女竜騎士と弱気な勇者〜序章〜
初のファンタジーです。
これは、ある村で起きた出来事の話
この村は人々が家族のように暮らしている、小さな村である。
しかし、この村の近くの山にドラゴンが住み着いたのである。
ドラゴンは夜の時間になると村へ来て食料を奪っていく。
逆らったものは食い殺されるか、燃やされるか
引き裂かれる運命である。
山へドラゴンを退治しようとする勇者は何人も行き
一人も戻ったこれなかった。その数20人。
そして、21人目の勇者が現れた。
彼は最低限の装備しかもたなかった。
彼は歩いているだけで笑われていた。
「あいつ、あれしか持ってないんだってよ」
「バカじゃねえの。ハハハハ」
勇者はバカにされているのが嫌いだった。
(みてろよ! ドラゴンを倒してお前たちを見返してやる)
村長は彼にこう言った。
「いいのか? 本当に」
「はい」
はいと答えただけで周りの一人が鼻で笑う。
勇者は山へいく道の途中で誰かとぶつかる。
「ごめんなさい」
ぶつかった女性が謝る。10代の黒髪のショートヘアーの
少女でぼろきれを着ていた。
少女はそのまま去る。
勇者はそのまま一人で山へと入っていった。
彼は山の中腹についた。彼は持ってきたおにぎり弁当を
食べようとしていた。
すると白い霧がかかった。
その向こうから女性が走ってきた。
女性は赤髪の長髪で、きれいな顔立ち、口には牙、耳はとんがっており、20歳前後のスタイルのいい美少女だった。
「助けてください! ドラゴンに襲われて……」
女性は右腕をケガしている様子。
「えっ!?」
たじろう勇者。
女性は勇者のもとに倒れこむ。
「えっ!? ちょっと! 大丈夫ですか?」
勇者はモンスターが出にくそうな場所に女性と共に移動。
まだ、あたりは霧だらけだった。
女性は目を覚ます。
「あなたは私を助けてくださったの?」
勇者にそう聞いた女性。
「なら、お礼をしないと」
すると女性は服を脱ぎ、裸になった。
慌てる勇者。女性は彼を後ろから抱きしめる。
男性の顔は赤くなる。次の瞬間、勇者は肩に痛みを感じる。
それは、女性の手の爪が鋭く尖っており、その爪が
彼の肉に突き刺さる
「ぐぅっ!」
男は痛みを感じる。
「ひっかかったな! お前は私の爪にさされ、
そこから痺れる毒をながす。これでお前は動かない。」
男は身動きができない
「いただきます!」
女性は顔をドラゴンの顔に変え、男の頭をかぶりつく。
ガブッ!
男は喰われて……喰われていなかった。
そしてドラゴンはこう言う。
「まずい! なんだこの不味い肉はとても喰えない!」
勇者の頭はドラゴンに噛みつかれたあとがあった。
しかし、脳まで歯は達していなかった。
そして男はこう言った。
「何故! 何故だ! そのまま俺を噛みついて
殺せばいいだろう」
「へ?」
ドラゴンは少し驚き女性の姿に戻った。
「俺は人々に嫌われて、それが嫌でここにきたんだ。
ここで、その美しい女性の姿で俺を抱きしめて
痛くないように気持ちよく、俺の事を殺してほしかった。
それなのに不味いとはなんだ! 不味かろうが俺は
お前に気持ちよく食われてやる」
すると勇者は服を脱ぎ裸になる。
女性はまた驚く。それに近づく勇者。
女性は驚いたき叫ぶ。
「来るなぁぁぁぁ!」
勇者はドラゴン女にハイキックされた。
勇者は気絶した。
しばらくして勇者は目を覚ます。
「ここは?」
辺りを見渡す勇者。勇者は防具の下のアンダーウェアのみ
着ていた。
そこは、森の中だが、白い霧はなかった。
「気がついたか?」
そこにいるのは先ほどのドラゴンが変装した女性がいた。
女性は赤い竜の鱗のような胸部と腰と上下別れてる
防具のような服を身につけていた。
「あんたは? なぜ助けた?」
勇者が訪ねる。ドラゴン女はこう答えた。
