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41 悠久へと架ける希望② 最後の脅威


 虚層塔は大転移をフル稼働させていた。


 支配層、神級の召喚が行わる程の力がこの有明に集中している。

 だがそのエネルギーのすべてが低級異生物の転移エネルギーへと変換されていた。


 膨大な数の異生物が虚層塔周辺を覆っていた。


 その周辺を国家部隊が固めており討伐の陣を作っている。

 警視庁がどうやら軍との協働を実現できたようだ。


 ギアーズは思惑通りに事が運ばず、撤退の態勢に向かっている。


 教団はこの一連を目に焼き付けようと、その場に佇んでいたが、子供達は自らの意思で異生物の討伐を行っていた。


 適合細胞の力はエレメンタルアーツの恩恵によって1階級上がる程に強化されている。


「花凛ちゃん」


 彼女はここまでの事をやり遂げていた。

 彼女が選んだ神級を避けるための戦略だ。


 この場にいる者達によって有明の敷地を覆うほどの異生物は次々とプリズム化してその姿を消していく。

 それらを適合者が吸収し、強化した身を持ってさらなる討伐へと迫っていく。


 これがエレメンタルアーツの力。

 人間の異粒子適合を飛躍的に高めていく力だ。


 彼女の思惑は成功している。

 この世界の危機を避ける手段として、1体の強敵よりも大量のザコで転移エネルギーを消費させる策。


 特に俺が持つ異能【斥力衝撃波】は大量の敵を一掃する事に効率的な技だ。


 エレメンタルアーツの欠片を使い充填させると、俺は大衝撃波を俺はさらに放つ。


 一級異生物ごと一掃出来るほどの力だ。


 だが、大陸全体を焦土化するほどの異神物「神級」にはこの異能も効かない。

 世界のどこかで一体でも転移されてしまえば俺たちでは対処も出来ない。

 だがその危険はこれで避けられた。


 彼女は虚層塔の制御に力尽き、掲げていたエレメンタルアーツを下ろす。



 低級異生物はこのまま時間をかければ掃討しきれるだろう。


 しかしここからが本番だ。



 虚層塔はこれまでにない光を放った。

 それは眩しい光ではなく、肉眼にはほとんど見えない波長の光だった。


 熱を持たないが体の表面が焼けていく感覚がある。


 不可視光線?


 異生物達に異常はないが人間側には影響を及ぼしたようで、苦しみ出す兵士達が出ていた。


 ・・・・異世界の光か?


 放たれているであろう不可視光線の中心から、禍々しい姿をした1体の強敵が現れた。



 神級に仕えし異生物・・・・支配層第二位の、「臣級」(じんきゅう)だ。



 その姿はこれまでの四足獣たちと違い、二本の足で立ち体毛のない素肌を見せる・・・・まるで人型であった。



 しかし頭部は骨作りの仮面のような顔をしていて不気味で恐怖感すら誘う出で立ち。

 その背丈は俺たちの三倍近くはあった。


 何よりもその身から宿す威圧感に、知的な交渉の余地など全く感じさせず、只々破滅を呼び起こそうとするような存在だった。


 俺は威力が届くギリギリの距離に立ち、衝撃波を放とうとした。

 だがそれよりも早く、ヤツは再び不可視光線を放ってくる。


 俺はすぐさま異能を切り替える。


 リガントレスの『衝撃無効』


 だがこの選択は外れだった。


 ヤツの技は攻撃ではなく、異世界における自然現象、異界光の再現でしかなかったのだ。


 地球生命体だけに悪影響を及ぼすものは異生物の異能で対処する対象とはならない。


 俺はとっさに頭を腕で覆った。

 幸いにも長袖にグローブも着けていた事からその部分は軽傷だが、袖から覗く腕の素肌部分が大火傷を負っていた。


 俺の服は警察支給のもので耐水耐熱性の機能を持っていた事と、身体強回復を持つから助かったのだが、後方にいるネオズ教団の常人の大人達は全身を焦がして苦しんでいた。


 おれは防御から攻撃に切り替える。

 エレメンタルアーツの欠片によって増幅させたる大衝撃波(ソニックウェイブ)を放つ。


 だが俺の手持ちの最強技は片手であしらわれてしまった。

 臣級異生物の目の前ではじかれた。


 なんて事だ・・・・。


 今日出来たばかりのS級という新階級だったが、異性物側にはさらに上位の階級が必要になったな。


 まるでものともしない様子から、反撃の手を出してくる様子もない。

 どうやらこの世界の事を観察しているようだ。


 俺はゆっくりと後ずさりしながら視線をそらした瞬間に背を向けて、花凛ちゃんの所へ走って合流する事にした。


 低級異生物の大群はその数を半分近くまで減らしており、臣級の存在によってこの場を離れる固体も多かった。


 作戦を仕切りなおそうと如月や斉藤も集まっていた。


「花梨ちゃん」

「遥架君・・・・へへ、私がんばったよ」


「うん、よくやってくれたね」


 状況的にボスが出現しているが、世界の壊滅は避けられる相手である。

 この成果だけ考えても相当なものなのだ。


 俺は他の皆に顔を向けた。


「如月さんたちは撤退してください。あれの相手は今の軍では無理です」


「我々の兵力では勝てないとでも?」


「そうじゃないです、虚層塔はまだ起動している。まだこの終末転移変異の状態は続くし火薬を使わない銃が効く相手ではない」


「新宿の時のようにあの機能を止められないのか?」

「止めれたとして有効なのは核レベルしか効かないでしょう。それに対してもどんな対処をしてくるかわかりません。まあ、ひとまず政府と準備だけでも交渉を図っておいてはください」


「俺は残るぞ」

 斉藤が前に出てきた。


「いえ、ここからはA級適合者でも対処できないレベルです。正直今の俺でもムリだと思います。それよりはネオズ教団の子供たちを非難させる事に協力してください」


「だがオマエ・・・・じゃあ一体どうするんだ?」


 俺ひとりじゃない。


「古雅崎!!」

「ここにいるわ」


「耐えられそうか?」


 その問いに無言で薙木刀(なぎなた)をみせてくる。

 そこにはヒビが入っていた。


「あとどれくらいもつかはわからないけど、勿論いくわ。あなたを守る、それが雅の使命」


 古雅崎の目には一切の迷いがなかった。

 俺はその決意を疑う事なく信じ、じぶんの腕をナイフで切って血を出し、大量の血液をその木刀へ流し込んだ。


 疲弊していた花梨ちゃんも立ち上がって来て、その手でエレメンタルアーツから欠片を取り出し、木刀のヒビ割れていた部分へはめ込んだ。

「古雅崎さん、遥架君をお願いします」



 異界の支配層相手に、生半可な異界の力で向かった所で勝負にならない事が俺の結論だった。


「雅の力、この世界の力を見せてやれ」


 長い歴史の中で紡ぎあげられ地脈霊気で育った太清霊樹。

 それに俺の適合細胞をさらに与えて異粒子エネルギー結晶を利用できるようにした。

 雅流変性術でエレメンタルアーツを制御する難易度がどんなものか想像もできないがコイツはもうなんだか天才っぽいからな。



 エレメンタルアーツ霊樹を見つめ、古雅崎は歩みを進めた。


「私達の手で、異界からの脅威を闇へと返しましょう」




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