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世に出る前に消えたメイド喫茶
大阪・日本橋のメイド喫茶は、よほどチョロい商売と思われているのだろう。
十分な資金と計画がないうちに改装をはじめて、開店できずに消えていったメイド喫茶が何軒かある。
そのうちの一軒が、大盛りで有名な某店の隣りにできかけていたお店だ。
そこは路面店で、工事の進み具合は外からよくわかった。
瀟洒な雰囲気の店内で、名店になりそうな予感がした。
内装工事はほぼ出来上がっていた。
テーブルの上には巨大なクマのぬいぐるみが置かれて、マンガも山積みになっていた。
前を通るたびに、どんな店ができるのかワクワクした。
しかし、そのまま時がすぎていった。
ただ放置されたクマのぬいぐるみとマンガが悲しげだった。
そこは改装されてたこ焼きメインの居酒屋になった。
その居酒屋も今はない。