「ただお前の肉が不味かっただけだ! このままでは
食べれないからな今は生かしておいたのさ」
「なら、引き裂いてくれ! あんたに抱きしめられただけで
俺は幸せだったんだ。さっさと殺してくれ!」
勇者がこう言うとドラゴン女は少し考えこう言う。
「お前は今までの勇者と違う。今までの勇者は私の事を
普通に討伐しようとしたり、油断させて襲ったり、この姿の私を犯そうとしたりしていた。
だが、お前は生きる気力がなく、私に食われることを望んでいるようだ。何か理由があるそうだな。」
ドラゴン女が言うと勇者は少し黙りこうしゃべる。
「理由というか俺はもう何もかもかが嫌になったんだ。
俺は別の村から来て、剣術学校はいったんだ。でも、
そこでみんなにバカにされて……
俺は魔法などが得意なタイプなんだ。
それなのに剣術なんて……
剣術の学校しかなくて仕方なくて入学したけど、
村のやつらは俺ををバカにしてるんだ。
だから、もういっそのことドラゴン
に食われたいと思って……」
泣きながらそう言う勇者。それに対してドラゴン女は
勇者に近づき
バシッ!
「イテッ!」
「甘えるな! 他の勇者たちがむなしすぎるわ」
ドラゴン女は勇者にチョップを頭にかます。
「お前の肉が不味い理由がわかった。ならば
お前を満足させてやる!」
ドラゴン女のセリフに男は緊張する。
「満足させるというのはどういうこと?」
「願いを一つだけ、叶えてやるのだ」
勇者は彼女の言葉に驚く。
「じゃあ、セッ……」
ドカッ!
今度は勇者は蹴っ飛ばされた。
「お前はバカか! 願いというのはお前に満足感を
与えることだ。
それから食べることにした。お前も食われることが
本望ならな」
顔を赤くし怒りながらそうドラゴン女は言う。
「いいけど、痛くないように喰ってくれよ」
ドラゴン女はある場所に案内する。勇者は景色を見て驚く。
すると、その場にはメリーゴーランド、ジェットコースター
コーヒーカップなど遊園地のような場所が広がっていた。
「これは?」
「人間が好む遊園地というとこだそうだ。お前に必要なのは
人からの愛と見た。だから今から私とデートをし、満足した
ところを食べるというわけだ」
ドラゴン女はそう言うが勇者は
「いいのか俺なんかと?」
「お前の肉を美味しく食べるためだからな」
勇者はその女性をドラゴンとしてではなく、一人の人間に
見えていた。
二人は遊園地にてデートをしていた。
二人でメリーゴーランドに乗り、コーヒーカップで勇者は
目を回し、女ドラゴンは楽しんでいた。
ジェットコースターも楽しんでいた。
その後二人はベンチに座りソフトクリームを食べていた。
「どうだ、楽しいか?」
ドラゴン女は聞く
「まぁ、楽しいというか、こんな思いは初めてだ。
ありがとう。これで君に喰われても後悔しないよ。
ただ、痛みが無いようにな。あと墓は作れよ!」
勇者は泣きながらそう言う。ドラゴン女はすこし、悲しそうな表情をする。
場所は変わる。
「さぁ、今からお前を喰らう」
「ちょっと待った!」
「なんだ? 今になって命乞いか?」
「いや、あんたみたいに心優しいドラゴンが人を襲うなんて
あり得ない。何か理由がありそうだな。喰われるのはそれを
聞いてからだ」
勇者の問いにドラゴン女は
「その質問はお前で二人目だな。なら教えてやろう」
ドラゴンのモノローグ
私は別に人間の肉を食わずとも、牛や馬の肉を食べればそれでいいのだ。一年に二回村人は私に奉納していたが、村長が変わりそれがなくなった。
私は罰として村を襲った。そして、食料を盗んだ。
無論、人には害を加えていない。
やつらは懲りて奉納するかと思ったがしなかった。
蓄えが少ないのなら、私は別の山に行く。だが、あの村長は
蓄えがあるにも関わらず、私に食料をあげなかったのだ。
