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【完結済み】ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~  作者: 藤原キリオ
第二章 毒娘、王都デビューする

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47:毒殺屋ですが仲間にヒーラーが欲しいです



■ネルト 【ニートの魔女】 10歳



 ピーゾンは本当におかしな子だ。色んな意味でとんでもない。


 私を助けてくれた時からそう思ってた。

 山賊(偽)の住処で監視員を待っている時も暇だったらしくてポロリンと模擬戦やってた。

 ピーゾンがポロリンに指導をしているんだけど、とても十歳同士には見えない。


 ベテランが新人に稽古をつけているような。いや実際ピーゾンの方が冒険者としては先輩らしいんだけど、それにしたって素人目に見てもレベルが高すぎる。


 多分、ピーゾンに引きずられるようにポロリンも戦いが上手になっているんだろう。

 私は戦いの事なんてまるで知らないけど、これが新人離れしてるって事くらいは分かる。



 おまけにいきなり現れたダンジョンに一人で突入して魔剣手に入れちゃうし。


 私の周りに居た同年代の子供は孤児院の子たちしか居なかったから、初めて見る他街の子供だったわけだけど、それでも『変』だと言い切れるくらいの子だった。


 ……まぁ、私も十分『変』だって自覚はあるけども。



 その後、王都セントリオに着き、私は職業専門学校に行くつもりではいた。

 だけど食事の量が少なすぎて学校に通い続けるのは無理だと思った。

 それは確かに残念だったんだけど、実際は、ピーゾンとポロリンに惹かれていたんだと思う。


 自分とは全く違う同年代の子供。

 素人目に見ても規格外の強さを持った、私と同じ固有職(ユニークジョブ)の二人。


 私だって固有職(ユニークジョブ)になったからには早く強くなって、早く稼いで、孤児院に仕送りとかしたい。

 今まで育ててもらった上に散々迷惑かけちゃっただろうし。恩返しみたいな。



 ところが私の(ジョブ)は【ニートの魔女】というよく分からないものだった。


 私が自分で把握出来たのは<念力>で物を動かせるって事と、<グリッド>で透明の箱が出るってただそれだけ。

 専門家である管理局の人に聞いてもそれは同じ。


 <生活魔法>はありがたいけど、【魔女】の割には何とも地味で使い勝手の悪い(ジョブ)というイメージだった。



 それをピーゾンは独特の感性と考察力で新たな発見へと変える。


 話をしただけで、私の能力の可能性を探り、考察し、試させ、今後の危険性までをも示した。

 それには監視員も驚いたようで、逆に困ったような顔をしていた。


 さらに翌日、私の冒険者デビューと称して森に繰り出し、実際にスキルを使いつつ検証と訓練、実戦を行った。


 そこでもまた新たな発見がある。【ニートの魔女】の可能性が広がる。

 自分で発見するのではなくピーゾンに教えて貰うってのが、私としては何となく申し訳なく思ってしまう。


 自分の(ジョブ)、自分のスキルなのに、自分じゃ何も分からない。それが歯痒い。

 ピーゾンの発想力が私にもあればなー、と表情には出さずに落ち込んだりもした。


 でもピーゾンの真似しようとしても無理なんだけど。

 考えて答えを出すまでが本当に速いし、それが間違いだった試しがない。

 だから任せちゃう所もあるし、こっちも従っちゃう所でもあるんだけど。



 ともかくそうして見えてきた私の能力。

 確かに固有職(ユニークジョブ)ならではの稀有さだと()思う。

