第十八話 ※りりぽんは高校受験を受けていません
現在、凛々子のメンタルを回復させるためにも、一時的にでいいから彼女を外出させてほしいと交渉中である。
しかし、おっさんは難色を示していた。
『太陽の光を浴びることはできるだろう? 庭に出ればいい」』
そのあたりは対策済みなんだよなぁ。おっさんもメンタルの問題については考慮していたらしい。
太陽の光は健康にかかせない要素だ。その解決策として、この部屋から庭に出ることができる。こちらも部屋と同じく、学校の教室くらいの広さがあって、動き回ることもできる。
ただし、敷地の端には巨人から守るためなのかと思えるくらい高い壁があって、外に出ることはおろか景色さえ見えない庭だ。空が見えるだけマシではあるのだが。
俺は天気がいい日に良く外に出て、軽く歩き回っている。なわとびとかボールもあるので、軽い運動と暇つぶしを兼ねて遊べるのがいいことだ……一人遊びをたくさんしているから、健康なのかもしれないなぁ。
健康的に過ごそうと思えば、意外とそれが可能な構造ではある。
しかし凛々子は、あまり庭に出ようとしない。だから、太陽の光も浴びていないので、自律神経も乱れて昼夜逆転しているのかもしれない。
『凛々子君と一緒にボール遊びでもすればいいのではないかね? 犬みたいで可愛いじゃないか』
「動物扱いすんな」
まぁ、ペットと似たような状況ではあるか。
もちろん、自ら望んでこの状況になっているわけじゃないので、不本意ではある。でも、そんなことで怒れたのは一年目までだ。二年目からは疲れてもう諦めているので、今更はもう怒りという感情もなかった。
『この部屋から出たいのなら、早く〇〇を見つけることだね』
「見つけようと思ってに見つけられたら苦労しねぇよ」
『それなら、この部屋からは出られないさ。諦めなさい』
まぁ、そうなるよな。
交渉したはいいものの、ダメ元だったので落胆はない。もちろん、仮に外出の許可が取れたなら凛々子にも『全力で逃げろ』と言っていた。逃げる気がない、なんていうのは嘘である。たぶん、そのあたりもおっさんには見抜かれていたのだろう。
うーむ。やっぱり、なんかむかつくな。
別に俺も凛々子も悪いことをしたわけじゃない。強いて言うなら、親がクソだっただけだ。花が咲く場所を選べないように、子は親を選べない――とは良く言われているが、まさしくその通りである。
「おっさんには人の心とかないのか? 俺たちを軟禁なんかしやがって……あーあ。おっさんが誘拐なんてしてなければ、今頃は俺も凛々子も普通の高校生だったのになぁ」
ストレス発散のためにも、諸悪の根源にしっかり文句を言っておくことにした。
悪い感情は抱え込むと爆発するので、適度にガス抜きすることが大切なのである。
「鬼! 悪魔! 金持ちの性悪!」
『ははは。なんとでも言うがいい。庶民の戯言なんて気にしないさ』
「髪の毛薄くなってるくせに」
『薄くなってないけどね? この状態は年相応だ、そこは否定しておこう』
あ、やっぱり頭頂部は気にしているのかな。
弱点見つけた! そこを重点的に攻めて憂さ晴らしをしよう――と、思っていたのだが。
「普通の高校生……あー。ぴっぴ? わたし、高校受験受けてない」
「え」
今まで会話に入ってこなかった凛々子が、ぽつりとそう呟いた。
まさかのカミングアウトに、俺は口を閉ざすほかなかった。
マジかよ。凛々子って、高校受験受けてないの!?
「だから、この部屋とか関係なくJKじゃないし」
「……そ、そっか。別に、そういうことって言わなくてもいいんじゃないか? 俺はほら、気にしてないし?」
「でも、ぴっぴにはわたしの全部を知ってほしいから」
いや、やめてくれよ。
お前の境遇、俺よりも重そうだし……勘弁してほしかった――。
【あとがき】
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