028.5 座学2
※この話は台本形式で進みます。また、この話は世界観を深めるための話であり、物語とあまり関係がありません。読み飛ばしてもらっても構いません。
Lesson3 合宿地
エヌディー「今日は合宿地の説明と、その場に出る魔物との戦い方を教えようと思う。
事前に配布している資料に、聖域で作った結界の縁にあるキャンプ場で行うのは知っているな? 君たちにはそのキャンプ場から10分ほど移動して、聖域結界の届かない場所へ向かい、そこにいる魔物を討伐する訓練を行う。その地形を事前に知っているのと知らないのでは戦い方に差が出てくるだろう。
ただ、事前学習を怠らない学生には既に知っていることかもしれない。そういう奴らは私の話を聞かないで神素呼吸で訓練でもしていてくれ。
魔物討伐を行う場所は、少し乾燥した場所になる。国の周りに生えているような木々が斑になり、足場が固い。
それからいえることは、空気中に放つ波動術の威力が下がると言うことだ。乾燥していると空気中の水分が少ないからな。当然振動エネルギーは伝わりにくくなるわけだ。逆に、閃光術はいつもより少し強い効果が出る。申請術として放つ閃光術は乾燥している地域だと効果を増すのは前にも言ったことはあるな。
このユニコーンクラスには閃光術を使う学生が何人かいたな。合宿値付近にいる魔物はゴブリン・コボルトと視覚に頼る魔物が多い。目を眩ますのは効果的だから是非活用して欲しい。ただ1つ気をつけて欲しいこととして、仲間の視界を潰してしまわぬように。
波動術も使える奴がいたな。せっかくユニコーンクラスとして前衛で戦うんだから、魔物に直接波動術を打ち込むのを試してみるといい。
そうそう。合宿時には特別に波動術が刻まれた高価な防具の使用を許可されている。衝撃をほぼ吸収し、無効化するペンダントだ。打撃攻撃からはほぼ自身を守ってくれるだろう。逆に斬る攻撃にはあまり効果が発揮されないから注意して欲しい。
このペンダントの効果が切れた学生は討伐訓練を中止する流れになるから、ダメージには気をつけてくれ。だが、逆に言えばこのペンダントの効果が切れるまでは大胆に行動が出来るわけだ。是非先程言った波動術を直接打ち込むことにも挑戦してみてくれ。
話が少しそれたな。地形の話だったか。
そうだな、木々が斑だという話だが、たまに木々が密集した場所がある。そういう場所は高確率で魔物の住処になっている可能性が高い。十分注意してくれ。
あと、足場が固いという点だが、これも注意しないといけない。いつも皆が訓練している広場のように身体強化して飛び回っているとすぐに足を痛めるぞ。身体強化が続いている間はいいかもしれないが、身体強化を解いた瞬間に反動が来る。
それに蓄積された疲れは誤魔化せない。身体強化していても動けなくなる可能性もあるからな。気をつけろ。
それと、これから騎士ではなく猟師や、冒険者となるものもこの中から出てくるだろう。そうなると、安全な場所で寝泊りするだけじゃなく、外で寝泊りすることもあるだろう。長旅だと、食料が尽きる時だってある。そんなときは食料を現地で見つける必要がある。合宿で実際に食べ物を狩る訓練もするぞ。
……詳しい話はまた次の機会に勉強しよう。予習はしっかりしておくんだぞ。
」
Lesson4 技術提携
エヌディー「我々の暮らすエイオーツ国は癒しの術、神聖治癒術に優れているのはなぜだか考えたことはあるだろうか」
生徒A「えぇっと。技術者が集まるからですか?」
エヌディー「正解だが……技術者が集まるとなぜ優れるかはわかるか?」
生徒A「……わかりません」
エヌディー「術を扱う際にはそれに見合った才能が必要なのは皆知っているな。このクラスの大半は術に対しての才能がない。
ちなみに言っておくが……別に馬鹿にしているわけではないぞ? 君たちはその事実にめげず、幼い日より訓練を積んできた優秀な人間だ。誇っていい。
……それでだな、その才能と言うのは子供に伝わる可能性が高い。親が治癒術を使えたら、子供は治癒術を使える可能性が高い。ただ、親が治癒術を使えて、子供が浄化術が使える。のように術は使えるけど親と同じ術が使えない場合ももちろんある。
この国の誕生当時、およそ500年前は水や食料など生活資源が豊富な国でしかなかった。今のような強固な城壁も存在しない頃だ。しかし約400年前。魔物との戦いで傷つく戦士たちを癒すため、神聖治癒術の技術を向上させようと言うチームが発足された。この学園のクラス名にもなっているチーム・ホーリィベイルだ。
そのチームの発足は他の国でもあったが、うまく行かず計画が頓挫していたのだが、そのチームで治癒術における大発見があり、かなりの技術向上があった。
この大発見をのことを聞きつけた他の国の治癒術使いは、この国の高い治癒術の技術を学ぼうとこちらの国へ移住してくる人が多かったんだ。
その際に、生まれた子供達は高確率で治癒術使い。そして、その子供達も……。そのような流れから今のエイオーツ国には癒しの術の使い手が他の国より多く存在する。その子供達が技術を引き継ぎ、更なる研究を続けたから、今のエイオーツがあるわけだ。治癒術の使い手の多さと技術の高さからエイオーツ国は癒しの都と呼ばれるようになったんだな。
さて、それがエイオーツの技術面の話になるが、他の国の技術面の話はどうなっているかは、知っているかな。
隣国、シャルル国と、エイオーツ国とシャルル国から少し距離のあるオゥディン国にもそれぞれ特化した術の分野がある。
エイオーツは浄化術や、閃光術が盛んだ。オゥディンは波動術が盛んだ。どうして盛んになったかは、だいたい予想はつくかも知れないが……。それぞれその方面の技術で栄え、その技術を求めて人が集まり、子供が術の後継者となり、技術を継いだからに他ならない。
それぞれ術の特性からシャルルは聖なる都。オゥディンは破邪の都と呼ばれている。……ムー大陸の人間なら誰でも知っているな。
さて、それぞれの分野に特化した3国だが、それぞれ得意な分野を秘匿とするわけじゃなかった。互いが互いの民衆を守るために必死だった。それぞれが技術提携を結び、互いに高めあうことで今の平和な状況ができたと言うわけだ。この間もシャルルにエイオーツが援軍を出したな。
今は強力な魔物に対して強力な術を放ったり、武器を鍛えることで撃退することが出来るが、昔は術は弱くて、神素量がどれほどあってもそれに見合う強力な術を放てなかったんだ。
治癒術ももちろん今みたいに重傷患者を一瞬で治すどころか、手をつけられない事だってあったそうだ。
君たちが学んでいる戦闘技術は昔の人々の偉大な功績であることを忘れず、真摯に学んでいって欲しい。
」
「よし、授業はこれまで。合宿が近づいている。グループ作りは各自順調かい? 今回行った講義も各自復習を怠らないようにしてください。それでは、また明日」