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30:囚われの少女三人ですが山賊の住処にいます



『モググググ!!』


「うるせーよ、だまってろ。で、ピーゾン、お前捕まってたんじゃねーのか? 俺が来るまでもなかったかな」



 アロークのおっさんは山賊たちを糸でまとめながら話して来る。

 固有職(ユニークジョブ)だとは思ってたけど【糸使い】か何かなのか。

 めちゃくちゃ強いじゃないのさ。スパイダーマッ!



「いや、抜け出せたはいいけど倒せないから困ってたんだよ。助かった、ありがと」


「んならいいさ。ポロリンは? あとこいつらの口ぶりだともう一人いんだろ?」


「無事だよ。中にいる」



 山賊を動けなくしてから、おっさんは私と洞穴の中に入った。

 手から離しても糸は残るのか……やっぱ強いな、それ。



「おっさんの(ジョブ)って【糸屋】?」


「おっさんじゃねーし【糸屋】でもねーよ。なんだよそれ、言っておくけど屋号みたいな(ジョブ)なんてお前だけだからな? 普通は【〇〇士】とかだから」



 私だけなのか、屋号なのは……まぁ『職決め』の前に調べたから知ってたけど。

 改めて言われるとがっくりくる。


 ともかくポロリンと少女も合流。

 ポロリンが「アロークさん!」と助けに来てくれた王子様に喜びを現していたが、残念、そいつは変質者だ。そしてお前は男だ。

 少女は特に感情も見せず突っ立っていた。



「嬢ちゃん、名前は?」


「ネルト」


「ネルト、ネルトね……ああ、やっぱそうか。王都に行くんだな?」


「ん」



 かくんと頷く少女――ネルト。

 なんかおっさんが紙束で調べてたけど、あれ固有職(ユニークジョブ)のリストかな?

 おっさんも一応(ジョブ)管理局の職員らしいし把握してるのかもしれない。


 で、ネルトは固有職(ユニークジョブ)だから王都に行かなくちゃいけない。

 んで王都に行く途中で山賊に捕まったと。一人で街道歩いて、ね……。



「ここからだとお前ら自力で王都行けって言っても無理だな。そうなると俺が連れて行くしかないんだが……荷物がなぁ……」



 そう言って後ろを振り返るおっさん。

 山賊七名生け捕りです。確かにお荷物ですね。



「一日二日、ここで待っててくれるか?」


「まじで?」


「おう。下手に動くよりいいだろ。魔物も来なそうだけど来たってお前らで殺れるだろ?」


「そりゃまぁ」


「食料だってこいつらのがあるだろうし、大丈夫だろ多分」



 保護する立場なのに適当なんだよなぁ。

 でもまぁおっさんの言い分も分かる。確かに山賊たちと一緒に行くのも足手まといだし、自力で行くのも無理だ。

 大人しく待ったほうがいいか。



「まぁ俺一人で行けば早いからよ、待っててくれ」


「了解」


「あ、こいつらの荷物で金目のものは貰っていいぞ」


「えっいいの?」


「山賊討伐したら討伐したやつが貰うのが原則だ。俺は職業柄貰えないしお前ら貰っとけよ。ま、迷惑料みたいなもんだ」



 よっしゃあああ!!!


 へっへっへ! こいつらどれくらい溜めこんでやがったのか楽しみになってきやがったぜ! へっへっへ!

 さあさあポロリン、ネルト、部屋に戻ろうか。

 お宝調査タイムだよ。



「お前、ホント現金な奴だな……」



 後ろから何か呟かれたけど気にしない。

 手をヒラヒラと振り、私たちは荷物置き場へと戻った。おっさんはさっさと行け。





 とりあえず自分の背嚢からランタンを出し、火をつける。ほおら明るくなったろう?

 改めて見回すと量はそれほどでもない。

 七人分の荷物だけど明日には引き上げるって言ってたし、余剰なものは持ってないのかもしれない。


 ガサゴソと荷物を漁る。

 ポロリンは適度に、ネルトはほぼ動かず、私は超真剣に。



「あ、食料あったよー」


「ごはん」


「うおっ! ネルトそんな速く動けたの……?」


「ごはん」


「分かった分かった」



 そう言えば今日は何も口にしていない。

 私たちより早くに捕まったネルトはずっと空腹だったのかもしれない。食いねえ食いねえ。

 三人でジャーキーのような携帯食と固いパンを水で流し込み、モグモグしながらお宝探しを続ける。



「あ、調味料ありましたよ。塩とスパイス」


「金はっけええええん!!!」


「ピーゾンさん、テンションが……」


「宝石! 指輪もある! よっしゃあああ!!!」


「ああ……」


「ごはん」



 持って行ける荷物は限られる。嵩張らなくて高価なものが第一だよね。

 そうなるとやっぱお金と宝飾でしょう!


 ただやっぱ思ったほど溜めこんでないっつーか、財宝というより隠し貯金みたいな感じだけど……まぁないよりいいさ!

 私は遠慮なく貰うよ! 山分けだけど!





 二日後の朝、おっさんが戻って来た。

 どうやら山賊たちを王都の衛兵に突き出してきたらしい。

 背後関係がどうのこうので報告するのに手間取ったとか。



「遅くなって悪かったなぁ……で、あの……」


「なにか?」


「いや、ピーゾン。お前の腰の得物……」



 おっさんは苦虫を潰したような顔で、私の左腰を見る。

 そこには元々あった愛剣……いや愛鉈はない。

 ここに来るまで持ってなかった黒い長柄の武器がある。


 長すぎて紐で縛ってたすき掛けにしても前と後ろにニョーンと出ている。

 刃は布に巻かれているが、黒い柄はそのままでおっさんの方を向いていた。


 それを指さし、おっさんは言う。



「魔剣だよな」


「うん」




すいません、物語の切れ目でかなり短くなってしまいました。

この話で2000文字くらい。

いつもは3000弱~4000くらいを目安にしてます。

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