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古(いにしえ)の最強魔導人形となった僕  作者: ユウヒ シンジ
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目覚めて出会って 7

「助かったぁ~、君も頑張ったね」

「いえ、僕がもっと詳しく説明していたらこんなに厳しい状況にはならなかったんじゃないかと・・ごめんなさい」


まあ、直接見てないから詳しく説明できるわけがないのだけどね。


「そんな事ないわよ。君も辛い思いしているのに良く頑張ったわ」


姫様が僕の頭を撫でながら微笑み掛けてくれた。

でも辛い思いってなんだ?


『最初の会話から推測すると、ゼロ様は魔物のゴブリンに連れ去られて性的乱暴をされたと思われているようです」


え?

ゴブリンって女性を襲うの?


『はい、繁殖目的ではありませえんが、ゴブリンという魔物は性的欲求が他の魔物に比べて高いようで、頻繁に他種族に対して性的暴行を行う事が一般的に知られています』


なるほど・・・・・ん? 繁殖目的でないの?


『はい』


つまりそう言う事をされてもゴブリンが他種族に子供を産ますことはできないと?


『はい』


でも、僕って竜だって産めるって・・・


『はい、性能上はゼロ様なら可能ですが、このミネルヴァがそんな因子が入ってきましたらナノ級にて排除いたしますのでご安心を』


ナノ級って言うのは良く分からないけど、ミネルヴァさんありがとうね。


『いえ、当然の事です』


この世界の事まだ目覚めたばかりの僕としてはミネルヴァさんに当分の間、おんぶに抱っこだ。

頼りにしてますミネルヴァさん。

とはいえ自分もなるべくならそう言う状態に出くわさない様に気をつけよう。


「君? どうかした?」


レイさんが僕の顔に自分の顔を近づけ覗き込む様に聞いてきた。

おお、こうして間近でレイさんを見るとこの人も、たいがいに美人だ。

ちょっと意識してしまうじゃないか。


「レイ!」

「は、はい!」

「そんな事聞かなくて良いの! 辛い事は思い出させなの!!」

「あ、あぁそうでしたすみません」


やっぱり僕の事ゴブリンに襲われたんだと思っているんだ。

でもどうして?


『それは簡単です。今、ゼロ様は全裸ですから』


ああ、そうか。

ゴブリンに襲われて身包み剝がされたと思われて・・・・・・・・そうだった!!

僕、裸だ! 忘れてた!!


「ど、どうしたの!? どこか体を痛めた?」


突然しゃがみ込んだ僕の異変に気付いて姫様が隣に一緒に座り込んで背中を摩ってくれた。

優しい人だな。

それよりずっと裸で平気な顔をしていた僕の事おかしな子だと思われたんじゃない?

すると姫様は僕の前に膝を付いて座る。


ギュ・・・


「あ、」


温かい姫様の腕が僕の頭を囲った。

良い匂いがする。

何だろう凄く安心する。

女性にこうやって抱きしめられるとこんなに気持ちが和らぐんだ。


「少し思い出したのね。大丈夫よ。この私フィリア・プラハロンドがあなたを守ってあげるから」

「姫様! またそうやって簡単に約束されるのは困ります!」

「あら。レイはこの子を放り出せと言うの?」

「そ、そうではありませんが、一国の姫様であるフィリア殿下というお立場をお考え下さいと言っているのです」

「そんな事くらい分かっているわよ。でもそれでも見捨てたりは出来ないわ!」

「はぁ、でもどうするのです? この子を連れて国外まで向かうのは無理ですよ? 直ぐに追手に見つかってしまいます」


追手? 誰かに追われていたのだろうか?


「姫様、誰かに追われているの?」


僕は特に考えもせずに聞いていた。


「え? ま、まあね。う~ん・・・・・・・仕方ないわ。今回は断念しましょう」

「左様ですか」


団円? 姫様の顔がちょっと暗くなった。

けど、レイさんの顔には安堵の表情がでてた。

? 


『推測。フィリア殿下は何らかの事情で国外に逃亡もしくは亡命を望まれているのでは? それがゼロ様を守ると言われた事で一緒に行動を共にする事となりそれが足枷になったという事ではないかと。そしてその逃亡か亡命についてはレイ殿は止めて欲しかったのでゼロ様の事は好都合だった、と』


なるほどね。

それなら何となく分かるけどそれって僕が原因で姫様は目的を諦めたってことだよね?


「姫様、僕の事で何かしなきゃいけない事を諦めないでください」


僕は抱きしめられている腕の合間から顔を覗かせ、姫様に思っている事を言った。


「!! な、なんて優しい子なの!! 自分の方が辛い想いをしているって言うのに、私の表情が暗くなった程度でこんなに心配してくれるなんて・・・・レイ!!」

「は、はい!!」

「この子は私が、私個人が保護します!!」

「はっ!」

「後、城に戻り次第このダンジョンにゴブリン討伐隊を派遣します! こんな可愛い子に乱暴するゴブリンは完全消滅してもらいます!!」

「え?」

「聞こえなかったの?」

「いえ、聞こえましたけどそれはちょっと・・」

「何? 不満なの?」

「いえ! でも国王様が許可するとは・・・それに他の殿下方も反対されますよ?」

「良いわよ! 文句があるなら掛かって来なさいって!」


凄い勢いで捲くし立てる姫様。

その間も僕をずっと抱きしめ続け、むしろその抱きしめ具合はどんどん強くなっていった。

なんだか思ってもみない展開になって来ているんだけど良いのかな?


『よろしいのでは? 今のところ何かあてがある訳でもありませんし、保護されてみてはいかがですか?』


確かに。

外に出て何かする事があるわけじゃないし、実際この丸裸の姿で外を歩けるかって言ったら無理だし、ちょうど良かったのかも・・・


こうして僕はフィリア姫様に保護される事になった。


・・・・・・・あ、魔導人形だって言ってなかったけど良かったのかな?

読んでいただきありがとうございます。

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