 ただ御伽話に出て来る【〇〇の魔女】のようにスゴイ攻撃魔法が使えるというわけではない。

 なんて言うか、すごく限定された【魔法使い】なんだと思う。



 <グリッド>で索敵は出来るが、遠くを探れるわけでもないし、一定方向を″透視″して視認しているだけ。

 <念力>も″魔力的な物理攻撃″のようなものだし、射程もなく属性攻撃手段もない。


 これではとても後衛専門の【魔法使い】とは言えず、かと言って前衛に立てるようなステータスもない。


 私自身の能力に対する疑念。

 これはピーゾンに色々と教えて貰った今でも残り続けている。



 六人パーティーの編成としてバランスが良いのは【物理アタッカー】【魔法アタッカー】【盾役(タンク)】【回復役(ヒーラー)】【斥候役】【その他】だと聞いた。


 ピーゾンは【物理アタッカー】、ポロリンは【盾役(タンク)】だ。

 私は【魔法アタッカー】を期待されていたはずだ。【〇〇の魔女】として。


 しかし攻撃手段が近・中距離の無属性攻撃である<念力>しかない状態で【魔法アタッカー】と呼べるわけがない。そもそも威力がそんなにないし。



 このままじゃまたお荷物だ。

 孤児院でもお荷物だったけど、せっかく入れてもらったパーティーでもお荷物確定。

 ピーゾンは別格、ポロリンも優秀。私がリストラされてもおかしくはない。


 ……とりあえず二人に付いて行くしかない。うん。特訓頑張ってレベル上げよう。

 幸い孤児院に居た頃から森で歩き回っていたから体力には自信がある。

 少しずつ成長して、ステータスを上げて、能力が開花する事を祈ろう。


 頼むよ<空間魔法>。頼むよ【ニートの魔女】。


 ……ニートって何なのか未だに分からないけど。




■ポロリン 【セクシーギャル】 10歳



 ネルトさんって本当にすごい。

 無表情だしあんまり喋らないけど、すごく頭が良いらしくて、ピーゾンさんの教えをすぐに実行出来ている。

 スキルに関しても、戦い方に関しても。


 やっぱ固有職(ユニークジョブ)とか得られる人って言うのは特別な人ばっかりなんだなーと羨ましく思う。


 ……ボクも固有職(ユニークジョブ)のはずなんだけどな。


 ……どうしてこんなに差があるんだろう。まぁピーゾンさんは別格だからいいんだけど。



 ともかくネルトさんが加入した事で戦術の幅が広がり、ピーゾンさんの魔剣も使えるようになったから殲滅力が上がった。

 何て言うか一気に強くなった感がある。


 ちょっと前までボクが守って倒してってやってたのが何だか懐かしくも感じる。

 まぁ守りに専念出来た方が盾役(タンク)としては正解なんだろうけどね。



 ボクたちは毎日のように森に行き、その大半は特訓に充てている。

 三人で交互に模擬戦したり、動きの確認や、魔物との実戦訓練も含めて色々と。


 ネルトさんも多少なりとも近接が出来た方がいいだろうと、ネコネコロッドを持って防御の練習とかもしている。

 魔力が切れて、ボクの守りを突破されたらお終いだからね。その保険として。



 ……かと言ってピーゾンさんの連撃を受けさせるのは、ハードすぎると思うんだけど。


 ……ボクならともかくネルトさん後衛だからね? ステータス的に。


 ……まぁネルトさんもネルトさんで、根性があると言うか、表に出さない闘志があると言うか、すごく頑張ってるんだけど。



 合間を見て採取したり、特訓後に依頼用の魔物を狩ったりと、一応毎日、冒険者としての活動もしている。

 本格的な冒険者活動とは言えないかもしれないけど今は訓練中心でいいとボクも思っている。


 固有職(ユニークジョブ)の冒険者ってそれこそ【唯一絶対(ザ・ワン)】に入ったとしても能力を自分のものにするまで時間かかるんだろうし、それに比べればピーゾンさんが居る今の現状はかなり早足なんだろうしね。



