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かぐや  作者: 米沢サユリ
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ひとりの夜道

 ここは、いったいどこなのだろうか。

私は、だれか男の人が話している声が聞こえて、それで目が覚めた。暗くてよく見えなかったが、このちかくの人だろうか。ちょうど右手へとその声は遠ざかっていった。

さっきまで、私は、月に向かう船に乗っていたはずだ。月からお迎えが来て、月に帰るはずだった。

わたしは、まだ帰りたくなかった。この星で、地球で、私はやりたいことがあった。

まだ、お父様とお母様に、なにも恩返しができてないもの。なにをやろうかなんて決めてない。でも、私をここまで育ててくれたんだもの。恩返しはしなきゃ。

月の使者たちは、そんなのお構いもせず、私を迎えに来て、むりやり月に返そうとした。いやだいやだと思っていたら、気がついたらこんな場所にいた。船から落ちてしまったのだろうか、それとも、落とされたのか。詳しいことは分からない、ただ、私が月に帰ってないというのは、間違いなさそうだ。

でも、この周りの景色は、いままで見たものとのある景色ではない。雰囲気は、私が幼少過ごしたあの家の周りに似ている所もある。でも、山の形も、川の音も、虫の声も、いままで聞いたことのないものだった。

 わたしのまったく知らない世界。

いったいどっちに家に帰れるのか、まったく見当もつかない。

おまけに、なんか体がふわふわする。まるで、自分の体がないようにさえ感じる。けど、たしかに地面に触ることもできるし、ものに触ることもできる。だから、私は、たしかに実在すると思う。

とりあえず、さっき人が歩いていった方向に行ってみよう。じゃまだった衣を脱ぎ捨て、下沓したぐつも捨ててしまい、私は歩き指した。

田んぼのあぜ道を、素足であるくのは、いつぶりだろうか。冷たくてざらざらしたこの気持ちい感覚。月では味わえない、この感触が、私はたまらなく好きだった。

見上げると、そこには、まん丸の月が浮かんでいた。

月が、まるで他の星をかき消そうとするかのように、まぶしく光っている。あの人たちがすんでいるのだとおもうと非常に腹立たしい気分であったが、私の進む夜道を明るく照らしているのは、それしかなかった。

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