そして、私の討伐とふざけてやがる。
私は来る勇者を返り討ちに食ってやった。
みんな、弱い、私を騙すやつもいたがどうってことなかった。
だが、一人違った奴がいた。其奴は腕がよく、私が苦戦した
のだ。
其奴の名はレイア。美しき女勇者であるそいつは
私をひれ伏したあとこう言ったのだ。
「貴方、私の友達にならない?」
私は断った。だが、自分が喰われるリスクをわかっていても、
彼女は私の事を本気に友達にしようとした。
私はそれに付き合った。
私は今でもこういった人間がいることに驚いた。
私はレイアに帰るよういった。私は尻尾を自ら切り、
その一部を彼女に渡した。ドラゴンは降参し、別の山へ
行ったということにし、それを持ち村へ帰れと。
しかし女性は断った。私は困った。その時、
別の勇者が現れた。
その勇者は私を襲った。その時である。
レイアが私を庇ったのだ。私は立ち向かった勇者をすぐに殺してレイアを手当てしたがもうダメだった。だが、彼女は
笑っていた。なぜ私のためにその命を犠牲にしたかと思い。
私は泣きながらその肉を食べた。そして、それから私は
そのレイアという女性に似たこの姿でこの山に住まうことにした。
それから来た勇者は皆食ってやった。
モノローグ終わり
ドラゴン女が語ると勇者はこう言う。
「それならその姿になって村人ともに住まないか?
そうすれば……」
「ダメだ! あのようなゲスどもと住みたくもない!」
ドラゴン女は怒る。
「約束だ食わせてもらう!」
ドラゴンの姿に戻った女性。勇者に襲いかかる。
(体が動かない。こいつの魔法によるものか。
まあいい、このドラゴンに喰われても……)
恐怖と痛みをやわらぎ、金縛りで勇者の動きを
止め襲いかかるドラゴン。その時
「えっ!」
勇者は驚いた。なんとドラゴンは勇者の剣を魔法で浮遊させ
その剣を自分に刺した。
「グワァァァァ!」
ドラゴンは叫び倒れた。勇者は問う
「何故、こんなことを」
ドラゴンは死にかかった状態でこう答える。
「これでいいんだ……私は多くの人間を喰ってきた……
それはお前たちにとって許されぬ事……
私はレイアのことを思い出しお前のような変わった奴と
会い気が変わったのだ。お前とレイアは他の勇者と違い
私を受け入れてくれた……
しかし私は拒んだ。あの愚かな村人たちと住むことが
私はどうしても嫌だったんだ。
私の首を切り、それを村に持っていけ……
そうすればお前も人に認めてもらうだろう。
最後にお前の名をきかせてくれ……」
勇者は泣きながらこう言う。
「……ユート」
「ユート……変な名だな……」
ドラゴンは息を引き取った。
そして時はたち、ユートという勇者は山から降りてきた。
「ウソだろ!」
「あいつが生きて帰ってこれるなんて」
「どうせ、途中で逃げ出したんだろ」
人々はユートを見てそう言う。
村長が来た。
「ドラゴンを退治したのか?」
村長が問うとユートはドラゴンの首を差し出した。
「ウソだろ!」
「スゲー!」
「どうせ偽物だろ」
信じない人もなかにはいた。そこで誰かユートの後ろから
現れ、ユートを庇うように言う。
「それは本物です。村長、みんな。この人は私をドラゴンから
助けてくれたのです」
「お前は!」
一同は驚く。その人物は女性だった。
「レイア! 生きていたのか!?」
村長が驚きそう言う。
「はい、この勇者様がドラゴンから私を助けてくれたのです」
それは赤いロングヘアー、耳はとんがっており、牙のはえている歯を持つ、赤い鎧を来た美しい女性である。
「本当に倒したのか!」
「スゲエ!」
皆は感心する。そして、村長はこう言う。
「よし、褒美に豪邸と大金をあげよう」
ユートは答える
「ありがとうございます。お金はいただきます。でも、家は3人住める程度ので、最低限のでいいです」
