86/292
バランスされた意見は評価されない
両論併記とかのバランスされた意見はさらっと流される。
深く精査されたりはしない。
意見の安定感と言うか、自分が否定されないという安心感が、意識の深層に『注視しなくていい』と働きかけるのかもしれない。
そんな調和の中に、たとえ自分の意見を入れたとしてもそもそも見てもらえない。
中性の化学物質が変化を起こさないように、バランスした意見ってのは評価されないものなのだ。
例えば、自分を頭がいいように見せようと思って、適当にググったりして対論の上澄みを掬ってバランスを取り繕うと、自分に見えていない本当に欲しい意見がもらえなくなる。
だから僕は、このエッセイでは一方的な意見を書く。
出る杭は打たれると言うけれど、出ない杭に注目する者などいないということだ。