 そのピーゾンさんは特訓中心の今だからこそ、早めの足場固めがしたいらしく、こんな事を言い出した。



「今日ちょっと早めに切り上げて神殿行かない?」


「神殿? 炊き出し?」


「ああ、もしかして回復役(ヒーラー)探しですか?」


「そうそう」



 お母さんも言ってたなぁ。冒険者の回復役(ヒーラー)は元から少ないって。

 一般職の回復役(ヒーラー)でさえ少ないのに、ボクらの場合は固有職(ユニークジョブ)だからさらに勧誘するのは難しい。

 だから探すのなら神殿に行く方がまだ可能性はあるだろうって。


 出来ればパーティーに回復役(ヒーラー)は入れたいし、六人が揃う前、今のうちに探しておくのはいいかもしれない。

 ボクもネルトさんもピーゾンさんに同意した。




■ピーゾン 【毒殺屋】 10歳



 この世界は【起神フェルサムバル】が作り、その起神の下に【副神】が何柱も居るとされている。


 これを一神教と言って良いのか私には分からないが、このジオボルト王国で『神殿』と言ったら【起神フェルサムバル】を祀る【起神殿】しかない。まぁ密教とかあるのかもしれないけど。



 私たちが『職決めの儀』を受けたのもオーフェンの起神殿で、(ジョブ)を授けたのは【副神】である【職業神】であると言われている。


 神官さんが【職業神】にお伺いを立てて、決めて下さると。

 決めて下さった結果が【毒殺屋】ってどういう事ですかね? 提訴しますよ?



 王都セントリオにも北西寄りの中央大通り沿いに神殿がある。

 やはり王都にあるのだから王国で一番大きい神殿。

 観光名所になりそうな荘厳麗美な建物だ。

 高い鐘楼と一体になったような神殿。

 時折響く鐘の音は遠くまで澄んだ音を響かせる。


 私たちは南門から王都に入り、中央の冒険者ギルドでいつものように依頼報告と買い取りを終えた。その足で神殿に向かう。



 思えば王都に来てから観光らしい事はしていないし、そう言えば行きたかった共同風呂にもまだ行っていない。

 休みの日を作って色々と王都を巡ってみるのもいいかもしれない。

 少なくとも五年間は住むのが確定してるんだしね。


 そんな事を思いながら大通り沿いを三人で歩く。

 神殿の近くまで行くと、何やら人だかりが出来ているのが見えた。

 結婚式でもあったのか? それとも説法? 炊き出し?


 首を傾げていると神殿前に集まる人の声が聞こえて来る。



「おお! ソプラノ様!」「なんとお美しい!」「聖女様! ありがとうございます!」「見ろ! あの怪我があっという間に!」「素晴らしい腕前だ!」「さすが聖女様!」



 聖女? と頭を捻る私とネルトの横で、ポロリンが教えてくれる。



「ソプラノ様って例の【七色の聖女】様ですよ。ピーゾンさんも知ってるでしょ?」


「ああ、【七色の聖女】様か」



 オーフェンで図書委員さんとかポロリンのお母さんが言ってたね。

 国中を巡って治療する凄腕の回復役(ヒーラー)で、有名な固有職(ユニークジョブ)なんだとか。


 という事はその聖女様が王都に戻ってきているって事かな?

 興味本位で人だかりの中を覗いて見る。

 背が低いのでウサウサブーツの<跳躍強化>を使い、ピョンピョンしながら探してみる。


 ポロリンが「ピーゾンさん、恥ずかしいからやめて」とか言っているが、もう少しで見えそうなんだよ。



 お、あの人か?

 白と青の立派な神官服。修道服ではなくローブのようにも見えるが、立派なものだ。

 薄い水色の髪は長く、若そうな顔立ち。美人だね。

 柔らかな笑みで患者に接するその表情はまさしく聖女様。


 なるほど、この人が【七色の聖女】か……。




聖女様エンカウント。

国中を旅して回りつつ定期的に王都に戻って来ては治療の施しをしているようです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] つまり職業神様はポロリンのセクシーポロリンが見たかったと……
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