俺の部屋に悪魔が来ました。
...一旦状況を整理しよう。
俺は寮の自分の部屋にいる。ゲームしようとしてる。で、なんか光った。それで、なぜか今女の子がいる。俺の前に。...
あああ、落ち着け、落ち着け俺!
と一人であれこれ考えてるうちに
「あの...人間の方ですか?」
と少し戸惑った様子で彼女が言った。
「え、ああ..そうですが...」
俺も戸惑い気味で返すと...
「ああ〜っ、良かったのです〜!」
と、勢いよく抱きついてきた!
「ちょっ....!おま...!?」
ヤバイ!なんかいろいろとヤバイ!
恋愛未経験の俺にこんなイベントはいくらなんでも急すぎるー!
俺が慌てているのに気づいたのか彼女は俺に抱きついていた手を離した。そして
「すいませんっ!初めてのテレポートに成功したもので、つい取り乱してしまったのです」
と言い、ひと呼吸おいてこう続けた。
「はじめまして!ルル=アルテリーベといいます!この度はっ、はるばる魔界から人間界に修行にやってきたのですっ!」
弾ける笑顔で自己紹介をされたが、俺の困惑は増すばかりである。
テレポート?魔界?修行に来た?
いろいろと腑に落ちない事でいっぱいだったが、
それよりも俺はルルと名乗る少女の姿があまりにも現代離れしていたことのほうが気になった。
エメラルドグリーンの毛先のカールした長髪に、燃え盛る炎を連想させる真紅の瞳。額にはめ込まれた、目と同じ色の宝石。金色の模様の刻まれた丈の短いワインレッドのワンピースに黒のローブを羽織った異国感のある格好。髪の隙間から除く獣のような耳。だがその強烈な見た目に反し、顔立ちはどこか幼い感じがした。
言語は普通に通じるようなので、なぜここに来たのか聞き出そうと試みる。
「え、えっと..マジで異世界から召喚!みたいな感じで来たってこと?」
「はいっ!」
「ホントに魔族的なものに属してて?」
「はいっ!」
「俺の部屋に修行に?」
「はいっ!学園長の方ですよね?」
「いいえ」
「えええっ!?一人部屋に籠もって仕事をしているようだったのでてっきりそうだと...」
いやいやw俺ゲームしてただけですねw
「テレポートの転送先もこの学園の学園長室になっていたはずなのですが...と、言うことは...はわわわわわ!まずいです!学園長以外の人間にこの姿でいるのを見られてはいけないと言われていたのにっ!」
困惑している彼女に
「まっ、要するにあんたは学園長室に召喚されるはずだったんだろ?ついてってやるから、いっしょに行ってみよーぜ。」
と言った。
「あ、あなたは私を見ても驚かないのですか?!」
さっきまで異世界もののゲームをしていたせいか、俺は妙に冷静になっていた。若干格好つけて
「フッ、まぁな。こういうイベントが起きるのはゲームの中では日常茶飯事さっ」
「ふぉぉぉ!何かわかんないけどすごいのですっ!」
彼女の尊敬の眼差しを浴び、俺はいざ学園長室へ!と部屋のドアをバンッ!と盛大に開いた...!