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発達障害の人がSNSでトラブルに巻き込まれる理由

 今日は、なんで『発達障害の人がSNSでトラブルに巻き込まれるのか?』について考えてみようと思う。


 まず、このエッセイで何度か書いている通り『発達障害』の人たちは、強いこだわりを持っている。


 ぼくが過去に見たパターンだと、彼らはこだわりに抵触する行為を『地雷』と称したりして、そこに触れた人たちを脊髄反射的に攻撃する。


 あるいは、エッセイや活動報告などで非常に攻撃的な調子でわめきたてる。


 それを見て、周りの人は『ぎょっ』とするわけだ。


「スルーすればいいのに」とか、「表に出さないでチラシの裏に書いとけばいいのに」とかは、健常者の言い分だよ?


 彼らは、スルーできず、また、表に出さずにいられないのだ。


 思考がまとまらない状況下で、相手の言い分を封じるにはそういう手段しか取れないんだよ。


 つまり、癇癪かんしゃくを起こしているわけだ。


 具体的に言うなら、相手に文句を言いたい状況なのだが、『これをやったらこうなるから、こうするにはああすればいい』というような、論理的な組み立てができない。


 短期的な記憶の保持能力、つまり、ワーキングメモリの不足によるんだけどね。


 ちょっと実験してみようか?


『直前の2つの計算結果を足していくとき、10番目の計算結果はなにか? ただし、1番目と2番目の計算結果は、それぞれ「1」であるものとする』みたいな問題があったとしよう。


 ヒントを出すから、ちょっと計算してみてよ。

 単純な足し算だから。


 1番目の計算結果… 1

 2番目の計算結果… 1

 3番目の計算結果… 2

 4番目の計算結果… 3

 5番目の計算結果… 5


 さあ、10番目の計算結果はなにか?


 暗算で出ますでしょ?



















 そう。55だね。


 知らないと計算回数を指折り数えながら暗算することになるでしょう?


 ワーキングメモリーへの参照を『ステップ数』と呼ぶとすると、この問題は、『計算回数のカウント』と『2つ』の計算結果の保持、及びその『足し算』で、都合4ステップになるのかな?


 このステップ数、知的障害者では、『探索可能なステップ数が1ステップになる』なんていう研究結果もあるんだ。


 怒られるからやらない。褒められるからやる。


 こういうのが1ステップの世界だ。


 健常者は3から4ステップぐらいは探索できるのだけれど、お察しの通り、健常者でも悩みごとがあったりすると探索可能なステップ数は低下する。


 怒っている発達障害の人なら、なおのことだ。


 じゃあ、どうすればそんな状況を克服できるのか?


 健常者でも、自分よりワーキングメモリーの大きな人と競争しないといけない局面もあるでしょう?


 そんなとき、ワーキングメモリーが少ない人は、どうすればワーキングメモリーの多い人と戦えるか? っていうと、途中の計算結果を書き出したり、暗記したりすればいいんだ。


 実際、発達障害の人たちはそういった訓練をしている。


 例えば、フィボナッチ数列の『8番目』と『9番目』がそれぞれ『21』と『34』であることを知っていれば、先の計算は1ステップでできるようになるんだ。


 そんな事もあって、障害にさらされている人たちは、逆に記憶力が優れていたりする。


 発達障害の人は、記憶することによって、あるいは途中経過を書き出すことによって、理解に必要なステップ数を小さくしているんだね。


 ぼくは、最近その事に気がついた。


 だから彼らは、書かずにはいられなかったのだ。


 もっとも、発達障害と言ってもアスペルガーの人はまた別で、多くのステップ数の論理思考を苦にしない人もいる。


 とても偏差値の高いアスペルガーの人とかね。


 彼らは、計算可能なステップ数が必ずしも少ないわけじゃなく、多次元的な考え方ができないから周囲の気持ちを理解できない。


 たとえば、ぼくが、小説「いたもん」の中で主人公のセリフとして、こんなことを書いたとする。


「それはすげー! ほんとに的を得た考えだと思うよ!」


 とかね。


 これに対し、例えばこんなご指摘をいただいたとしましょう。


「的を射るか、当を得ると書くべきでは? なぜ調べたり推敲したりしないのでしょうか? そんなに無知を晒したいのか?(失笑)」


 みたいな。


「いたもん」の主人公は、言葉の正しさみたいなものは気にせずに言葉を使うタイプだし、ぼくがそういう表現を使うときはそういう指摘が来るであろうことも想定して書くのだけれど、読む人は、そんなこと知ったこっちゃないもんね?


 まぁ、そう思われる人もいるでしょう、と。


 こんなふうに、他の人の思考を想像するには、ワーキングメモリーの多次元的な展開が必要になるのだ。


 とりあえず、ぼくなら「ご指摘どうもありがとうございます!」と感謝をお伝えしつつ、特に内容を直したりせずに放置するかな。


 国語辞典によっては、『的を得る』が誤用とされていないものもあるとか、随分昔から使用している例があるとか、多くの人が使っているから、いずれ許容される可能性が高いとか、そういう事はさておいて、ね。


 だって、あえて事を荒立てることもないじゃない?


 ご指摘を下さったかたから見たら、ぼくは不勉強な上に怠惰な人に見えるかもしれないのだけれど、そう思われても別に困らないしね。


 もしかしたら、こいつ気に入らねー! ってことで、星1つぐらいは恵んでいただけるかもしれない。


 もちろんこれはただの例であって、そんなご指摘を頂いたことは実際はないのだけれど。


 で、こういう指摘を頂いたときに、ワーキングメモリーの少ない人は書き出さざるを得なくなるのだ。


 こだわりに触れた人に対し、怒りを消化するために。


 そんで、その様子によって、他の多くの人に面白がられたり、反感を買われたりしてしまう。


 結果、彼らは退会していくのだ。


 暴言を吐かされたり、周囲から袋叩きにされたりして。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「発達障害の人がSNSでトラブルに巻き込まれる理由」を読んで、思ったのです。ああ、あの罵詈雑言は誹謗中傷をしようとやっているのではなく、癇癪だったのか、と。 しかし、SNSでの表現は、パソ…
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