兎11羽 私がオバサンになっても
僕がお風呂から出た後に四ノ宮さんから40年後の日本について彼是彼是と質問質問の質問詰めだった。
今は二人でベッドに横になりスマホを眺める。インストール済みのリバーシで対戦中だ。
「あ~、また負けました~。楮山さん強すぎですぅ~。未来人強すぎです~!」
未来人って表現はどうなんでしょう?
「40年後か~。私、楮山さんの時代だと57歳ですか~。オバサン通り越しちゃってるんですね~(涙)」
耳から垂れ下がる髪の毛を指でクルクルしながら四ノ宮さんは涙目になっていた。
「でも四ノ宮さんは綺麗だから、きっと素敵なオバサンになってると思うよ」
「あ~~~!ヤッぱり私、オバサン何ですね!日本に帰れたら絶対会いに来ないで下さいね!」
「え~、それって少し寂しくない?」
「ダメです~!絶対オバサンの私は見せません!」
「ははは、僕達って今日異世界に来たばかりだから、まだまだ当分は日本に帰れないと思うよ」
「…………私は……私はあの日本には帰りたくないです………」
四ノ宮さんは寂しそうな顔で俯いてしまった。
「……お爺さんが異世界に行けるって言った時は、神様が私を助けに来てくれたんだって、凄く嬉しかったんです……」
「…………………」
か細く微笑む四ノ宮さん。死ぬほど嫌な事が向こうであったのかもしれない……。
「楮山さんは何でこっちに来ようと思ったんですか?」
少し涙を溜めた瞳で、それでも笑顔で僕の事を聞いてきた。
「ん~~~、流行り?」
「はっ? 2020年は異世界転移が流行ってるんですか?」
「小説の世界でね(クス)」
「び、吃驚しました。2020年は異世界転移が当たり前の時代になっちゃってるんだと思いましたよ~」
「これが流行りの小説だよ」
僕はスマホの画面を電子小説に切り替えた。
「少し読んでもいいですか?」
僕は「どうぞ」と言ってスマホを四ノ宮さんに渡した。小説を読み始める四ノ宮さん。異世界転移初日から楽し過ぎる。
夢にまで見た異世界転移、剣と魔法の世界で僕はユニークスキルホルダー、そして美少女との出会い。
僕のスキルが無双系じゃ無いのは少し残念だけど、複製スキルは僕しだいで化ける可能性もある。
明日からは異世界を冒険する毎日が始まる。
あ~、ずっと四ノ宮さんといられたら幸せなんだろうな~。
僕は今日出会った美少女に恋をしてしまったようだ……。
スマホ小説を読む綺麗な黒髪の美少女の横顔を見ながらそう思っていた……。
………………あっ、パンツ複製しないと!
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