プロローグ アテナ様(そこそこミリオタ)
アテナのメモ帳
充は航空主兵論者。
艦載機の中ではF/A-18Fが一番好き。
視界に差し込んでくる光が眩しい。あと痛い。全身が痛い。全身をプロボクサーにぶん殴られてるくらい痛い。おっかしいな〜、死んでも尚痛みを感じるってどういうことなのかなー。
(あぁクソ痛ってえな...。なんで死んでも痛みが引かねえんだよ...。ていうかなんで死んだはずの俺が普通に思考できてんだよ...。ていうか普通に己の肉体あるしよぉ...。)
視界が回復し周囲を見渡してみると、どういう理由か神殿のような場所に居た。ただ、神殿というには少々異質すぎるものが見当たるのは気の所為か。どういうものかというと...
・天井には業務用のデカいエアコンが設置されている
・壁にはクソデカモニターが設置されている
・あとどういう理由か盾がショーケースに入れて飾られている
・ショーケースの周囲にはイージス艦(しかも現状世界で運用されているすべてのイージス艦)のプラモデルが飾られている
・あと光の正体がシャンデリアとかではなくLEDライト
ほんとに何ここ。意味分かんないよ。なんでイージス艦のプラモデルがあるの?なんでエアコンがあるの?なんでモニターでWBC2023の映像流れてるの?まじで意味分かんない。
まあこんな感じで混乱していると、奥の部屋から一人の女性が出てきた。よく見ると、頭の上にはフクロウが乗っている。何あのフクロウ怖いんだけど、めっちゃこっち見てるんだけど。
「あら?ここに死者の魂が流れ着くとは珍しいですね...本来であれば冥界で裁きを受け、エリュシオンかタルタロスに送られるはずなのですが...」
「え〜と...初対面ながら失礼を承知で聞きますが、その...どちら様でしょうか...?」
「あぁ...これはこれは、失礼いたしました。私の名はアテナ。知恵、戦略、戦争、工芸を司るオリュンポス十二神の女神です。では、あなたの名を教えてもらえますか?」
「え〜と、おr...私の名前は結月 充です。日本で社畜やってました」
「社畜...ですか」
アテナ様が困惑したような表情を浮かべる。フクロウは相変わらずこっちを見ている。怖い。
「その社畜とは一体...?」
「あー...えっと、会社に飼われて徹底的に労働させられ搾取されている、いわば奴隷のようなものですね」
「なるほど...つまり、社会の底辺のような扱いを受けていると」
「あってますけどだいぶ心がえぐられるのでヤメテ?」
いやぁ、仰る通りなんですよね〜。殆ど人として扱われてないというか〜。あんな会社さっさと滅んでしまえと言うか〜...。というかだいぶ話がズレてる気がするんですが気の所為でしょうか。あとフクロウが俺を憐れむ目でこっちを見てるんだけど。なんだてめえ。
「あら、話が逸れてしまいましたね。では、話を戻して...」
「はい」
「充さん、先程からあなたの目があちらのプラモデルに向かっておりましたね。もしかして、軍事関連にお詳しいのでは?」
「まあ、趣味程度には...失礼ながら、アテナ様もそういう趣味がおありで?」
「もちろん、私は戦いを司る神なんですから。しかし、最近の武器の発展には目を見張るものがありますね!特にB-2やB-21なんかの全翼機、あれはデザインの新鮮さもさることながら、高いステルス性と実用性を兼ね備えていてとても好きな機体なんです!」
「なるほど...?で、その軍事に詳しいのと何か関係がある話なんですか?」
「ええまあ、そうですね...。充さん、話の前に一つ、質問をよろしいでしょうか?」
「いいですよ」
「では...あなたは、異世界に転生したいですか?」
異世界に転生したいか、かぁ...。まぁ生意気なガキの頃に多少の憧れてたな。異世界に転生して軍事系のチートスキルで無双して伝説の英雄になって...みたいなアホみたいな妄想ばっかりしてたなぁ。
なんてこと考えていたが真面目に考えてみると、転生すれば地獄にも天国にも行かずに新しい人生を歩むことになる。ちょっとだけ怖いところもあるけど、この短すぎる人生だと後悔もあったし、これを機に満足いく人生を目指して、もう一度生きてみようかな
「...はい。是非、異世界に転生させてください」
「その答えを聞けて良かったです。では、話に戻りましょう。まず、転生するに伴い、あなたに特別技能「物資召喚」と私の加護を授けましょう」
「特別技能とアテナ様の加護...なんだか凄そうですね」
「まあ、凄いかどうかは今から説明する内容を聞いてから判断してください。まず、あなたに授ける特別技能の内容ですが、大まかに二つ。一つは前世での軍事組織で運用、あるいは計画されていたありとあらゆる物を召喚することができます。これらは、銃火器、車両、航空機、艦船などの装備品から防弾着や個人装備、工具、食料などの備品などを召喚することができます」
まぁ、そこらへんは予想通りだった。正直よくあるような内容だからなぁ、兵器召喚とかに落ち着くのは仕方ないんだろう。ただ、計画段階の物も召喚できるのは少し意外だな
「そしてもう一つは、あなたが考えた装備品も召喚することができます。細かい構造を設定できていなくても、召喚時には最適な構造になっているので安心してください」
「自分が考えたものを召喚...ですか?」
「えぇ、そうですよ。例えば、あなたの実家の部屋の物置にあったこのノートに描いてあるこの翔龍型原子力航空母艦も召喚できま「どのタイミングでそのノートを取り出したんですか一体!?」ついさっきです」
知らぬ間に俺の黒歴史ノートが取り出されてるんですが。なんですか、前世の俺はプライベートなんてなかったってことですか。てかフクロウが迷惑そうな顔してこっち見てるんだけど。ごめんよ、いきなり大きな声出しちまってよ。
...あれ、良く考えてみたらだけどさ、もしかして自分だけの艦隊が作れるんじゃない?
「...まぁ、スキルの内容は今説明した通りです。ですが、このスキルには欠点もありまして...」
「欠点、ですか?」
「はい。その欠点の内容が、召喚する物品が大きいほど、体への負担も大きくなるんです。例えば、M4カービンなど、銃火器を召喚した程度では特に体への負荷はないのですが、M1エイブラムスほどの車両を召喚すると目眩が発生し、MIM-104などの大型兵器を召喚すると半日は寝込んでしまうんほどの負荷がかかるんです。さらに、オリジナルの兵器だった場合は更に負荷がかかるんです。ただ、これに関しては体を鍛えたりすることでどうにかなるので、適度に運動すれば過度な問題にはならないかと思います」
「なるほど...それで、アテナ様の加護というのは?」
「それは簡単に言うと、状況に応じた最適解を導き出せるようにする、というものです。ただ、この最適解というのは、場合によっては仲間を失うようなものになる可能性もあるので、参考程度に留めておくといいかもしれません。分かりましたか?」
「ええ、良く分かりましたよ」
とりあえず、俺はスキルと女神様の加護を持った状態で転生する。転生したあとは自由に生きてやろうじゃないか。そして、今度こそ満足いく人生を歩んでやる。
そして、いずれは俺だけの大艦隊を創ってやる!
「フフッ ではそろそろ転生の儀式を行いますので、そこの台に横になってください」
「あ、はい。よいしょ」
「では、はじめますね...
我らの主神に求む。楽園、地獄のいずれも向かうことの叶わなかった一つの哀れな魂を、十二神アテナの名の元に救い給え。」
そうしてアテナが詠唱を終えると、俺の視界が真っ暗になった。




