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ふわふわのやつ

作者: さち


仕事が休みのある日。


昼寝でもしようかとベッドにゴロリと横になった。

明日からの仕事やあれやこれやを考えるのに頭の後ろで手を組んで天井の隅を見た時だ。

………ソレを見つけた。



小さな灰色のモヤのようなモノ。

大きなホコリのようなソレはかすかに動いているように見えた。


「ん〜?…ホコリ?でも、ホコリっぽくないな。え〜?」


一人でブツブツ言いながらずっと見つめていると、だんだん白っぽくなって塊になってきたように見える。



ふわふわ…



モヤモヤ…



「なんだ〜?」

そう言っている間に少しずつ近づいてくる。



「えっ?何!?なんでこっちに来んの!」

そのモクモクした何かは足元まで来ていた。



「ちょっ!ちょっと待てよ!!何これ!?」

慌てて足を引っ込める。


しかし、ソレはドンドン近づいてくる。


「おいおいおい!なんでこっち来んだよ!!」


少しずつ大きくなるソレはベッドの隅で小さく体育座りをした俺に迫る。


「いや!無理無理!!怖いって!!」


ベッドから慌てて降りて窓を開ける。





ざぁーーーー。





雨上がりのヒンヤリした風が部屋に思いっきり吹き込んだ。


背を向けていたソレの方を慌てて向く。





「……あれ?いない?」


ベッドの半分くらいまで大きくなっていたソレは跡形もなく消えてしまった。


ベッドの下も風呂場もトイレの便器もシンクの下も洗面所もありとあらゆる所を探したけど、何もなかった。


「……え〜?なんだったんだ?おかしいなぁ。」


寝ぼけていたわけではない。


酒も飲んでいない。


もちろん何か薬を飲んでいたわけでもない。







ただ、全てを確認して窓の外を見た時。




ふわふわと浮かぶそいつが遠くに風に乗って飛んで行くのが見えた…………気がした。








滅多に吸わないタバコに火をつける。

モクモクと燻らせた煙の行き先を見上げるとくっきり浮かぶ虹が見えた。



何だかこの煙がまたあのふわふわのやつになりそうな気がして俺は慌てて火を消した。





「………掃除でもするか。はぁ。」




俺は潔癖とまではいかないがマメに掃除するようになった。




そういやあのふわふわのやつがいなくなった後、ちょっと綺麗になってたんだよな。

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― 新着の感想 ―
ちょっとコワくて、でも何だかほっこり感もあって。  確かに少し不思議なお話しでした♪  (※感想を一度削除して、再投稿してます)
実家のふわふわ(と云うかもさもさ)だった猫も、家具の隙間とかの自動掃除機だった……。
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