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二日目・起

よし、とりあえず家までは何事もなく帰ってきたのだが帰ってみると家が倒壊していた。

この家は曾祖父が若い時建てた家と聞いていたので、かなり古かったはず。

まあ、悔やんだとしても家が元通りになるわけではない。

崩れた家の残骸の中から上着と下着、着替えをとれるだけとってバックパックに入れる。


集められるだけ集め終わるともうすぐ日が暮れかけていた。

今日は夜をどこで過ごそうか?

少し考えた結果、ここから少し行った先にあるショッピングモールに行くことにした。

おそらく避難してきた人がいるだろう。


ショッピングモールに向かい始めたが全く人と出会うことがない。

もしかしたらということもあるのでネイルハンマーを持っておく。


ゴトン!


何か重いものを落とす音がする。

即座にもう1挺のネイルハンマーを取り出してもとから持っていたほうを音がしたほうに投げつける。


ゴッ!ガシャン!


何かにぶつかったようだ。

懐中電灯でそっちを照らすと醜い緑色の小人のようなものが倒れている。

体調は大人の腰くらい、額には2本の角が生え目は黄色。

手には血が付いたこん棒らしきものを持っている。

たった今しがた投げたハンマーが頭に当たったようで気絶している。

とりあえずネイルハンマーからザトウムシもどきの胴体部分の棘に持ち替え、頭を一突きする。

案外あっさりと刺さるが頭蓋骨に当たって止まる。

棘の根本をハンマーで叩くと数回叩いたところで何かが割れるような感触と共に深く刺さった。 


《モンスター【ゴブリン】を一体殺害しました》


「うおっ!」

急に頭の中に声が響いてきたからびっくりした。

にしてもこの生物の名前はゴブリンというのか。

ゲームで出てきそうな名前だな。

それに今のアナウンス?はこの生物のことをモンスターと言っていた。

多分向こうの世界から来た生物のことをモンスターと言っているのだろう。


そのまま警戒しつつショッピングモールに向かったが誰にも出会わなかった。

ショッピングモールに到着したが入り口のガラスが割れている。

鍵がかかっていたので誰かが割って入ったのだろうか。

ガラスを踏まないように気を付けて中に入る。


中は結構暗いが天窓からの月明かりと非常灯の明かりで視界は確保できている。

このショッピングモールは一階に食料品、二階、三階に日用品などの売り場がある。

まずは食料と水を確保しよう。

お腹がすいたし喉も乾いた。

食料品売り場で乾パンと水を確保して二階に上がると足音、それも複数人のがする。

直ちにハンマーを両手に持って曲がり角で待ち伏せする。


「グギャ?」(角を曲がってきて目が合ったゴブリン)


来た相手がゴブリンだと分かった瞬間、ハンマーで相手のこめかみをぶん殴る。

昏倒したゴブリンを飛び越えて残りのゴブリンに突っ込み一番手近にいた一体を滅多打ちにする。

「「ギャァァァァ!!」」

残りの二体のうち一体は棍棒を、もう一体はそこら辺から調達したのかパイプレンチを持っている。


ガンッ! ガキン! カランカラン


二体が同時に殴りかかってきたのでパイプレンチの側面を右手のハンマーでぶん殴って軌道をずらし、棍棒は左手のハンマーで受け止めたがその拍子に左手のハンマーが手から叩き落されてしまった。

振りぬいたことで体制の崩れた二体のうち棍棒を持っているほうを蹴りつけもう一体のパイプレンチを握っている手を全力でハンマーで殴りつけた!


グシャッ!

