10【孤独】
ここ最近魔法の勉強をしているが白魔導師の為クエストに行くときはいつも後方支援になってしまう。
もしみんなに何かあった時戦えないと不便だしいつまでも守れらてばかりじゃダメだと思う。と言っても白魔導師だし……。
なにか方法は無いかと調べたところ白魔導師でも弱いながら攻撃魔法が使えるみたいだ。
と言ってもかなり練習してやっと黒魔導師の初級魔法に辿り着くレベルらしい。
僕は独り図書館で調べものをした後、修行をしに森へ向かっていた。
今日は朝からレイサとアルラは泊りがけで高レベルの討伐クエストに、カケルも一人で遠保へ情報収集のクエストに行っている。
「この辺りなら強い魔物出ないから大丈夫だよね」
僕は森の奥にある以前魔法の練習をした広場に来た。もしこの前みたいな魔物が出たらバリアでも張って逃げよう。
攻撃魔法と言っても属性魔法もあるが白魔導師の場合は基本無属性魔法しか使えず数百人に一人くらいの割合で属性魔法が使えるらしい。そこまで珍しいわけでは無い。もちろん僕も属性魔法が使える。まぁそのことを知ったのはつい先日荒野からの帰り道レイサに言われて雷属性だったことを知った。焚火に火を点けた時気が付くべきだった。無意識に使って居たなんて……。
因みに魔法には火・水・風・岩・雷がある。黒魔導師のエリートクラスになると上位属性魔法が使えるが白魔導師の僕には関係ないことだ。
「さて、練習してレイサたちを驚かせちゃおっ」
僕は杖を構え50mほど先にある大岩に向かい雷魔法を放ったが当たる直前に霞むように消えてしまう。
もちろん大岩は無傷。至近距離でやれば当たるがそれだと近接戦が出来ない僕にとってはかなり不利になるし前衛の邪魔になってしまう。
僕は魔力が尽きるギリギリまで魔法の練習をした。
気が付けば辺りは薄暗くなってきていた。
僕は急いで持って来ていたランタンに明かりを灯し森を小走りで歩いた。
鬱蒼とした森は既に暗くランタンの明かり無しだとかなり怖い。
しかしどれだけ歩いても森から出られない。
「あれ? もうそろそろ町の灯りが見えてくるはずなんだけど……」
嫌な予感がする……。見覚えのない川が見えて来た。
ここに来るとき川なんてなかったはず。これはもしかしたら迷った?
いや、そうに違いない。これは野宿確定だ。
木々の隙間からは月の光が降り注ぎ始めた。
「どこかに身を隠せる洞穴でもあれば良いんだけど……」
辺りを見渡しても草木しかなく身を隠せる場所などない。
このままここで寝ずに居座る手もあるがこの森は肌寒く今の疲れ切ったこの身体では厳しい。
こんなことになるなら何か食べ物でも持って来れば良かった。
そろそろ歩くのを止めようと思ったとき遠くに僅かな光が見えた。
「なんだろう? 町の灯りじゃなさそう」
僕は恐る恐る光の方へ歩いて行くとそこには小さな木造の小屋があった。
煤だらけの煙突からは煙が出ている。誰か住んでいるみたいだ。
玄関扉をコンコンとノックした。
「すみません。どなたかいらっしゃいますか?」
すると中から足音が聞こえると玄関扉がゆっくり開いた。
そこには金髪ロングで白いワンピースを着た碧眼の女性が居た。よく見ると耳が長い。漫画とかで見たことある。きっとエルフだ。
「あら、こんな所に人間なんて珍しい。何か用?」
「あの、森で迷って町に帰れなくて……」
「それは大変ね。どうぞ上がって」
「おじゃまします」
通された部屋には暖炉があり温かく、本棚にはぎっしり本が詰まっていて床にはそこに入りきらないだろう分厚い本が積まれている。
全部魔法関係の本みたいだ。凄い古いのもある。いったい何年物何だろう?