「3人? 一人はレイアでもう一人は誰だ?」
「あのボロい服を着た女の子です」
「ライアのことか。わかった」
「ありがとうございます」
ユートとレイアはその家へ向かう。
一方人々は納得してなかった。
「何であいつが?」
「しかも、レイアと一緒に住むっていうのおかしいだろうよ」
村長はそれに対して何も言わず、反応しなかった。
一方ここはユートとレイアが住まう家。まわりは
リフォームをしないといけないぼろ家だった。
ユートは考えていた。先ほど起きたことを
回想
自害したドラゴンの死体を見るユート。
「お前の死は無駄にしない」
ドラゴンの体から剣を抜き、ドラゴンの首を切ろうとする
ユート。その時
ピカァ
ドラゴンの体が光るそして、それは女性の姿になった。
女性はドラゴンが変装したレイアの姿だった。
ドラゴンの首を抱きしめ、赤い鎧を来ていた。
「んんっ」
レイアは目を覚ます。
「貴方は誰? 村から来たの?」
「えっ!」
ユートは驚く。
「覚えてないの?」
「? 初対面よね。」
どうやらレイアには今までの記憶がない様子
ユートはレイアに今までのことを話す。
「そう、あのドラゴンがね。ドラゴンの言ったことは
本当のことよ。私はあの子と友達になろうとしたのだけど
村の勇者は褒美を目当てにドラゴンを殺そうとした。
私は庇って死んだわね。確かに」
レイアの話したことにユートは疑問をもつ
「何故? 君は蘇ったのだろう?」
レイアは勇者の持っていた剣を見る。
「それはルーンソード。どこで手にいれたの?」
「えっ? 家にあったんだよ。この剣」
レイアはおどろき、こう言う。
「その剣は邪悪な心を討つ剣。邪悪な心だけを切るが
邪悪の塊といえる生き物は存在すら消えてしまう。
そう聞いた事がある」
ユートはよくわかってなかったが
「じゃあ君が甦ったのはドラゴンの邪悪が浄化され
邪悪でない君の意志だけが生き残ったということか」
「そうなのかしらね」
「あの、ドラゴンは君のことが好きだった。
君の姿をしているときは良い心を持っていたんだ。
それに、君の顔見てみ」
ユートは鏡を見せ、レイアは自分の顔を見る。
「なにこの顔! 変!」
笑いながらこう言うレイア。
「おそらくドラゴンと融合していた影響なのでしょうね。
顔が変わったのも」
こうレイアは言うが、ユートは再び疑問に思う。
「ドラゴンの首が残った理由は?」
レイアはすこし考えてこう言う。
「おそらくドラゴンの残った数少ない良心なのかも
ドラゴン討伐の証拠にもなるけど、私たちを守ってくれるのかもしれない」
ユートはすこし納得する
「それよりも、貴方の名前は?」
「えっ! さっき言わなかったっけ?」
レイアの疑問にユートはおどろき、その後こう答える。
「ユートだよ」
「ユート……良い名前ね」
「えっ! さっきは変な名前だってまぁ、いいか」
「そうだったけ? じゃあ私はレイア」
「知ってるよ」
二人は互いに嬉しそうな笑っていた。
「あれ? 今」
ドラゴンの方を見て驚くユート
「今、ドラゴンの表情も笑っていたぞ」
「えっ? 気のせいよ」
「そうだな」
二人はドラゴンの首を持ち村へ帰っていった。
回想終わり
ドラゴンの首は彼らの家の棚に大切に飾られた。
二人が住むこのボロい広い1階建てのこの家を
二人はリフォームしようとしていた。
そこに玄関を誰かがノックしてきた。
「はーい」
返事をし、ドアをあけるレイア。
すると、そこには先ほどユートがドラコン退治に山を登る際
出会ったボロい服を着てた少女である。
「貴方は……ライア! どうしたのその格好?」
「お姉ちゃん……本当にお姉ちゃんだ!」
驚くレイアにライアという少女は喜ぶ。そこにユートが
話しかけてきた。
「君たち姉妹だったのか?」
それにライアは驚き
「貴方が、私を誘ってくれたのね。ありがとう。
