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第14話:ラージカメラ

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 僕がラージカメラに着くとほぼ同時に、えいなも着いた。


 ……って!


「えいな大丈夫!?」


「だ、だいじょう……ぶ……」


 フラフラになりながら歩いているえいなを見て、僕は慌てて声をかけた。よく見たら目の下にうっすらとクマも見える。


 僕はひとまず端の方にえいなを座らせ、事前に買っていたペットボトルのお茶を飲ませる。


「だ、大丈夫……? 体調悪いの?」


 僕は水分を摂り終わったえいなのおでこに手を当てながらそう聞く。


 熱は……ない、かな? な、なら一体何が──!


「昨日あのあと……3時まで配信しちゃった」


「おーい!?」


 自業自得かい……!! 僕はスマホを開き、えみりあのチャンネルを開く。すると、えいなの言う通り8時間前に配信済みと書かれていた。


 ……ん? 8時間前?


 えーと、今は正午だから……11、10、……。


「……ごめん、うそ。4時まで配信した」


「ばかなの!?」


 おかしいな……昨日の時点では確実に「明日行こう!」って話してたはずなんだけどなぁ……。


 まぁおおかた、「きりの配信みてたらやりたくなった」ってところだろうけど。


「きりの配信見てたらやりたくなっちゃった」


「惜しい語尾だけ外れた」


「?」


「ごめんこっちの話。それはそうと、いくら自業自得とはいえ、めちゃくちゃ心配するんだからね」


「……ん。気をつける」


 僕はえいなの隣に腰を下ろしえいなの背中をさする。


「……え?」


「こういうとき、人肌に触れたり体温感じたりしたら安心てきるんだって。前に母さんが言ってた」


「マザコン……?」


「違うよ!?」


「ふふ……でも、ありがと」


 えいなはそう言うと、こてんと僕の肩に頭を乗せる。


 その動きに合わせて、えいなのサラサラの黒髪が僕のほおをくすぐりながら垂れてくる。えいなの甘い香りもそれに合わせてしてきて、鼓動が速くなるのを自分でも実感する。


 ドッドッドッと聞こえてくるこの音がえいなに聞こえてないか、少し恥ずかしくなりながらも、えいなの気分を抑えるために優しく背中をさする。


 屋外ということもあって、少し……ううん、だいぶ恥ずかしくはあるけど、それよりも幸福感に満ち溢れていた。


 こんな時間が、もっと続いてほしいな──。


「……そーたん、えいな。何してるの……?」


 ザッという音とともに、僕の視界に膝下まである黒いソックスを履いた生足が映った。


 声でもう誰なのかはわかったが、だからこそ僕はギィィ……と錆びた機械のような音が聞こえそうなほど怯えながら振り返る。


「「き、きり……! こ、これは……!」」


「問答無用ー!!! 帰ったらこちょこちょの刑だからね!!!」


 きりらしい、思った以上にかわいらしい刑に僕は笑いそうになってしまう。


 一方その頃えいなは……。


(そーた……すっごいドキドキしてた……)


 またもや少し頬を染めているのであった。

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