を押さえつけたまま、その場に膝を突いた。
「ハァ、ハァ……」
「……、大丈夫、ですか、時津さん?」
「かか、カナタ!だだだ、大丈夫!?」
チドリは太股を、ルネィスは腹部を押さえながら、それでもカナタに歩み寄りながら肩に手をかける。ムッ、と顔をしかめながら二人は顔を見合わせるが、どうして二人がそんな表情をするのかがカナタには分からない。
「……とりあえず、この呪符を傷口に当てておいて下さい。治癒用の呪符で、持っているだけで自然治癒力を高めます。宗教防御も必要ありません」
「まま、待ってて下さいね!いぃ、今、かかカナタの守護天使による回復術式を組み立てます故に!……あの、私の日本語、合ってます?」
「……いや、僕はいいから。っつか、僕よりお前らの方が重傷なんだから、先にお前らが回復しろ」
やはり一般人を巻き込んだ負い目が、自分より優先すべきは、という事だろうか。カナタは漠然とそう考えながらも、怪我をする事には慣れているので、女の子二人を優先させたい。
やや疲労困憊しきったカナタは、ある程度は治っているらしいが再び傷が開きそうな勢いで騒ぎ立てる二人を何とか宥めていると、
「にゃ、はは……本当に、君達は面白いわねぇ」
「……シズカ」
カナタ、チドリ、ルネィスは軽く身構えながら、仰向けに倒れたまま、淡々と語る。
「にゃはっ、そんなに身構えなくてもいいわよ。顎を穿たれて身体は動かないし、何よりチドリちゃんと真正面から戦う気はないしね。にゃはは。……本当に、あたしのシナリオは、見事に殺されちゃったわね」
「まぁ、これでも一応、神殺槍だからね、僕は」
「???」
意味が分からない、と言わんばかりに眉をひそめるシズカだが、考えても無駄と判断し、再び話を軌道に戻す。
「……雷撃殲手は、『暁の星』を復興させる為に、追跡不可に運ばせた。……ルネィスならこの意味は分かるわよね?」
「暁の星?」
「何なんですか、それは?」
シズカの含む様な呟きは、カナタとチドリの頭にクェスチョンを浮かべさせた。ルネィスは小さく咳払いをし、説明を始める。
「え、えぇと……あ、暁の星と言うのはですね、い、英国の魔術結社でした。……ろ、『薔薇十字団』の流れを汲む『英国薔薇十字協会』、ささ、さらにそこから派生したのがゆ有名な『黄金の夜明け団』、つつつ通称G∴D∴(ゴールデン・ドーン)、更にそこから枝分かれしたそ、組織というのが、『A∴O∴(アルファ・オメガ)』、『銀の星団』、『聖黄金の暁教団』、そして『暁の星団』となります」
「あぁ、聞いた事があります。確か解散……というか壊滅した組織ですよね。理由は内部分裂でしたっけ?」
「は、はい。ぁあ、『暁の星団』はな内部分裂を起こし、りり、『立方石教団』と『内光協会』のみ、三つに分かれました。じゃ、弱体化した組織の行く先は、大抵が消滅と決まっています」
「なるほど。その復興の為に、雷撃殲手を入手する必要があった、と。神の奇跡を利用した霊装なんて所持しておけば、それだけで組織間のパワーバランスは軽く変動しますからね」
「げ、現代風に言えば、かか核兵器みたいなものですから」
「シズカがA∴O∴式の魔術を使っていた事で、情報部は油断しましたね。暁の星とは親戚みたいなものですし、似た術式を行使出来てもおかしくはないですし。この事はきっちりと報告書に書かなくてはいけませんね」
「な、何にせよ……雷撃殲手は奪われてしし、仕舞った訳ですが……」
「あぁ、それは――」
「ストーップストップ!ちょ、もう少し親切なお話し合いを致しましょうお二人とも!ここに話についてけてない除け者が一人いますよー!」
今まで黙って二人のやり取りを聞いていたカナタだが、流石に我慢が出来なくなって挙手する。何というか、電波が飛び交うってこんな感じなんだろうなー、と思う。
「ようするに、小さな組織が潰れたんでその復活の為に強力な兵器を所持しようとしている、という事です」
「で、です」
「……分かりやすい説明ありがとうと言いたいトコだけど、何かお前ら、僕を激しく馬鹿にしなかったか?」
カナタが睨み付けるが、二人は聞く耳を持った様子もなく、左右からシズカの身体を支えて起こしていた。
「……分かっちゃいるのよ。どんな理由があろうと、一度潰れた暁の星を復興させる事が、間違っている事ぐらい」
