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この世界の常識、俺の世界の常識?

 謁見の間に守護神五名と表門で騒いでいた五十人ほどが集められることになった。

 実は準備が出来るまで少し時間があった。


 そこで、まだ戴冠式も譲渡も行われていないので国では無いが、この三人の国(現在は・・・)だが、私達三人の役割について、どうしようかと悩んでいた。


 とりあえず俺は、この際王女様でも構わない、そうだよ最後には元の世界に帰るのだから良しとしよう。

 だから後のことも考えガルミナには王に成ってもらうのが良いのだろう。

 そして俺はガルミナの養女と言うことで、王女のまま?

 ではカルミラはどうしようか?


 俺が養女で王女という設定が、見かけは同じ年に見えるから、なんか変な気もするが……


 とりあえず二人にも意見を聞こう。

 と、簡単に言ったが、聞いてみてビックリした。

 カルミラが大変なことを言い出した。


「王女様が女王陛下なら、ガルミナが本妻で、私は妾です」


「はぁ?、本妻と妾?ガルミナは男だよ」


「いいえ、大丈夫でございますよ。王女様と愛を育むのはガルミナの役目で、私は王女様の子供を授かる役目です」


「はぁ?」


 生物学的にという意味ではカルミラの役割は合っているが、それって倫理的に良いのか?


「ガルミナの意見はどうなんだ?」


「私もカルミラの言うことに賛成です」


 ダメだ、やっぱり常識が付いてこない。


 否定しようと思うのだが、最近考えが可笑しくなっている、俺の頭は違うことを考えていた。


(前の世界の常識が画一化しすぎているのかもしれない。

 少なくとも倫理的等ということは、前の世界の人間が勝手に考え出したことであり、カルミラの言うことが筋が通っているのではないか?

 考えて見れば一夫一婦制は日本の制度だ、そうでない国もある)


 そう考える自分が居た。


 常識という『本当は曖昧なもの』が自分でも分からなくなってきた。



 『人の愛ってなんだろう?』



 実は最近俺もおかしい、ガルミナに口づけをしてしまった。


 あの時は本当に助けて欲しかったし、口は勝手に弱音を吐き散らそうとしていた。

 そこに彼が居てくれて安心出来たこともある。


 大丈夫だ外国では挨拶代わりに軽いキッスをする国もある。

 でもそんな口づけでは無かったよ、俺……


 男同士……


 そんなことは小さいことかもしれない。

 そうなんだ、ここに着た時、多くの男達にハグをした。

 いや違うな、ハグしてもらった。

 彼らから受けた、温かいものは紛れもない愛だったと思う。


 『女装男の王女が女王様になる』

 これは甘んじて受けようじゃないか。


 『元王子で今は侯爵の男が女王様の本妻』

 もしかするとガルミナは本妻なので俺を迎えに来た時のように女装するとか?

 確かにいい男だ、帰れなくなるかもしれない危険を顧みず俺を迎えに来たんだ。

 女装男の本妻なんかで良い訳が無い、世界に必要な人だろ。


 これは結論が出せない・・・


 『元王女様で侯爵の姉が女王様の妾』

 自分の寿命を削ってまで弟やこの世界のことを考えた彼女。

 女装男の妾、馬鹿なことを言うな、彼女は世界に必要な人だ。


 これも結論が出せない・・・


『ダメだ、今の発想では、この世界の現実と常識に追いつけない……』


 結局俺は平凡な形しか思い浮かばない……

 違うな、前の世界に捕らわれ、平凡以外を否定している。


 そう言えば誰かが言っていたよな。


 『愛の形は多様なんだ』  それなら……


 現実を疑うな、今を見ろ、そして考えるんだ、ここは前の世界とは違う。

 この世界の常識を見極めなくては結論は出ないのでは?

 でも、前の世界の常識を疑って良いのか?


 そんなことを考えて居ると謁見の間の準備が出来たと知らせが入った。


「分かった直ぐに行くよ」


 愛することだけなら、今三人で居ることの安心感や彼ら二人に対するこの気持ちは嘘ではないだろう。


 ならば結果的にカルミラの案でも俺は良いかもしれないと思い始めていた。


 だがそれならば、女装男だけでないことを証明しなければならないな。

 俺が女王として頑張らなければならない。



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