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かぐや  作者: 米沢サユリ
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遠い月

 いったい、あの日からどれだけの月日がたったのだろうか。

歩けども結局家にはたどりつくことはできず、周りの景色はどんどん見慣れないものに変化してしまった。

目の前を流れている川はかたくされており、何本の橋が、両岸を結んでいる。

対岸には、背の高い建物が建ち並び、世界を明るく照らしている。昔は見えていた星も、すっかり見えなくなってしまった。

それでも、月は相変わらず明るく地上を照らしていた。堤防の上に生える桜の木が、月明かりによって影を伸ばしている。

あの月で、いったい私がどのような形で生活しているのか、あるいは私が存在していないのか、なにもわかってないが……

手を伸ばせば、私の小さな手のひらのなかにすっかり収まってしまう。でも、握ってみたところで、その手のなかにはなにもない。月は、私だけの力では、どうしてもたどりつけない、とてもとても遠い場所だった。

何十年か前、この地球の人たちも、その月にたどり着いた。その様子は、全世界に生中継された。私も、どこかの町に置いてあった小さな白黒テレビでみた。

けど、その景色は、私が知っている月の景色とははるかに違うものだった。穴の入り口のような、丸い形をした山がたくさん並んでおり、そこに、かつての私が住んでいたころの反映した都市はどこにもなかった。

あれは、きっとカメラが壊れていたんだとおもう。今でも月にいけば、わたしたちの子孫が生きているはず。王族の一人である私の顔はみんな知っていて、帰ればいまでも私のことを迎えてくれる。

やっぱり、私はなんとしても月に帰らなければならない。私は、強くそう決意した。

でも、海の向こうの国なんかに行けないから、私が月に帰るには、この国がなにか乗り物をつくってくれないといけない。普通の人が乗れなくても、私が乗れる小さな箱でもいい。

というわけで、私はいま、土浦といわれている、すこし大きな街に来ている。鉄でできた長い乗り物(常磐線というらしい)に乗って、二時間くらい揺られてたどり着いた。

おとなりのつくば市ではいまちょうど、月へと飛ぶ大きな探査機があるという噂を聞いた。私は、それの真偽を確かめるため、私はここにやってきた。

ちょうど、太陽が西に沈んでいく。私は、その方向に、川をのぼりの方向に歩き始めた。

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