ポツリポツリと語り出すシズカは、壊れた眼鏡を外し、虚ろに呟く。
「でも……あたしは、罪人だから。だから、いくら脱会した身とは言え、上からの命令には逆らえないのよ」
「……罪人?」
「まぁ、色々あってね。日本人なのに西洋の秘密結社にいるってのが、気に障ったみたい。濡れ衣を着せられて試罪法にかけられたのよ。あたしの背中に刻まれた烙印、見たいなら見せてあげるけど?」
試罪法とは、罪人が罪人である汚名を無理矢理こじつける魔女裁判の事だ。
例えば、罪人として疑惑のある者に、焼けた火箸を握らせる。もし神の加護があれば火傷を負わず、火傷を負えば神の加護を受けていない者……つまり、罪人とされる。もし火傷を負わなくても、それは悪魔の加護があるからだと難癖をつけられて、罪人とされる。どんな過程がそこに存在しようと、結論は変わらず、試される事自体が罪とされる裁判方式なのだ。
そこにどんな過去があるのか、WIKに所属している水鳥シズカしか知らないチドリとルネィスは、想像もつかない。
「……ですが、どんな理由があろうと、貴女に懲罰が下る事に変わりはありませんよ」
「……にゃはは。うん、分かってる。別に抵抗なんかしないわよ」
「ですが……残念ながら、今は報告書に記述するすべはありません」
「は?」
チドリは、隻眼を優しく細め、シズカを見つめる。
「人の記憶なんて曖昧なものです。血を流せば流した分、薄れる。ですから、そこに間違った情報を記載して仕舞うのも、また人間の性でしょう?ねぇ、ルネィス」
「そそ、そうですね。たた例えば、内通者・水鳥シズカは、ぁあ、暁の星の残党に精神暗示をかけられていた気がしますし、追跡不可との戦闘時には追跡剣で戦ってくれました!」
「えぇ、そう言えばそうでしたね」
二人は、顔を見合わせて含み笑う。そんな無邪気な二人を見て、シズカは端麗な顔を、紙を丸めた様にグシャグシャに歪めた。
「う、ぁ、うぅう、くぅっ……」
目尻に涙を溜め、それでも抑えようとしているシズカ。チドリとルネィスは、丸まった背中をさする様に優しく叩く。
(……う〜ん……一件落着、でいいのか?)
完全に除け者で邪魔者で蚊帳の外に放置プレイされたままのカナタは、どこか釈然としないものを感じながら、右手で後頭部をポリポリと掻く。このまま蚊帳の外じゃ、蚊に刺されて大変だ。
というか、何か重大な事を忘れている気がする……。
「って、そうだよ!えっと、その雷撃殲手?って奴!追跡不可に取られたまんまだけど、追いかけなくていいのか?」
「……あ、そそそ、そう言えば」
カナタの言葉に、ルネィスの表情が曇る。今、この場にいる人間はカナタも含め、既に戦う事も追う事も出来る者はいない。
何とも言えない微妙な空気が流れる中、あぁ、とチドリは今更の様に、しかしわざとらしく声を漏らす。
「それなら大丈夫ですよ。強力な増援を呼んでありますから」
飛びっきり強力な助っ人ですよ、とチドリは付け加え、先程よりも自信ありげに含み笑うチドリに、決定的な事に気付いた三人は訝し気な表情を浮かべた。
[Fab-11.Sat/16:30]
(ふふフ、フ。ふハ!逃ゲ、られタ。あの眼帯の強敵かラ、私は逃げられタ!くヒ、ふふふあははははハ!やっぱり私は追跡不可ダ!誰も私を捕まえる事なんか出来やしなイ!)
人混みにも拘わらず、ニタリと凶悪な笑みを浮かべた追跡不可は、胸元に下げられたペンダントを撫でる。それはテンプル騎士団の印章であると同時に、彼女が生み出した即席魔術『表裏切換』。
コインの表を向けて付ければ人を寄せ付け、逆に裏を向けて付ければ人を避ける。ハーメルンの笛吹き男の逸話をモチーフに生み出した、彼女オリジナルの術式だ。
(やっぱリ、あぁいう真っ直ぐな子と戦うにハ、人質を取るのが一番よネ!あっはハ、弱い弱イ!誰モ!誰も私を捕まえられなイ!私は最強の運び屋なのヨ、くくひはふははひひひひははははははははハ!)
どれだけ不気味に嗤おうと、今はコインは裏を向いている。周囲の人々は『何故か追跡不可の事を気にしない』様に、暗示をかけられているので、不審がられる事はない。
誰も気にしない、大勢の人間に囲まれて尚、彼女は本当の意味で独りだった。
(くフッ。だかラ、どうだってんのかしらァ?人間の意志なんてたかがペンダント一つで自由自在、寂しい時ァ表にすればイイだけの話なのよ――!)
