第13話 「わざとやられた方が無難だと思ったんで……」
「っらァ!!」
俺の弁解も聞かずに、スキンヘッド男は俺に向けて突撃してくる。
肩を前に出して来る辺り、タックルと考えていいだろう。
しかも、地面の砂を舞い上がりながら近づいてくるため、威力もあると見ていい。
―――しかし。
「うーん」
タックルといえば、勢いと迫力が感じられるはずなのだが、この男からはそれが感じない。
もしかして、ただのタックルに見えて何か仕掛けてくるつもりか?
ひとまず、タックルを避けてみる。
……何ともない、か。どうやら本当にただのタックルだったようだ。
「……ッ」
ウォルと目が合う。
―――なんだ?
スキンヘッド男の顔が一瞬驚いたような。
「くそがッ!!」
方向を変えてまた、タックル。……タックルしかしてこないのは、わざとか。それとも本当にそれしかないのか。
いや、後者はないな。先ほどの冒険者達の反応からすると、相当強いはずだ。
「っ、ふさげるな……ッ!!」
避けてばかりの俺にうんざりしているのか、いきなり激昂する様子のスキンヘッド男。
「うぉおおおおおおおッ!!」
激昂したといってもタックルしてくる速さが変わったとかいうのはない。
避けようと思えば避けられる。しかし。
コイツに付きまとわれるのも困るしな。スキンヘッド男はプライドが高いと見える。
うん。これは甘んじて受け止めるしかないか?
「……ッ!」
迫ってくるタックルを、両腕できっちりガードする。
その時に俺の体に受けた衝撃は、すごかった。
流石レベル41。
「がはッ……」
わざとやられた声を出して。……俺は後ろに倒れる。
「ハァッ、ハァッ……! に、二度と顔見せんじゃねぇぞ!!!」
満足したのか、男は息を切らしながらこの場を去っていく。
何やら腕をかばっているようだったが……まぁいいか。
……
…………
「——よっ、と」
そろそろ姿が見えなくなる頃を見計らって立ち上がる。
砂がついているところを振り払って服装を整えておく。
― レベルアップしました ―
……倒してすらいないのに経験値をもらえるのか?
この世界の経験値システムはよくわからん。
—— 『偽装』を習得しました ——
偽装か。っていうかどっかで俺のこと見てるんじゃないだろうなこのシステム。
ハヤト 転生者 LV.12
HP: 210/214
MP: 76/76
攻撃:138(+532)
防御:107(+532)
魔力:90(+532)
敏捷:133(+532)
EXP: 407/1116
状態:通常
【固定スキル】
〖じゆう〗
敵意を向けられた回数に応じて能力値がアップする。
回数:532回
【パッシブスキル】
〖鑑定〗
相手のステータスを閲覧することができる。
〖サバイバル〗
自然の中で生きていくために必要な能力を得られる。
〖偽装〗
自分のステータスを隠蔽することができる。
うん、〖偽装〗は大抵想定した通りの効果だな。
――――あれ、回数が2回増えてるな。
……あぁ、スキンヘッドの男がぶつかってきた時と今の時と合わせて2回ってことか。
どうやら同じ人物でも回数にカウントされるらしい。
———よし、受付の所に戻るか。
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