「ギャァァァ!ギャ!ギャ!ガァァァァ!!」

骨の砕ける感覚とともにゴブリンが悲鳴を上げてパイプレンチを手放す。

そのパイプレンチを拾い上げ棍棒を持ったゴブリンにハンマーを投げつける。

ハンマーはゴブリンの肩に当たってゴブリンが痛みでうずくまった瞬間パイプレンチをゴブリンの頭に振り下ろす。


グシャッ


残るは手をつぶした一体のみ。

くるりと振り返るとそのゴブリンは逃げようとしていた。

仲間がほかにもいてそいつらを呼ぶ気なのか、それとも純粋に逃げようとしているのかそこら辺のことはわからないが禍根は今のうちに立っておく必要がある。

「good bye」

グシュッ

《モンスター【ゴブリン】を四体殺害しました》

《経験値が一定に達しました。レベルが3から4に上がりました。》

《各種ステータスが上昇しました》

《スキルポイントを獲得しました》

《スキル【棍棒術Lv1】を獲得しました。》

《熟練度が一定に達しました。スキル【冷徹Lv1】が【冷徹Lv2】になりました。》

おっとレベルアップだ。

ステータスを確認してみよう。


『人 Lv3  名前:日月虹羽

ステータス

HP48/48

MP13/13

SP32/32

スキルポイント15

平均防御能力:24

平均速度能力:38

魔法抵抗能力:5

魔法能力:0



スキル

【回避Lv2】【冷徹Lv2】【俊敏Lv1】【窃盗Lv1】【槍術Lv1】【斬撃耐性Lv1】【棍棒術Lv1】


特殊スキル

【■命■■■念■渇■】

【■の■定、生への■■】


称号

【魔物狩り】【無慈悲】』


 スキルポイントは5ポイント、ステータスは項目によってまちまちの増加だ。

なんかゲームみたいでいまいち実感が湧かないな。とりあえずは今日寝るところを確保しよう。

そのままショッピングモールの中央広場に行くとそこは様変わりしていた。

あちこちに血痕が飛び散っておりハンバーグじみた肉塊がいくつも転がっており、とんでもないことになっている。

「う、うぅ。」

比較的マシな状態な一人はまだ意識があるらしい。それでも手足は折れて頭からは出血している。

「おい、大丈夫か?」

「誰だ…無事なら…すぐに…にげろぉ。」

「誰がやったんだ?おい、しっかりしろ!」

「へんな…奴がうろついてる。きを…つけろ」

そう言ってその人は気絶(あるいは死んだのかも知れないが)し、意識を失った。


「いったい誰が?」

「あー、そりゃ多分私だね」

急に後ろから声がかけられ、反射的に振り返ろうとした瞬間。

ゴッ!!

側頭部を何か重く固いもので強打され床に倒れ込んだ。耳の上辺りを血が伝っていくのを感じる。

視界がチカチカし、歪んでいく。

頭の痛みがひどくなり、意識が遠くなってくる。

《スキル【気絶耐性Lv1】を獲得しました》

声が何やら頭の中で響くと少しだけ気のせいとも思える程度だが意識が引き戻されるような感覚があった。

だがその程度ではどうにもならず意識はどんどん遠くなっていく。

《スキル【打撃耐性Lv1】を獲得しました》

《スキル【意識保持Lv1】を獲得しました》



 



「はっ!」

 意識が戻った。身体中が痛い。腕を見てみるとハンバーグみたく潰され骨が突き出ている。

 すると突然手足が猛烈に痒くなった。見ていると腕ぐちゃぐちゃと音を立てて治り始めている。

骨が中に引っ込み、肉がそれを覆う。その上から皮膚が張り付き肉を覆う。地面の血溜まりが蠢き体に血が戻ってくる。飛び散った肉塊がまだ皮膚で覆われていない部分に張り付き一体化する。

 あっという間に腕は元の状態に戻っていた。いったい私の体に何が起こっているのかはわからないが、考えるのは後だ。

床に転がっているパイプレンチを拾い上げる。まだ体が痛いが気にせず構える。

次の瞬間にはそいつの頭をかち割ってやる。


ーーーーー【side ■■】ーーーーー

「ふふ、もうすぐかな。」

心臓の拍動が弱まっていくのを感じながら僕は笑みを浮かべた。

これで6人目だ。

前回みたいにすぐ死んでしまったら嬉しくない。

だがもっともよかったのは一人目だ。

数時間前のこととはいえ今でもあの感触はこの手に残っている。


~数時間前~

「おい、追いつかれるぞ! ■■!」

僕達は必死でナイフを持った緑色の小人(後でわかったことだがゴブリンというらしい)からショッピングモール中を逃げまどっている。

もうすでに一人が目の前でめった刺しにされて死んだのだから震えが止まらない。

「うわっ!」

その時床のコードに足を取られてしまった。そのままゴブリンがのしかかってきてナイフを振り上げる。

「うぉぉぉ!」

振り下ろされるその瞬間、■■■がゴブリンを蹴り飛ばしてくれた。

「しっかりしろ!早く立ち上がれ!」

そのまま逃げて逃げて逃げて...いつの間にか中央広場に追い詰められていた。


 そこからのことはほとんど覚えていない。ただがむしゃらにゴブリンに組みついて■■■と殴り続けた。

気がつくとゴブリンは骨が折れ、肉の潰れた無惨な姿で横たわっていた。

 ■■■はゴブリンに腕を結構深く刺されていたので、■■■は止血と周りの警戒を、僕がこの死体を別の場所に持っていくことにした。


 運んでいる途中僕はさっきの感触と音を思い返していた。

肉を潰し、骨を何度も殴って折り、目を潰す感触と音。声にならないうめきを上げ、のたうち回る衝撃と断末魔。

そしてその過程での全てが僕にもたらした表現できない感情。

いったいこの感情はなんだろうか?胸の奥が熱くなるようなこの感情は?

それはまさしく素晴らしい音楽を聴いた後の余韻のような…


「おい、■■大丈夫か!」

気づけば■■■が目の前に立っていた。

「しっかりしろ。■が目の前で死んだのを見たからショックなのはわかる。でも今は周りを警戒しないと。」

「ああ、すまない。少し考え事していてな…それにしても聴き足りないものだ…。」

「聞き足りないって何がだ?今音楽を聞いている暇なんてないぞ。ところでこれを見つけたんだ。俺は手を汚しているから持っておいてくれ。」


 そう言って■■■が私てきたものは長めの金属パイプだった。ちょうど握りやすいくらいの太さで結構重たい。

とりあえず■■■に言われたように気持ちを切り替えよう…だがしかし、しかし...まだ聞き足りない。

「いくぞ。」

そ言って背を向けた■■■の後頭部を見た瞬間僕の脳内をとある考えがよぎった。


「■■■、向こうのエスカレーターの下を見てみてくれ。何かいないか?」

「うん?どうした■■。うーん暗くて見えないが...がっ!」

 ■■■の意識が向こうに向いた瞬間、■■■の後頭部を強打する。■■■は糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。

さて、これで後戻りはできなくなった。やってみよう。

ゴッ!!グチャ!!ボキッ!!