心中で嘲笑する追跡不可は、ふと、背後から何者かが尾行ている事に気付いた。いや、尾行という表現は適切ではない。尾行とは、姿や気配を隠して追跡する事だが、背後を狙っている誰かは、まるで自分の存在に気付けと言わんばかりに殺気を抑えようとしていない。
(……どこの誰だか知らないけド、どうやら喧嘩を売られてるみたいだかラ、ここは親切に買ってあげまショ)
先程の魔術師らの仲間だろうか。眼帯の少女との戦いで少し体力を失っている追跡不可だが、彼女は自らの身が危うければ危うい程、自分の存在理由を確認する。連戦だとか知った事か。
追跡不可は近場の路地裏に入り込み、誘う。もしこれで追って来る様なら楽しめるし、追って来ないならただそれだけの臆病者というだけの話だ。
そして、新たな追跡者が追って来た事に、追跡不可はニタリと笑みをこぼす。
薄暗く狭い路地を抜けた先は、ポッカリと異質に開いた空間だった。四方をビルに囲まれて出来た、一辺八メートル程度の正方形の隙間。夕暮れの光すら射し込まない、光のない深海の様な世界は、まさに彼女にふさわしい舞台だった。
ザリ、と追跡不可は追跡者に背を向けたまま、立ち止まる。唯一の退路を塞がれ、この困難をどう切り抜けるものか、その快感はどれ程のものかを想像して恍惚で不気味な笑顔を浮かべたまま振り返ってみれば、
「ッたく、こちとらまだ完全に魔力が回復した訳じャねェのに救援頼まれて、顔も名前も知らねェ奴捜せッてマジで脳味噌にウジ湧いてンぞアイツ。しかも自分の失敗失態の尻拭いとなッちャやる気も出ねェけどアイツに負けた俺にャ拒否権なンざねェよ?あァねェさ悪ィかよクソッタレがよォ。ンで仕方ねェからクソダリィ身体に鞭打ッて街ン中かけずり回ッて逃げてる臭ェ不審な魔術師見つけてさァさァさァ、どこの馬鹿でクソッタレな大馬鹿野郎が俺をつまンねェ事に巻き込みやがッたそのクソ馬鹿野郎をブチ殺して憂さ晴らししよォと思ッてたらよォ、」
前も後ろも横もお構いなしに肩にかかる程長い銀の髪を垂らし、隙間から垣間見える爛々と光り輝く金の双眸、口元は熱したナイフでバターを斬り裂いた様に一直線に引き延ばした唇、そして影の様な漆黒の服を着た、身長一三〇強の少年の様な『何か』がそこにいた。
「そこにいンのは馬鹿みてェなゴミが一人。――ッてェ、テメェは俺をナメてやがンのかァ!?雑魚なら雑魚ッて最初から言えよ誰もワザワザ出向いたりしねェンだよ迷惑なンだよテメェみてェなクソッタレはよォ!」
「ヒッ……!!」
そこにいたのは、生前は魔導博士とまで謳われた魔術師であると同時に、現在は最強最悪の鬼と呼ばれる存在、白鬼夜行。
白い肌や銀の髪は闇の中にいて尚映え、ひきつる様な不気味な笑顔は追跡不可に向けられていた。
(ナッ、白鬼夜行ですっテ!?どド、どうしてそんな奴が私なんかの前にいるって言うノ!?)
彼はどうしてこの場面で追跡不可なんかが出てきたのかと嘆いていたが、追跡不可にしてみればその言葉をそっくりそのまま返してやりたかった。
それは、根本的にスケールの違う話だ。例えるならば、子供の喧嘩を止める為に大陸弾道ミサイルを打ち込む様なものであり、たかが一魔術師である追跡不可の元に白鬼夜行が現れるというのは、何かがズレているという次元の問題ではない。
(逃ゲ、逃げ場ハ!?一刻も早くこの場から逃げなキャ!)
追跡不可は必死に周囲を見渡すが、ここは袋小路だ。唯一の退路は、白鬼夜行の背後にしか存在しない。いつもの『遊び』が、今回は完璧に裏目に出て仕舞った。
(どウ、すれバ……ッ!?)
