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襲撃(2)

 子供の頃2mの凹面鏡が太陽光を集めレンガを溶かすのを見たことがある。


 レンガを溶かす、それは1000℃を超える温度になるということ。

 太陽光とはそれほど恐ろしいものなのだ。


 そして都合が良いことに、水は光を屈折させたり、全反射させたりできる。


 水蒸気を集めバースレイの周りに8つの10m程の大きな丸い水のディスクを作った。


 何も知らないバースレイは偉そうに何か言っていた。

「王女様の攻撃ですかな、これは痛そうな大きな水の玉ですな、おお怖い、怖い!!」


 水の玉に見えるのだろう、しっかり馬鹿にしているようだった。


「お馬鹿なバースレイさん、さようなら!!」


 まるで女の子が言うようにそう言うと、水のディスクを最終形態に変化させた。


 前の4つは全反射し太陽の光を集める凹面鏡に、そして後ろの4つは屈折する凸レンズにした。


 一瞬だった、物凄い光が前後の4箇所からバースレイを捉えて光輝いた。


「眩しい…」


 直視できない程眩しい光、そしてバースレイは悲鳴をあげることもなく、高度を落としていく。

 やがてそれは小さくなりながら自然落下していった。


 途中で、バースレイの結界が消え煙が上がる、それを見てバースレイを倒したと確信した。


 光はバースレイを追いながら地面に達するが、地面が融けているようだった。

 鏡とレンズを解除すると地面がマグマのように赤くなっていた。


 何故だろう、なんの感情もない。


 今、俺は人を殺したのではないか?


 バースレイのことなどどうでもよかった。

 どちらかと言えば、ガルミナのことが心配だった。

 

 光輝く閃光を見た眩しさの影響から解放されると周りが見えてきた。


 周りを見ると俺を助けた後バースレイに挑んで行った守護神なる者たちが倒れてた。

 腕や足が千切れかかるような相当な重症だった。


 彼らの最後の会話を思い出した。

 そうだ、彼らは自分の意思ではなく操られていたのではないだろうか?

 その上、自分を許せないとも言っていた。


 自分を許せないというからには相当な辛苦なのだろう。

 このまま死なせてやるのが親切なのだろう……


 だが俺の催淫が切っ掛けであるなら……彼らを解き放ったと言うのであれば……

 今の苦しい心を解き放ってやらねばならないのではないか?

 だから助けようと思った、それに俺も彼らに助けられたのだ。


 助けよう……そう決心した。

 ガルミナの時もそうだったが、欠損し失われた腱や筋肉を修復する魔法を使うと魔力が著しく減る、五人も処置して俺の魔力って大丈夫なのだろうかと心配もしたがもう決心したのだ、やるしかない。


「王女様、直ぐに逃げましょう」

 走って来たカルミラの声がした。


「師団長は倒したから、もう大丈夫だろう」

 何の根拠もないが、そう答えると守護神と呼ばれる者達を治療し始めた。


「なぜ敵を治療するのですか?」

 カルミラが驚いたように声を上げる。


「彼らは俺が催淫で操っていたのではなく、自分からバースレイに向かって行った。

 多分俺の催淫の力で目覚めたのだろう、俺は彼らに助けられた、だから助けたい、それだけだ」


 守護神五人を治療するとガルミナの所に行った。

 流石に魔力の使い過ぎなのか、フラフラだった。


 ガルミナの傷は応急処置だったのだ完治はしていない。

 だが今は顔色は良くなって眠っていた、その顔を見ると安心した。


「早く元気になれよ……心配させるなよ」

 その時ガルミナの顔がなんか申し訳なさそうな顔に見えた。


 そうしていると、意識が遠くなって行った。



 その後、意識を失った王女を見て、カルミラがあきれていた。


「気を失うまで他人のために尽くす王女って……なに?

 それも、大きくなった片方のおっぱいを出したままにして……

 本当に大活躍でしたね、ご苦労様」


 そういうと自分の羽織っている服を王女に掛けた。

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