第20話 「決定」
ひと悶着あったが、それが収まったころ。
「さて、“剣術”を学びたいとの事で……よろしければこちらを」
と、ディナルドさんは何やら何枚かの紙を渡してくる。
その紙はこの学校についての事柄が色々と記されていた。簡単に言えばパンプレットか。
「ひとつ質問いいですか?」
先ほどのあのドリル頭の女とのやり取りに気になる点があったので質問することにした。
「はい、なんなりと」
「……ここって“剣術”を学びたい、とかそういう理由でも入れるんですか?」
「ああ」
ディナルドさんは苦笑いを浮かべる。先ほどのやり取りに関してのことだと気づいたようだ。
「元々この学校には、そのような規則はないのですが。誇り高き“騎士”を目指す学校であるというイメージが根深く残されていまして」
ごほん、と咳ばらいをしてから。
「“騎士を志す者”のみがここを希望するべき、といった風潮が出来ているのです」
「はぁ、なるほど」
——風潮ね。入れるに越したことはいいが、ドリル頭の女は納得していない様子のようだが。
「それだけ“騎士”というものに誇りを持っているということでしょう。しかし、彼女はもう少し……いえ、過ぎた話でした」
俺の疑問に答えるかのようにそういうディナルドさん。
……今は、そのことに触れない方が良さそうだ。
手に持っているパンプレットに目を落とす。
―――ふむふむ。パンプレットに書かれていたことを簡潔にまとめてみると。
・在学期間は“最長で5年、最短で1年”。
・1年の最後にある、実技と講義のテストを合格したらその時点で卒業可となる。
・希望があれば、残りの4年間で実技を磨くことが出来る。
このような仕組みとなっているらしい。
「ここに通っている学生は、最長である5年で実技を磨いて“騎士団”に入るのがほとんどですね」
騎士を志す者のみが入るべき、という風潮は思った以上に影響があるようである。
「“剣術”を一通り身に付けたいのであれば、1年もあれば充分ですよ」
「1年」
……1年か。魔法の方も学ぶとするとどうだろう。
「実技と講義の内容については?」
それからディナルドさんが説明してくれた内容から考えると。
“実技”は、その名の通り騎士になるために必須なスキル“剣術”を習得するために特訓をする。
“講義”は、騎士に必要な最低限以上の知識を蓄えるために受ける勉強のようなもの。
……だそうだ。
実技は良くても、講義が微妙な足かせになっている気がする。
「……ああ、もし講義を受けないのであれば“実技”で点数を取れれば卒業はできますよ」
「そうなんですか?」
こと如く、俺の思考を読んでくるなこの人。
「ええ。騎士になるのが目標であれば、どちらも欠かせません。ですが、“剣術”を習得したいというのであれば
“講義”を捨てて“実技”に集中するという方法もあります」
―――実際にその方法を取る人はほとんどいませんが。
ディナルドさんは苦笑いをしながらそう言った。
「……」
既に、その方法に惹かれていた俺がいた。
ここに来た目的は、騎士になることではない。あくまでも“剣術”を学びたいから。
だからその方法は今の俺にとってベストであるといっても過言ではない。
即断即決。
早速その方法を選ばせてもらうことにしたのだった。
後は、どうすれば目立たないようにできるか……だな。
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