第三十三話 へたれすぎてご・め・ん;;
凛々子のまっすぐすぎる好意に対して、俺ができた返答は――これだった。
「時間を……どうか、時間をください」
へらへらと笑いながら、へこへこと頭を下げること。
それが俺の『返答』である。
……我ながら、情けないなぁ。こんなみじめな男には、やっぱり凛々子みたいな美少女はもったいないと思うけど。
「凛々子は俺にはかわいすぎるんだ」
彼女の欠点なんて、地雷系っぽいだけである。金銭感覚のズレも落ち着きそうだし……こうなってくると、本当にただの美少女だった。
「え? あ、そう? わたしがかわいすぎるからいけないのか……えへへ、それならしょうがないかぁ~♡」
……あと、少しおバカなところも欠点の一つか?
普通の女子なら幻滅されてもおかしくないようなことをしている自覚はあるのだが、凛々子は照れるだけだった。
凛々子は頭が緩い。悪い男に騙されそうなところがある。
いや、しかし……これが彼女の魅力でもあるので、あながち短所とも言いにくいか。
だって、難しいことを考えないし、とても素直なところが凛々子のかわいさでもあるのだから。
『……チョロい。なるほど、太田君がいつまで経っても雑魚なのは凛々子君にも原因がありそうだね』
「おい、今俺のことを雑魚って言った!?」
本当のことを言わないでほしい。普通に傷つくから。
『まぁ、地雷系女子が変な男に引っかかるのは、セオリー通りでもあるか』
「変な男って言うなよ!」
「はぁ? わたしも地雷系じゃないし~。量産型ですけどっ」
だから、地雷系と量産型の違いは何だよ。どっちも一緒の意味だろ。
と、普段なら言及しているところだが、今は共通の敵がいるので気にしないでおこう。
「だいたい、おっさんが俺たちを閉じ込めてるから悪いんだからな!」
「そうだそうだっ。たまには外に出してよ、牛丼食べたいっ」
「……俺も牛丼食べたい!」
「ちゃんと帰ってくるから……ダメ? あ、おじぴと一緒にデートしてあげよっか? それくらいならしてあげてもいいよ♡」
「頼む! 凛々子のデートで外出を許してくれ!!」
『……女の子の体で報酬を支払おうとするとは、ヘタレ野郎のくせになかなかクズじゃないか』
く、クズではないぞ。ヘタレではあるけど……!
『やれやれ。外に出すことだけはできないよ――〇〇を達成しない限り、ね』
まぁ、やっぱりそうなるよな。
おっさんは色々とお願い事は聞いてくれるが、外に出すことだけは頑なに認めてくれないのだ。
『ほら。これで将来の心配もなくなっただろう? 心おきなく、外に出るために努力しなさい』
「えー。努力ってきらーい。がんばって何か意味あるの? 人生辛くない?」
「……ちっ。じゃあいいよ。やーめた。将来も安泰なら、無理して出る意味もないな。いつか偶然達成できるまで待ってたらいいし」
『やれやれ……そうなるのかい』
○○を達成することにまったく関心のない俺たちに、おっさんはため息をついて呆れていた。
ここまではいつも通りのリアクションなのだが……今日は少し、気が緩んでいたのだろうか。
『まぁ、今日の出来事は意外と悪くない線をいってたけどね』
ぽつりと呟いたその声を、俺は聞き逃さなかった。
(これは――大きなヒントだぞっ)
今まで、手がかりも足掛かりも一切なかった。
どんなもの、という予想すらできなかった『〇〇』の正体なのだが……今の発言で、一気に絞り込めた。
今日の出来事を、鮮明に思い出して検証すること。
そうすれば、正解に近づけそうである――。
【あとがき】
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