お姉ちゃんも助けてくれたし」
レイアはライアを見て驚く。
「それよりもその格好は一体? お父様はどうしたの?」
ライアは黙る
「まぁ……一緒にお風呂入って、褒美の品にあった洋服の一つ
に着替えよう。あっ、ユート。覗いたらご飯抜きだからね」
「わかってるよ!」
レイアはライアとユートにこう話すと、ライアとともに
風呂場へと行った。
時間は夜だった。
風呂場にて、二人は体を洗いながら話をしていた。
「お姉ちゃん、顔つきが変だね。」
疑問にもつライア。レイアはすこし考え、説明する。
「それはね。ドラゴンの血を傷を癒すために飲んだからなのよ」
「そうなの?! そんな得体の知れないものよく飲めたね」
「まぁ、それしか方法がなくて」
ライアは信じたが、レイアは自身がドラゴンに食われ、
不可思議な現象で蘇ったことを説明できなかった。
「お姉ちゃん、何であんなへんちくりんと一緒に住むことに
なったの?」
「へんちくりんって、ユートのこと?」
ライアの問いにレイアは答える。
「だってあの人、いいとこないし、みんなにいじめられてるよ
今回のドラゴン退治だって絶対みんな帰ってこないものと
思っていたもの」
「そんなことないわよ。あの人」
「何で?」
「私がここにいるのはドラゴンから私を助けてくれたからよ。
そうでなければここに私はいないでしょ」
「まあ、そうだと思うけどどうやって倒したのだろう」
疑問に思うライア。それにレイアは落ち着いてこう答える
「何で倒したかなんて考えたって意味がない。それよりも
お父様はどうしたの?
たしか、父様が村長だったはずだけど父様は?」
父親の安否をライアに聞くレイア。ライアは少し黙り
語る
「父様は……村のお金を盗んだの」
「えっ!」
ライアの言葉に驚くレイア
「そんな! 父様はそんなことしないわ。
父様は村思いで、ドラゴン討伐も反対だったはずよ」
「でも、突村の金庫の金が消え、父様も私を置いてどこかに行ってしまったの。
私はそのあと家を没収され、奴隷としていつも……えっぐ……うっ」
泣き出すライア、そしてそれを抱きしめるレイア。
「そう、辛かったのね。大丈夫よ。
これから私とユートが貴方のことを守るから。
これから私たちと一緒に住みましょう」
「うん!」
なだめるレイアにライアは泣きながら頷く。
その一方レイアはこう思っていた。
(あの父様がそんなことをするだろうか? 何かあるに
違いない。だけども今の私にはライアがいてユートがいる。
それだけでも私は幸せだから)
二人は風呂からあがる。二人はローブのような洋服を着ていたすると置き手紙が
木製のボロいテーブルには置き手紙があった。
クスリを買ってきます。二人は先に寝ててください。
と書いてあった
「あの子、クスリの買い方知ってるのかな? 探してくるわ」
外へ出ようとするレイア。その時、ライアはレイアの服を
つかみ、彼女が行くのを止める。
「お姉ちゃん。もうどこにも行かないで。また辛い思いをするのは嫌!」
ライアは訴える。レイアはライアの頭を撫でこういった。
「わかったわ。今日は貴方と一緒にいるからね」
二人は寝室へと行き、寝た。
一方、クスリを買いに行ったユートは薬局から出た
とこだった。
「なんとか閉店前に買えてよかった。食料と回復薬と
解毒薬、魔法グッズ。金は半分になったが、これで心配ないな」
ユートは鞄の中にそれらを入れ、夜道の中、家へ帰ろうとした。
そこには ユートの剣術学校の同級生である不良たちの姿が4、5人
あった。
ユートは目を反らし彼らと関わらないようし、その場を立ち去ろうとする。
すると、
「おい!テメエなにシカトしてんだよ!」
男の一人がユートを呼び止める。
「オメェ、ドラゴン退治して大金もらって調子こいてんだろ!
