左に見えますのは《死期ノ世界》でございます
タイトルの表現が降りてきたので、書いてみました。
R-15は保険です。
それでは、どうぞ。
あちこちが痛い。
事故に遭った瞬間までは覚えている。
救急車に乗せられて、病院まで連れられている。
「身体が投げ出されたみたいだな。これはもう無理かも………」
救急隊員がそう呟いたのが聞こえた時、意識が遠退いていく。
何で
俺はここで
死なきゃいけn………
▪▪▪
『さて、左に見えますのは《死期ノ世界》でございます』
女性の声が聞こえた。
………俺は死んだのか?
目を開けると、何かに乗せられているみたいだ。
『あら、また一人お目覚めですかね』
さっきの声がした。
声を出そうとしても声が出ない。
『そこの貴方、声を出そうとしても無駄ですよ。もう死に人なのですから』
……そうか、死んだのか。
そのうち、ぼんやりとした景色がハッキリと見えてきた。
どうやら、バスみたいだ。
座席には誰も座っては居ないようだが、気配はする。
多分、霊か何かなのかな。
………と言うことは、俺もそうなってるって事か。
それと、さっきから聞こえている『声』。
一番前の席から、聞こえているようだ。
そこには、白装束を着た女の人が居る。
……あの世の案内人か何かだろう。
そして、バスが走っているのは川の畔。
もしかして、これが三途の川か。
疑問に残るのは、どうして『バスに乗っているか』だ。
『……あら?この乗り物に疑問を持っている方がいらっしゃるのね』
気持ちが分かるのか、案内人が言った。
『あの世と云うものには、幾つもの《死期ノ世界》と呼ばれる世界がございます。今運ばれて居る方々の《死期ノ世界》の霊界主は、下界の乗り物がどうも好きとの事で、特別に造って貰ったそうです』
………なんか、霊界主にもいろんな人が居るんだな。
『……あと私は、その霊界主の側近の1人でございます。死に人の霊をこの乗り物に乗せて、船まで連れていくのが仕事です』
バスが止まった。
目の前に、船がある。
………あれで、あの世に行くのか。
『私の案内はここまでとなります。……それでは、良き《死期ノ世界》生活を』
読んで頂き、ありがとうございました。