サマンサはノイドに助けられる
次の瞬間、キン!と刀を弾く音が聞こえた。
「っ!!」
動けず固まっているサミーの前に、警備隊の制服を着た大きな背中が見える。どうやら、警備隊員が暴漢の一振りを抑えてくれたらしい。さらにはサミーが一歩も動けずにいる間に、取り押さえてしまった。そして、彼は捕縛しながら顔をあげ
「大丈夫ですか?サミー?」
と、サミーに声を掛けたのだ。
「ノ…イドさん…」
その日は、どうやって帰ったのか記憶がおぼろげだ。サミーは近くの詰所で事情聴取を受けた後、ノイドに付き添われて家まで帰って来た。ような気がする。さらには、ノイドは精神的にも被害のある事件だったとし、被害届の写しを職場に出し、一週間ほどの休みを取るようにと指示して来た。そして、サミーの様子を確認すると、ノイド自ら非番である今日、王立植物研究所に被害届を出してくれると申し出てくれたのだ。さらにはバイト先にも1週間休む旨を伝えてくれると言ったのだ。
結局サミーはノイドに申し訳ないと思いつつも、あまりの恐怖と疲労感から申し出を受け入れることにした。そして、自宅に着くなり、何もせず、ベッドに倒れ込んだのだった。