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帰宅部女子と帰宅しようとするのを、水泳部美少女に邪魔されるので何とかしたい  作者: うーぱー
第六章 部活が楽しいって言葉、心底、イラッとくる
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第40話 三度! 氷上と光亜麗先輩の戦い!

「おい、氷上――」


「まじ、ウザい。私は、帰る。邪魔、するな」


 氷上がだらりと下げた両手のトンファーを回転させると、先輩が飛び下がる。


 光亜麗先輩の顔から柔らかさが消え、きりっと引き締まる。


「どうやら、取り締まりが必要なようですわね。生意気な後輩は好きですわよ」


「おい、氷上、落ち着け。何か変だぞ」


「邪魔」


「うわっ」


 俺は二人の間に割って入ろうと踏みだすが、氷上が裏拳のようにして薙いできたトンファーが眼前に迫ったため、転びそうになりながら距離を取る。


「九重学園帰宅部取締委員会四天王、水の天堂院光亜麗! 取り締まりいたしますわ!」


「いい加減、そのノリ、まじ、勘弁」


 先輩がバックステップで校門の境目まで下がりつつ、クォリンの弾丸を放つと氷上がトンファーで迎撃する、おなじみの光景が始まった。


 クォリンの弾丸はまるでマシンガンのような勢いで、連射音を乱れ響かせる。


 対する氷上はトンファーを回転させて、体の前に円形の盾を作り上げた。


 交戦開始と同時に、過去の戦いとの違いが目に見えて現れた。


「あれ? 前はクォリンの弾丸が氷上の防御を貫いていたのに、今は、互角?」


「帰らせて、もらう」


 弾を撃ち尽くしたのか先輩の攻撃が止んだ瞬間、氷上が一気に距離を詰め、トンファーを振りかぶる。


「止めろ氷上!」


 俺はいつでも間に割って入れる位置にいたつもりなのに、氷上の速さは予想を超えていた。


 氷上の肩を掴もうとした俺の手は間に合わず、トンファーが先輩の側頭部に命中。


「光亜麗先輩!」


「心配ご無用ですわ」


 よく見れば、先輩はビート板を二つに折りたたんで盾にしていた。


「無駄ですわ、メガネザルさん! ビート板のワッフル効果は、ありとあらゆる物理攻撃を跳ね返しますの」


「棒は、無敵。負けない」


 氷上のトンファーが、ぐぐっとビート板に圧力をかけていく。


「美月さん、お止めなさい! 折り曲げたビート板はいずれ、全ての力を貴方に跳ね返しますのよ!」


 言葉どおり、パァンという快音と共に、トンファーが跳ね上がった。

 勢いを持ったビート版が氷上の顔面すれすれを掠め、飛んでいく。


 氷上は後方へよろめき、三メートルほどの距離を置いて、トンファーを構え直す。


「天堂院先輩のこと、誤解、してた。理解できる、思った。でも、駄目。部活で、リア充、何それ。きたくぶの、私とは、違う。まじ、関わらないで、ほしい」


 氷上が地を抉るようにしてトンファーを振るうと、小さな竜巻が起こり、先輩の足下へと襲いかかる。


 先輩のスカートは際どいところまで捲れ上がり、太ももが完全に露わになり、下着が見える寸前だ。


 見とれている場合ではないと分かっていても、俺の目は勝手にっ。


「これで、終わり」


 相変わらず心の隙を狙う、氷上の知略だ。


 先輩はスカートを押さえれば防御が出来なくなるし、かといって、パンチラしてしまえば、恥ずかしさで戦えなくなる。


 しかも、一瞬とはいえ俺はパンツに気をとられたため、氷上を静止するタイミングを逸した。


 氷上は、たった一つの小さな竜巻で、俺と先輩の行動を封じてしまったのだ。


 だが、「甘いですわ」という凛々しい声が氷上の罠を打ち破った。


「え?」


 慌てて確認してみれば、先輩はビート板の盾でトンファーを防いでいる。


 ビート板のワッフル効果により、両者の距離が再び開く。


「スカートが捲れたくらいで慌てると思ったら、大間違いですわ。私、盗まれないように、制服の下に水着を着ていますの。だいたい、この場にいるのは美月さんと紅様だけです。見られても恥ずか――」


「いや、白の、フリル付き、水着て……」


「えっ!」


 先輩が慌ててお腹の中に手を突っ込む。


「水着ですわ! 騙しましたわね!」


「馬鹿?」


 一瞬の隙を突いて、氷上が先輩に肉薄。

 先輩は両手を服の下に入れているから、頭部ががら空きだ。


 勢いの付いたトンファーが無慈悲に振り下ろされる。

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