分け前よこせよ!」
ユートを壁に追い詰め、いちゃもんをつける不良たち。するとユートはむこうに指を指しこう叫ぶ。
「あー! あれなんだ!」
不良たちは目を指を指し他方向に向ける。
そのスキに逃げようとするが
「おい、待てよ」
一人の不良に気づかれユートはまた囲まれる。
「おい! みんなでやっちまおうぜ!」
ユートは怯え、不良たちは彼を囲み襲う。
そんななか家で寝ていたレイアは突然目を開け
おきあがった。
「行かなくては、彼のもとに。助けなくては」
起き上がり、布団からでたレイアは鎧を惑い
外へ出ようとする。そこに
「お姉ちゃん」
後ろから誰かが呼び止め、レイアは振り向く。
そこには寝ぼけているライアが立っていた。
「あの人のところに行くの?」
ライアの問いにレイアは少し黙りこう言う。
「ええ、あの子は私のことを助けてくれたから
行かないといけないの」
心配そうにレイアを見ているライア。
「心配しないで、私がいない間結界はっとくから」
レイアがそう言いそとに出ようとしたとき
ドンドン!
強いノック音がした。
レイアはドアをそっとあける。
すると、村長と村の男たちがそこにいた。
「どうしたんですか? みなさん」
レイアが聞くと村長がこう言う。
「とぼけても無駄さ。レイア! いやドラゴン」
「なんのこと?」
村長の言葉にそう返すレイア。
「レイアは数年前にドラゴンを退治してそのまま喰われ死んだ。
おまえは年をとらず、そのまま帰ってきた。
よってドラゴンが化けた姿とみた。そのとんがった耳が特徴だ」
村長がそう言うとレイアは怒るように言い返す。
「何デタラメ言ってんの? あんたたち頭おかしいんじゃないの?」
「なんだと?」
村長ではない別の男が剣をレイアに突き立てる。
しかしレイアはさらりと避け、男の股間を蹴る。
「ぐぉ!」
そして男に回し蹴りハイキックを決め、他の男にも格闘術で
攻撃した。
「逃げてライア!」
ライアはレイアに言われた通りに、逃げようとする。
その時、
「うっ!」
レイアの腹に何か刺さった。それは村長の刺した剣だった
「お姉ちゃん!」
ライアが叫ぶ。そして村長に体当たりする。
「お姉ちゃんをよくも。許さない!」
村長にしがむライア。その時
ズバッ!
