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ひとつめの話 3


 朝一番の妙な雰囲気は、朝のHRが終わる頃には鳴りを潜めて、クラス内の雰囲気は落ち着いた。

 恐らく原因である赤神と腰越の二人が自分の感情に一時とはいえ区切りをつけられたからだろう。要は怒りならこれ以上怒っても仕方ないと考えたり、悲しむならこれ以上この状態を続けても仕方ないと考えたり、できるようになったということである。

 単にそうすることに疲れただけかもしれないけれど――まぁそのあたりは私にわかることではないし、興味もない。

 大事なのは教室内の空気がまともになったという事実だけだ。

 黛は赤神と腰越の二人の雰囲気に当てられて縮こまっていただけだから、二人の雰囲気が戻ればほっとしたように、いつも通りになるだけだしね。

「…………」

 しかし、表面上は落ち着いたように見えるけれど、いつもなら――というより昨日までは、事あるごとに黛に対してアクションを起こしていた二人が今日に限って何もしないというのは違和感がはんぱない。

 いつもと様子が違うという意味で、周囲の人間は若干動揺している様子が隠せていないように見えるから尚更だ。

 まぁ私個人としては、いつもお花畑みたいなハーレムリア充やりやがって鬱陶しいと思っていたので、たまにはいいんじゃないかと思ってあまり気にならなかったけれど。

 周囲の人間で、黛、赤神、腰越の三名と話ができる者は、会話のついでに朝の出来事についてやんわりと聞こうとしているようだった。聞いたところで、なんでもないと答えられるのがオチだろうに、よくやるものだと感心する。

 同時に、グループで動く人間は大変だねぇと同情もするけれど。

「……何事も一長一短。そういうことよね」

 思わずそう呟きながら溜め息を吐いた後で、次の授業の準備を始めることにした。



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