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第4話 母親との出会い

看護師の瑠美さんとの会話の後。

この世界について想いを馳せていると、しばらくしてから病室の扉が勢いよく開かれた。


「優ちゃんっっっっ!!」


そう叫びながら俺に抱きついてきたのは、やはり記憶には無いがこれまた美女だった。

黒髪ロングの20代にしか見えないが、恐らく俺――倉部(くらべ)優成(ゆうせい)――の母――倉部(くらべ) 朱梨(しゅり)――なのだろう。

と言うのも、先ほど瑠美さんが母親に俺の状態を連絡したら「直ぐに行く」と電話を切られたと言っていたからだ。

ちなみに母の名前はその時に瑠美さんに教えてもらった。


「よかった……!!無事で本当によかった……!!」


恐らく母親であろう彼女は、目に涙を浮かばせながら俺のことを心配してくれている。


「か、母さん……?落ち着いて……?」


「?! い、今母さんって言った…………?うん……そうに決まってる。私が優ちゃんの言葉を聞き間違えるはずが無いもの……」


何かとても恐ろしい気配を感じたが、俺は努めて勘違いだと割り切る。


「い、言ったよ?母さんでしょ?」


そう言うと、母さんは、何かを思い出したような顔をした。


「そっか……優ちゃんは記憶喪失なんだっけ……」


「うん。そうなんだ。瑠美さんが伝えてくれたんだね。」


「そうよ。電話でその事をを聞いたときはどうなるかと思ったけど、見た感じ大丈夫そうで安心したわ。」


そう言って母さんは俺の頭を優しくなでる。


――そういえば、この世界の俺はどんなやつだったんだ?俺もこの世界の男みたいな性格をしてたんだろうか。

でも、それにしては母さんとの関係がいいのが気になる。この世界の男なら、母親に対しても横暴な性格をしてるって瑠美さんが言ってたし。


「母さん。聞きたいことがあるんだけどいい?」


「うん!いいのよ。何でも聞いて!」


母さんの反応を可愛いと思いつつ質問をする。


「記憶喪失になる前の俺ってどんな感じだったの?瑠美さんは、男は大抵横暴な態度だって言ってたから心配になって……。

今の俺はそんな態度とりたくないし、もしとってたなら謝りたいなと思ったんだけど……」


そう俺がいうと、母さんは愛しいものを見るような目で俺を見つめながら教えてくれた。


「優ちゃんは良い意味で変わってる子って言われていたわね……。

 普通なら他の男性みたいな性格になると思ってたんだけど、

 何故か男女(みんな)に優しい子でね。顔も良いからモテモテだったわよ。

 でも、私を母さんとは呼んではくれなかったわね。」


「そうだったんだ……安心したよ悪いやつじゃなくて。」


すごいな。この世界の俺。普通なら横暴になってもおかしくないのに。

後やっぱり他の男より顔が良かったのは安心。別に顔だけが全てじゃ無いけどね。


「まあ……そのせいで入院することになったんだけど……」



「え?それはどういうこと?」



「実は…………」






――――なるほど。やはり俺は優しいやつだったんだな。

しかしまさか女同士の喧嘩を止めようとして怪我したなんて……。

恥ずかしいが俺はよく頑張ったと褒めてやりたい。


「そうだったんだ。それで、その子たちはどうなったの?」


そう聞くと母さんはスッと真顔になった。

――――あ、これ聞いちゃだめなやつだな。忘れよう………………でも

どうなったんだろう……え、生きてる、よね?




――――この話は母さんが、一切口を開こうとしなかったため直ぐに終わりを迎えたのだった…………











###################################









「本当にあのデカイ建物がうちの家なの……?」


俺は前方に見える豪邸――前世でテレビで見た海外のセレブ程では無いがとても

デカイ家――を見ながら母に再度同じ事を聞いた。


「そうよ……やっぱり思い出せない?」


「うん……残念だけど……」


家を見ても思い出せないならやはり思い出すことは不可能なのだろう。

いや、逆に考えれば人生をリスタートするのだから思い出せなくて良かったかもしれないな。母さんには悪いが。

そんなことを考えている内に家に着いたようだ。


「無理に思い出そうとしなくてもいいわ。優ちゃんは優ちゃんだもの。」


「ありがとう。母さん。」


「いいのよ。じゃあ、行きましょうか!」


「うん!」


そうして二人で家の中に入った。

家の中は初めて見るがどこか懐かしい感じがしてとても落ち着く場所だった。

リビングへ行き、二人で休憩をしながら他愛の無いことを話す。

――たったそれだけのことなのにこんなにも心が温まる。家族は良いものだと改めて実感した。


「優ちゃん。お昼何食べよっか?出前でも取る?」


母さんとの話に夢中になっていたからか、いつの間にか昼になっていた。


「うーん、我が儘で悪いんだけど、母さんの手料理が食べたいな……なんて……」


「優ちゃんっっっっ!」


「ガハッ」


母さんの本気のハグ受けて、力を入れても身体が動かない。

この世界の女性の力は、男を凌駕しているということが聞かなくてもわかった瞬間だった。


「か、母さん。苦しいよ……」


「もう優ちゃん可愛すぎるよぉ~。」



そんなこんなで母さんとイチャつきつつ、楽しんで食事をしていた時、

家の玄関で気になった事があったのを思い出したので聞いてみることにした。



「母さん、そういえば気になった事があったんだけど、聞いてもいい?」


「うんうん。どうしたの?優ちゃん♪」


「ははは。機嫌良いね。」


「もちろん♪」


「えっとね、勘違いかもしれないんだけど……玄関に母さんが履く靴と違う感じの女の子の靴があったんだけどあれって?」


「あ~あの靴ね。あの靴は私のじゃなくて優菜の靴よ。」


「優菜?」


「そう。優菜。優ちゃんの妹よ。」


「妹?!」



――――まさかの今世では妹がいるようだ。































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