表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

人を殴るには……

 とある個人経営のメイド喫茶でのこと。

 他にお客さんがいない時に相談を受けた。

「最近、ちょっとヤバいお客さんが居着いていまして……」

「というとどういう?」

「今すぐにでもトラブルを起こしそうなんです。防犯のために木刀でも用意しておいた方がいいでしょうか」

 心底不安そうだ。

「いや、それはやめておいた方がいい。まず、素人が木刀で人を殴るのは難しい。うまくあたったとしても下手したら殺してしまうかもしれない。もし殺したり大ケガをさせたら、警察は犯意があったと判断する」

「それは避けたいですね」

「それに、最初の一撃に失敗したら木刀を奪い取られて反撃されるかもしれない。棒とかでも同じだ」

「なんかこう、偶然を装ってうまく仕留められる方法はないですか」

「酒瓶で後頭部を殴る、これが一番だ」

 私はカウンターの上にあるエッフェル塔の形をしたリキュールを指さした。

「それ、手頃じゃないか」

「えー!」

 メイドさんは驚愕の声を上げた。

「これってこの店で一番高い酒なんですよ!」

 確かに、ガリアーノのエッフェル塔ボトルはもはや手に入らない逸品だ。アンティークショップでもボトルだけで数万円はする。

「だからいいんだ。『とっさに掴んだボトルでぶん殴りました』という言い訳ができる。誰も、店で一番高い酒で人をぶん殴ろうなんて思わないでしょ?」

「はい。頑張って練習してみます」

 メイドさんは、ガリアーノのボトルをいとおしそうに撫でるのだった。

あとでこの話を別の店のお客さんにしたところ「ガリアーノが一番高い店ですか」と鼻で笑っていた。素人に説明するのは面倒なので、そう思わせておいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