■■■の体の各所を拳で、金属パイプで殴りつける。当然血が飛び入り骨が折れるが気にしない。

これだ!これこそ僕が求めていたものだ。さっきとは比較にならないほどはっきりと音が紡がれてゆく。


「な、なん…グワァァァ!!」

 おや、目が覚めたようだ。そのまま寝ていればよかったものを。いや、案外いい音が鳴るかもしれない。

 そして演奏は落ち着きを持ってゆっくりと始められる「痛い、お願いだ!!やめ…」そして中盤に差し掛かると速く、大きく、熱情的なクライマックスへ「グッ…ガッ!!」、そして最後は余韻に浸るかのような静寂を奏でる。

そして、フィナーレ。

「          」

もはや声とも言えない声だがそれこそが最後のピースだ。

長く伸びて響き僕の内側を()わせる。

《モンスター【人間】を1体殺害しました》

《スキル【振動感知Lv1】を獲得しました》

《スキル【狂気Lv1】を獲得しました》

《スキル【虚ろな旋律Lv1】を獲得しました》

《スキル【棒術Lv1】を獲得しました》

《ユニークスキル【異常交響楽(エラーシンフォニー)】を獲得しました》

《条件を満たしました、称号【親友殺し】を獲得しました》


「あはっ、ははっ、はっはははは!」

 謎の声が頭に響いた瞬間僕の中に音楽があふれ出した。空中に五線譜が見える、そしてそこに次々と音符が刻まれてゆく。今まで音楽には疎かった僕でも直感的に理解した。これは■■■が奏でた曲なのだと。


こんなに素晴らしい曲を皆にも理解してもらおう。

皆にもこの曲の一部になってもらおう。

■■■によって曲を作ることはできた。

だがこれはまだまだ発展途上、多くの音楽を聴き、それを生かすことで初めて真の曲は完成するのだろう。

さて次はどのような曲が聞けるだろうか。


《モンスター【人間】を1体殺害しました》

《経験値が一定に達しました。レベルが6から7に上がりました》

《各種ステータスが上昇しました》

《スキルポイントを獲得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル【振動感知Lv2】が【振動感知Lv3】になりました。》

《スキル【絶対音感Lv1】を獲得しました》

《スキル【身体変形Lv2】を獲得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル【崩壊音Lv2】が【崩壊音Lv3】になりました。》

《ユニークスキル【届かねばならぬ境地トゥルー・シンフォニー】を獲得しました》

《条件を満たしました、称号【音楽狂ミュージックマニア】を獲得しました》

《条件を満たしました、称号【孤独な指揮者】を獲得しました》




 これで5人目も終わりだ。今回は40代ほどのサラリーマンの男性。ゴブリンに襲われて気絶していたところを演奏してみた。終始一貫して同じリズムを刻み続け最期まで目覚めることはなかった。

 2,3,4人目のうち特によかったのは3、4人目の20代の女性と男性の二人だ。

まず気絶した女性で演奏しようとしたところ、恋人と思わしき男性が来たので女性を助けてようとしたところを気絶させ二人まとめて演奏してみた。


 初めは男性だけの若さゆえか活気のある旋律が響いていたが途中から女性が目覚め、男性の荒々しい旋律と女性の優美な旋律が混ざり合い一つのハーモニーを生んだ。

 そして女性がフィナーレを迎えると、男性の悲壮な旋律が響き渡りフィナーレは涙を流すほどの悲痛な響きだった。このハーモニーはまさしく革命とも呼べるもので僕の音楽は格段な進歩を遂げた。


 また、ゴブリンでも何回か演奏してみた。

ゴブリンの演奏は、見た目通り粗野で粗削りなものが多い。しかしその旋律は野生に生きる者の荒々しさ、自然の厳しさなどを見事に表現している。



 しかし、まだ足りない。いまだに真の曲への道への足掛かりすらつかめていない。

だが、慌ててはいけない。ゆっくりと着実に曲は進歩しているのだから。

僕はただの指揮者でしかない。ほかの楽器の音を引き出し、最高の音を作り出すための。

それでは次の曲を弾く準備をしよう。


~数時間後~

 今度は高校生ぐらい男の子がやって来た。これで6人目だ。どんな旋律が聞こえるだろうか。

血の付いたパイプレンチを持っており、おそらくはゴブリンかなんかを殺したのだろう。

四人目(死んだと思っていたがどうやら生きていたようだ)と喋っていたところを不意打ちし床に殴り倒す。

さあ、演奏を始めよう!!


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