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第34話 「いわイワ岩Rock」

外からの光が届かなくなる付近まで慎重に進んでみる。


奥へと進んでいくにつれて、ひんやりとした空気が強まってくる気がする。


それに加え、どんどん天井が高くなっていく。


……ここまで来るのに一本道だったな。


洞窟といえば、何本かの道に分かれていることがあると聞くが。


「ん?」


そう考えたのもつかの間、二つの分かれ道が現れた。


どっちの道も特に違いはなかった。


〖鑑定〗でもう一度やってみるが、相変わらず、アイテムはどっちも『範囲外』のようらしい。


……どっちに行ったらいいんだろうか。


念を押して、地面に転がっている石を両方の道に向けて投げかけてみる。


どっちも反応といったものは返ってこない。


うーん……目から得られる情報はこれ以上ないようだし、考える時間がもったいない。


とりあえず入ってみて様子を見てみることにする。


そう決め、右側の道に入っていく。


―――――――ふむ。


確かに足は前へと進んでいる。地面のデコボコを踏みしめた時に伝わる感触もある。


しかし、周囲の景色に変化がない。


どこを見ても、いわイワ岩Rock。


そのため、同じ場所をぐるぐると回っているだけではないだろうか、と思ってしまう。


それだけ何の変哲もない道だった。


……やがて。


「おっ」


やっと景色に変化が起こったと思った矢先、そこには小さな宝箱が一つポツンと置かれていた。


その箱の周囲は、妙に整えたような地面になっておりそれがまた不気味さを染み出す。


宝箱を、〖鑑定〗で見てみると。


『“パワーアップ”が封入されています』


このような表示だった。


パワーアップ。


それってアイテム、なのか?


……宝箱の奥は、行き止まりになっている。


ひとまず、行き止まりの所に寄ってみる。


「……」


くまなく調べてみたが、隠し扉とかそういう類の仕掛けはなかった。


となると、この箱しかないわけだな。


「よし」


スキル〖鑑定〗を信じることにし、箱を開けることにした。


宝箱は、手のひらサイズの大きさ。


ほこりをかぶっているが、元々は豪華な箱だったのか。


火の光に反射して光っている黄金色の部分があった。


――――ゆっくり宝箱を開けてみると。


開けられた隙間から光が漏れ出す。


やがて視界を奪われるほどの強い光を放ったと同時に。


― 〖パワーアップ〗を習得しました ―


そんな声がしたのだった。


なるほど、アイテムではなくスキルだったか。


視界が鮮明になってきたとき、宝箱は既に消滅していた。


……習得したスキルを確認してみる。



〖パワーアップ〗


攻撃と魔力の基礎値に1.5倍の補正がかかる。



すかさずステータスを確認。



ハヤト 転生者 LV.14


HP: 248/248

MP: 95/95

攻撃:240(+1500)

防御:124(+1500)

魔力:167(+1500)

敏捷:154(+1500)



このようなステータスになっていた。


攻撃が、160から240に。


魔力も、111から167へとそれぞれ上がっていた。


1.5倍……つまり、基礎値が高ければ高いほど増加量も大きくなっていくということか。


地味にすごいな、この〖パワーアップ〗。名前は安直だけど。


あれこれ思考を巡らせながら、来た道を引き返すことにした。

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