創作論・エッセイをラノベに活かす(承認欲求編)
みなさんから頂いたコメントや考えたことを創作に活かすにはどうすればいいか。そんな事を考えた。
今回は、『承認欲求』を創作に活かすことを考えてみる。
このエッセイは創作論なので、話題にあげているのは、『自分がどんな人に称賛されると承認欲求が刺激されるか?』という話ではなく、『作品の『主人公』がどんな人に称賛されると『読者』の承認欲求が刺激されるか?』という話である点をご注意願いたい。
要するに、本稿の内容は作品の『没入感』や『共感性』を高めるための方法論である。
はじめに、ぼくがしていた誤解について解説しておこう。
ぼくは『承認欲求』というものは『誰』に褒められるかが重要なんじゃないか? と予想した。
平民に褒められるよりも、王子様に褒められる方が嬉しいんじゃないか? とそう考えたわけだ。
結果、これは誤りだった。『承認欲求』に相手のステータスは全く関係がない。
『奴隷ちゃん』と言われるテンプレがある。異世界にいった主人公が主に異性の奴隷を買う。そうして奴隷にヨイショされるわけだ。
ぼくは、『奴隷に褒められて嬉しいか?』が常々疑問だったのだが、そもそもの考え方が誤りだったということに気がついた。
『承認欲求』の刺激要因は、『帰属』である。
誰に称賛されるかは問題じゃない。別に奴隷だって良い。
『帰属』しているグループの構成要員から称賛されると『承認欲求』が刺激される。
これが本質なのだ。
たとえば、ハン○ー×ハ○ターのク○ロ・ルシルフルが主人公の物語があったとして、身内である流星街出身の蜘蛛のメンバー(帰属度が強い)が『おそろしく速い手刀だ』と主人公を称賛した場合には、承認欲求が刺激されて読者の没入感を高めるが、主人公グループに属さない人が『おそろしく速い手刀だ』と主人公を称賛しても『承認欲求が刺激されず』、『読者』の没入感を高めない。
つまり、買う前の奴隷と買ったあとの奴隷(主人公に『帰属』)は区別して考えるべきで、買ったあとの奴隷から称賛を受けた場合には『承認欲求』が機能するのだ。
例)
帰属前奴隷ちゃん「ああ、イケメンナローシュ、この人に買われたいわ」……承認欲求は機能しない。
帰属後奴隷ちゃん「うちのご主人さまは、まじイケメンですぅ、買ってもらってマジ感謝ですぅ」……承認欲求が機能する。
奴隷に元王女とかのステータスをつけるのは、読者の『承認欲求』を刺激することにはならない。あれは、『承認欲求』じゃなく特定の性癖の人の下半身を刺激するものなのだ。
じゃあ、逆に『帰属』していないものから称賛された場合はどうなのか?
効果がないばかりか、『帰属したもの』からの称賛の効果のノイズになる。
帰属前奴隷ちゃんにイケメンと言われてしまうと、帰属後奴隷ちゃんがイケメンっていってくれたときの感動? が半減するわけだ。
逆に帰属前奴隷ちゃんには罵ってもらったほうが、帰属後のギャップにつながって良いかもしれない。
結論は、読者の『承認欲求』を刺激したいなら、キャラの『帰属』を意識するべきで、『承認欲求』が有効に機能していないなら、それは『帰属』が弱いのだ。
ヨイショする係に、もっと強い絆をー! 逆に絆がないならヨイショすんな。むしろディスれ。
今回はそんなお話。