別の男がライアを背中から切りつけた。
「ライア!」
叫ぶレイア。ライアは横たわり瞳孔を開いていた。
そして切りつけた男はライアの服を破り、裸にした。
「なっ! アンタ!何をしようとしてんの! うっ!」
レイアは抵抗するが、村長に刺された箇所を蹴られた。
「黙れ! このバケモノが!」
ライアはほぼ死んでおり、レイアは抵抗できなかった。
その時
「ぐわぁ! 何だ!」
棚の上に置いてあったドラゴンの首がライアを襲った男の首を噛みついた。
「くそっ!」
別の男がドラゴンの首を取り、放り投げた。
「何なんだ、一体」
その時である、ライアを襲った男はあることに気づく。
「あれ? 俺の、腕がぁぁぁぁぁ!」
男の腕がなかったのである。そして、村長が叫ぶ。
「ぐわぁぁぁ!」
村長の腕を強く掴んで、立ち上がっているレイアがそこにいた
「気安くライアや私に触るな! ゲスどもが!」
ライアの目は赤く、背中にはドラゴンの羽がはえており、
左手はドラゴンの腕と化していた。
「何なんだおまえは! うっ!」
レイアはライアを襲った男をドラゴンの爪で引っ掻いて
殺害する。
「ひぃっ!」
他の男は怯む。次の瞬間、レイアは呪文を唱える。
すると、周りは炎で燃え出した。
「あちぃ!」
周りの男たちは燃え始めたが、ライアの遺体は燃えなかった。
レイアはドラゴンの首を拾い、それをライアの死体の前に
差し出す。
すると、ライアの死体はドラゴンの首に吸い込まれ、
ドラゴンの首は長方形の箱のようなものに変わった。
「何なんだ! お前は?」
村長はたじろう。
「私をドラゴン呼ばわりし、それはないだろう。だが、村長!
貴様に聞きたいことがある。私の父は本当に金を盗んだのか!」
「何だ! その話をして……ぐぁぁ!」
レイアは剣で村長の手の指を削ぎ落とす。
「本当のことを言え! 次はお前の命だ!」
村長の顔に剣を突き立てるレイア。
「わかった! 言うよ。お前の父親ははドラゴン討伐
反対派だったんだ。しかし、それだとこちらがドラゴンに食料を分けないといけないからヤバイんだ。だから俺が殺した」
村長の言葉にレイアはショックになる。
「その後、金を盗んで逃げたことにしたんだ。なぁ、これが
ホントのことだ! 命だけは……ギャァァァァ!」
村長を切りつけたレイア。村長はおそらく死んだ。
燃える家。燃える男たち。レイアはライアの死体が入った
長方形の箱を持ち、その場を去っていった。背中の翼は消え
目も元に戻っていた。
一方、ユートを襲った不良たちはユートから盗んだ鞄を持ち、
自転車で走っていた。
「全くあいつホントにドラゴン倒したのか。弱かったな」
そこに待ち構えてる人が一人いた。
それはレイアである。
自転車に乗った不良たちはレイアを無視して通りすぎた
その時
ドンガラガッシャン
不良たちの自転車が崩壊した。
「何なんだ! 一体!」
不良たちが驚いているなか、レイアは彼らを冷たい目で見ていた。
一方、ユートはボロボロで倒れていた。
倒れていたユートの前に不良に取られた鞄が投げられた。
ユートは目を覚ます。そこにはレイアがいた。
「レイア、お前が取り返してくれたのか?」
頷くレイア。
「この村から出ましょう。私たちは村長殺しの罪で指名手配されるから」
「えっ? それどゆこと?」
はや歩きするレイアを追うように、ユートは彼女ともに道をゆく。
翌日この村はレイアとユートを指名手配した。それは、
少年数人への暴行。村長殺し、殺人、家屋破壊の罪のためで
あった。
二人はドラゴンの山とは別の山にいた。
「これからどうするんだ。俺はやだよ冤罪のままで旅をするのは」
へとへとになりながら弱音をはくユート。
「大丈夫よ。私たちをかくまう街ならもう手はずはついてるわ。そのためにはこのエルフの森をいかなければいけないの」
レイアは疲れた様子を見せず進む。
ユートは疲れてる様子だったが少し嬉しそうだった。
旅ができる友がいることを。
「ほらささっと急ぐわよ」
ユートをせかすレイア。レイアはライアの遺体の入った
長方形の箱を持ちこう思っていた。
(ライア……あなたを絶対お母様の元へつれてってあげるわ)
二人はエルフの森へと向かう。
この物語は終わりではない。これから始まる、ドラゴンの血を
もつ少女と弱気な勇者の物語である。
読んでくれてありがとうございました。
この物語は一応続きがありますが
時間がかかりそうなので一旦短編にします。
続編がある場合、冒険篇として長編にします。