「おい。グチャグチャ考えてる暇があンなら、ちッたァ俺を悦ばせる事を考えやがれ。こちとらテメェみてェなブタの為にわざわざ出向いてやッたンだからよ」
ズドン、と。大気を震わせる程に強烈な一歩を踏み出す白鬼夜行。ピギバギと地面を砕き、深度五〇センチ・直径三メートルはあろうクレーターを作り上げた様子を見て、追跡不可は心臓を握り潰された様な錯覚に陥る。
「ク、フ、うァ、アアアアアアアアああああアアアアアアアア!来、るなァァァああア!」
錯乱しながらも手慣れた手つきで即席槍を組み立てた追跡不可は、白鬼夜行めがけて槍を放った。避ける暇すらなく白鬼夜行の右肩を穿ち、ドス黒い血を撒き散らす。
その光景を、撃った本人こそが信じられない様な光景を見て、追跡不可は呆然から笑顔へ表情を豹変させた。
「ア、はハ?ふハ、あっはははははハ!貴方でさえも反応出来ないみたいネ、私の槍ハ!きカ、降参するなら今のうちヨ?!」
「……ァあ?」
つまらなそうに、さして問題ないと言わんばかりに、貫かれた右肩に視線を向けた白鬼夜行は、ユラリとした動きで追跡不可を見据える。
「何だァ、こりゃ?攻撃したつもりか?」
フン、と鼻を鳴らし。何事もなかった様に、白鬼夜行は歩きだした。
「……グ、止まレ!」
「止めてみせろや」
間髪入れずに答える白鬼夜行に、追跡不可は下唇を噛み締め、槍を放つ。
ドチュブチャグチャビチュメキザシュビシャ。聞いているだけで吐き気を催しそうな音が響き、右腕右胸右腹部右足左脚左腹部左胸左肩を貫かれ、ビチャビチャと夥しい量の血を流しながら、
白鬼夜行は、ほんの少しも歩調を緩める事なく、ただ無表情のまま歩いて距離を詰めていく。
「……ア、エ?」
「……温ィよ、テメェ。そンなンじャア俺を止める事なんて一〇〇〇万年経ッたッて不可能なンだよ」
やがて。
タトン、と。白鬼夜行の軽やかな足音が、追跡不可のすぐ目の前で聞こえた。行灯陰陽の様に超高速で移動した訳ではなく、ただユラリユラユラと水面の波の様な足取りで歩んでいただけなのに。
追跡不可が、距離を詰められた。それはその瞬間に、追跡不可という存在意義を失ったと言ってもおかしくはない程に、致命的な事だった。
「――ハ」
「イイか、よォく見てろ。攻撃ッてェのァこうやンだよ」
言葉と同時に、血飛沫を撒き上げながら、白鬼夜行の一撃が閃光の様に追跡不可の腹を穿つ。ズドゴギン、と堅い何かが砕ける様な音が宵闇に響き、鎧を貫通して追跡不可の肋骨や鎖骨、筋繊維を悉く破壊し尽くし、それでも飽き足らないと言わんばかりにまるで台風に煽られる様に吹き飛ばされた。
ベゴンと激しくビル壁に叩きつけられ、身体中の骨が砕けた様な激痛が迸り、意識混濁した追跡不可はそれでも白鬼夜行に視線を向ける。軽く足をあげた白鬼夜行を見てようやく、蹴られたのだと気付いた。
決して何らかの魔術を使った訳ではない、ただの蹴り。しかも両手はズボンのポケットに入れたままの不安定な一撃でこの破壊力。
(カ――ヒッ、――勝てる訳、ないじゃなイ、こんナ、こんな化け物を相手ニ!)
恐怖が全身を支配する。地面に崩れ落ちながら見上げた先には、地震の亀裂の様に引き裂かれて焼け爛れた笑みを浮かべた白鬼夜行が、悠然と立っていた。
「やッぱ駄目だわテメェ。つまンねェや。とりあえず死ンどいた方がイインじャねェの?」
軽く、ザリ、と白鬼夜行が右足を引く。蹴りの予備動作を見て背筋に氷を当てられた様に震えた追跡不可は、弾かれた様に立ち上がり、白鬼夜行の脇をすり抜けて逃げ出した。
「ぃヒ、嫌!たス、助けテ!死にたくない死にたくない死にたくなイ!」
脇目も振らずに走り出す追跡不可。普段の彼女らしくはない余裕のない逃走は、
「クフカハヒヒャ!何だ何だァなァンなァンですかァッてかァ!?みッともなく涙浮かべて涎垂らしてケツ振ッて、誘ッてやがンのかッつゥのテメェはァ!」
ほんの刹那も間隔を開けず、追跡不可の右側を平行する様に追い付いた白鬼夜行相手に、無駄に帰した。
「どうせ狩られンならズル賢い女狐になれや!喰われるだけの雌豚で進化止めてンじャねェぞオイ!」
右の拳を、旋回する際に竜巻の様な轟音を轟かせ、一閃。追跡不可の背中に突き刺さる様な壮絶な一撃は、雷撃殲手の入ったリュックもろとも追跡不可を破壊し吹き飛ばした。
ゴロゴロと地面を転がり、白鬼夜行はやはり一瞬で距離を詰める。
朦朧とする意識の中、追跡不可が最後に見た光景は。
いつの間にか、金色から緋色に変わった、白鬼夜行の双眸と。
「アッハハヒャカヒャ!俺の胃袋で腐り果ててろッつゥのブタ!」
振り上げられた、小さな拳。
断末魔の悲鳴をあげる気力も体力も暇もなく、全てを破壊し尽くす拳が、振り下ろされた――。