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聖女サルバ

 新しい国に新たな国民が増えるのは良いことなのだろう。

 でも俺は国を治めるには王の器として不足していると思う。


 それとガラミナ王に沢山お願いすることが出来ていく、つまり借りが増えて行く。


 しかし四十五万人と言うのは冗談だろうと思ったので、他の者が居なくなったところでグライスラーに聞いてみた。


「いくら何でも四十五万人は多いだろう、本当は4万人位だろ」


「いえ、四十五万人で間違いありません。

 占領されて20年近く、元の占領された十一の国の住民は弾圧されています。

 そしてその中から選ばれた者は王都で雇われています。

 雇われているというのは言葉だけで、ほぼ奴隷です。

 そして彼らには繋ぎとめる鎖である人質が取られているのです。

 その鎖とは王都で働かされている者達の家族を含む、元の占領された国の全住民が人質なのです」


「まさかその全住民がこっちに逃げて来るのか?」


「その通りです。

 我々の居住区には田畑のための各国に合わせ十一ダムが作られていますが、このダムはある方法で決壊できるのです。

 そして1つのダムでも決壊すればそこに住む住民四万人以上の命が失われるでしょう。

 奴らはそのことで住民を人質とし王都の者達を奴隷として繋ぎとめているのです。

 我々は、それを逆に利用しようと考えたのです」


「利用しようとした?

 ダムを利用するのか?」


「我々は大雨の日にダムを決壊させようと考えております」


「でもそんなことをしたらお前達も危険になるだろう?」


「そのための大規模転移魔法陣です」


「四万人を転移なんて大規模な魔法陣、直ぐに見つかるだろう?」


「いえ、田畑を耕すふりをしながら地上からの1m程度掘った下に石や小石を使って魔法陣を少しずつ作って行ったのです。

 地上から見ても魔法陣は分かりませんよ。

 そしてもう直ぐ魔法陣は完成します。

 また数日で雨季が来ますから計画を実行する時が近づいています」


「要するに四十五万人を逃がす先が俺の国になるだけと言うことだな」


「そうです、王都に居る者達にも連絡を入れるようにしております、四十五万人がこの国に一気に移動してきます」


 そうか、十一のエリアに別れて転移するのだ、1か所では4万人くらいだろうか?

 4万人と言えば多く聞こえるが、東京ドームに収容できる人の数は5万5千人は入る。

 つまりある意味大規模な田畑であれば出来ないことでは無いだろう。

 そして洪水から逃げるという状況であれば高台に4万人が集まっても不自然ではないな。


 そうか、四十五万人は本当に来るのか……


「分かったありがとう、それで準備は内密に進めなければならないからカルミラと進めてくれ」

 こう言うことはカルミラが得意そうに思え等。


 俺はガラミナ国王に話をするため、再度ガラミナ国王に会いに行った。


 とりあえず仮設でも良いので追加で四十五万人が住めるところが必要になった訳だ。

 しかしお金も無い俺の国に追加援助してもらえるだろうか?


 でも、住むところに関しては、そんな心配が一切なかった。 


 ガラミナ王は簡単に答えた。

「四十五万人程度ですか?

 そのくらいなら、旧地下都市なら直ぐに住めますよ」


 実は旧王国の地下には大きな都市があり、そこに住むことが可能だった。


 驚くことに元々その場所に百万人が住んでいたらしい?


 とは言え食料やエネルギー等の問題もあるので色々ガラミナ王と話を進めた。

 実は少し酒が入ったというのもあるが話し合いは結構大変だった。

 なんと、話が終わったのは翌日の朝だった。


 その朝、カルミラが呼びに来た。


「聖女様がどうしても王女様にお会いになりたいとのことで昨日からお待ちです」


 そう言えば聖女に会うとかの話は前回聞いていたな。

 でも夜から待っているって?

 聖女って治療とかあるだろうから、そんなに時間を無駄にはできないだろうに?

 戻って見ると、聖女長であるマルタ・クルーズと聖女サルバ・キールという二人の聖女が待っていた。

 彼女達をみて本当に驚いた。

 彼女たちは今までに見たどの女性よりも美しいのだ。

 そう、前世界の世界的な美しい女優のような姿、その美しさは例えようがない。

 その姿に聖女の貴賓を持ち、そして肌の透明な感じが印象的だった。

 マルタ聖女、サルバ聖女とも美しく、特にマルタ聖女長も年齢を重ねているにも拘らず美しさはサルバ聖女と変わらなかった。

 マルタ聖女長が一言俺に告げた。

「王女様、貴方に会いたいと予言者が言っております、彼女の寿命が尽きる前にお会い頂きたく」


 予言者、それはこの世界の王女が禁忌を冒す切っ掛けを作った者だ。

 もしかすると、王女の何かが分かるかもしれなない。


 そう考えると居ても立っても居られなくなった。

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