椅子に座るとエルフは紅茶を出し対面に座った。
「寒かったでしょ? これでも飲んでね。身体温まるから」
「はい、ありがとうございます」
紅茶を飲むと身体が温まり、なんだか急に体の疲れが取れていく。
それに紅茶から微量の魔力を感じる。魔法の紅茶なのかな?
「今日は泊まっていきなさい。この辺りは強い魔物が出るからね。この家は結界で守られているから安全よ」
「ありがとうございます。あっ、僕、ナギサって言います」
「私はフィオナ。見ての通り種族はエルフよ。ところでナギサはこんな森で一体何を?」
「魔法の練習をしていたんですけど帰り道間違えてしまったみたいで。いつもはパーティーメンバーに連れて来てもらうんです」
「魔法ってことは冒険者なの?」
「はい、白魔導師です。先週なったばかりですけど」
「魔法なら私たちエルフの特権だから教えてあげられるよ」
「良いんですか!?」
「長生きしていると暇なのよ」
話しによるとフィオナさんは見た目と違いすでに1000歳を軽く超えているらしい。
どう見ても30代くらいに見える。
魔法について少し話していると僕のお腹がぐぅっと鳴った。話しに夢中でお腹が空いていることを忘れていた。
「あっ……///」
「ふふっ、そろそろ食事にしましょう」
フィオナさんはすぐ横にあるキッチンで料理をし始めた。なんだかお母さんみたいな人だ。
部屋には包丁の音や鍋をかき混ぜる音が響いている。
なんだか懐かしい。元の世界を思い出す感じだ。
それにしてもこんな森の奥にどうして独りで住んでいるのだろうか?
僕の知っているエルフのイメージは明るい森の中に大勢で住んでいる感じだ。
この辺りにはフィオナさん以外の魔力の反応は無かった。
「食事の用意が出来るまでお風呂にでもゆっくり入ってね」
「そんな。さすがに悪いですよ」
「気にしなくていいの。お客さんなんて久しぶりだから」
「それじゃ遠慮なく」
部屋を出てお風呂がある場所へ向かった。
浴室を開けると綺麗な花が浮かんだ浴槽があった。
浴室内は花の良い香りで満たされている。
服を脱ぎお風呂に浸かった。このお風呂も効能があるのだろうか? 魔力が回復している気がするし肌がスベスベになっている気がする。
お風呂に浸かりゆっくりして居るとすりガラス越しにフィオナさんの影が見えた。
「湯加減はどう?」
「はい、ちょうどいい感じです」
「それは良かった。着替えここに置いておくね」
「ありがとうございます」
お風呂から上がりフィオナさんが用意した服を着た。
ひらひらの白いワンピースだ。やっぱりスカートは慣れない。
せっかく用意してくれたんだから着ないと失礼だよね……。
ワンピース着た僕は先ほどの部屋へ向かった。
ドアを開けると美味しそうな匂いがしてきた。テーブルの上には暖かな湯気を出している数多くの料理が並べられていた。
「美味しそう~」
「冷めないうちに食べましょ」
「はいっ!」
僕たちは席に着き料理を食べ始めた。
どれも食べたことも見たこともない料理だけど物凄く好みの味だ。毎日食べても飽きなさそう。
食事をしながら僕はフィオナさんに色々聞いた。
「あの、この近くに他の人というかエルフは住んで居ないんですか?」
「この辺りにはエルフは居ないね。私も最後にあったのも数百年前よ」
「そうなんですか。独りは寂しくないんですか?」
「ん~……もう慣れちゃったかな? この家に来て百年は経つからね」
フィオナさんはずっとこの森に独りで住んでいるらしい。
でもこの森の先には僕の住んでいる町があるからそこに来ればいいのに。
しかしなぜこんな人気の無い所に居るんだろう?
なんだか町を避けているように感じた。
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