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Mホテルのバーテンダーはあてにならない

大阪・日本橋で飲んだくれをしていると、元メイドや元オーナーがいるバーに行くことも多くなる。そこで聞いた話。


日本橋でサブカル系のカフェ&バーをしていたKさんが、ミナミで新しくバーを始めることになった。

元Mホテルでバーテンダーをしていた人がやっていた店の居抜きである。

Mホテルというと、京都では名の通った有名ホテルだ。そこの出身者だけあっていいウィスキーやブランデーをそろえている。棚には開きかけのボトルがたくさん残っていた。

そこで、Kさんは成約を祝って不動産屋さんと一緒に棚にある酒で乾杯することにした。

ところが、二人は酒を口に含んだ瞬間、うっ、となった。

中身が安酒に入れ替えられていたのだ。

「まさか!」

二人は片っ端から残されたウィスキーやブランデーを味見していった。

そのことごとくが安酒に入れ替えられていたのだ。

「こりゃひどい! お客さんがつかないはずだ!」

「こんなことをしているから、夜逃げをせざるを得なくなったんだ!」

Kさんは、泣く泣く全てのボトルの中身を排水口に捨てたという。


その話をきいて、私もMホテルでの同窓会で経験した話をした。

「Mホテルのラウンジで飲んだ時のことです。私も色んなカクテルを飲んで、けっこうベロンベロンになったんですよ。で、口直しにバージンマリーを頼みました」

 バージンマリーとは、ノンアルコールのトマトジュースカクテルである。店によってはクラマトを使ったりセロリを入れたりウスターソースを入れるといった一工夫をして、オリジナリティーを出して

いる。

 するとボーイが言った。

「バージンマリーというカクテルはございません」

「おいおい。バーテンダーに伝えればちゃんとわかる」

 ボーイはカウンターへと小走りに去って行った。

 そして、しばらくして戻ってくると周りの人に聞こえる大きさの声で言った。

「バージンマリーはノンアルコールですが、よろしいのでしょうか?」

 さすがにプチンと来た。

「君、見てわからんか。私はこの通りベロンベロンに酔っている。酔っている人間が口休めにノンアルを頼むのは普通のことだろう。だが、人前でトマトジュースをくれと言うのは恥ずかしい。バージンマリーというのは、そういう時におしゃれに頼むための符丁のようなものだ。そういう時はニッコリ笑ってバージンマリーを持ってくるのが礼儀だ。さあ、わかったらバージンマリーを持って来てくれ」

……とまあ、そういうやりとりがあって、私はようやくバージンマリーを口にすることができたのだが、大いに恥ずかしい思いをしたものである。

「ひゃー、そんなことがあったんだ!」

 Kさんも目を丸くしている。

 そして私たちは結論に至った。Mホテルのバーテンダーはあてにならない、と。


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