暖炉がある家
儂はサンタクロース、今東の島国の上空で暖炉がある家を探していた。
暖炉があると言っても金持ちなんかでは無く、庶民の暖炉のある家を探している。
最近の先進国と言われている国々はエアコンを装備している家が多く、暖炉がある家が見当たらない。
去年この国より暖炉がありそうな南半島国でプレゼントを配ろうと、暖炉がある庶民の家を探す。
あったと思って暖炉の煙突から家の中に入ったら、罠だった。
人相の悪い男たちが待ち構えていて持っていたプレゼント全てを奪われる。
プレゼントを奪われ家から叩き出された時に、「儂が持っていたゲーム機なんかでは無く、もっと素朴なプレゼントを用意しなくてはならないが、隣の貧乏国に行けば良かった」と愚痴を零す。
零した愚痴に儂を家から叩き出した男の1人が返事を返して来た。
「隣の国に行って捕まったらもっと非道い目にあった筈だぞ」
「どういう事だ?」
「隣の国の独裁者の豚親娘に捕まったら、プレゼントを奪われたあと俺たちみたいにポイされず、トナカイを人質にされて「来年もっと豪華なプレゼントを持って来い、持って来たらトナカイを開放してやる」って言われるだろう。
それで来年プレゼントを持って行くと、餌代が掛かるから剥製にしといたって言われ、剥製にされたトナカイを渡されるのさ」
「それでは独裁者に見つからないようにして庶民の下に行こう」
「それ、もっとヤバい」
「何故だ?」
「隣の国民見たことあるか?
ブクブク太っている豚親娘と正反対に、骨と皮だけだと思えるくらい痩せ細っているんだ。
豚親娘が国民の分の食料まで食い尽くしているからな。
だからそんな国民に捕まったらあんたとトナカイは文字通り骨の髄までしゃぶり尽くされ、そのまま行方不明になるからだよ」
「…………」
それで儂は大陸側の国々にプレゼントを配るのを止め、この東の島国で暖炉がある家を探しているのだよ。