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スピンオフ~ヨルム様の見ていない世界~2

作者: 斎藤 怜

この作品は「ヨルム様の独り言日記」のスピンオフです。

本編はこちら

https://ncode.syosetu.com/n1404fi/


本編が殺伐としているので、この世界のヨルムと主人公であるアルファズルが見ていない世界をお楽しみください。


マッシュ・ガーリーの一日


聖導騎士団。それは聖導師様の聖家である聖導都を守護する騎士達の事である。そしてその聖導


騎士団の団長であるのが、彼、マッシュ・ガーリーだ。


チュン、チュンチュン、チュン、


「ん…今朝も良い天気です。おかげですっきりと目が覚めました。…聖導師様の救いと導きがあらんことを。さて、着替えますか」


ビリッ


「あー、また破いてしまいましたか。最近肌着がきつくなってきているとは思っていましたが。なぜでしょう」


ガチャッ


「失礼しますマッシュ様。おはようございます」


「ケビンですか、おはようございます。早速で悪いのですがこれを」


「また、ですか」


「ええ、恥ずかしながら。体は毎日欠かさず鍛錬しているはずなんですが、蒸したイモを食べ過ぎたのが原因でしょうか」


「おそろく、鍛えすぎて筋肉がつき過ぎているのではないかと…」


「何か言いました?」


「いえ、何も!」


「今日から少し鍛錬を厳しくしなくては」


「(絶対逆効果だよなあ…でもマッシュ様は鍛錬に関しては人の意見を参考にしないからなあ)」


「という事でさっそく鍛える為にもケビン、鎧をつけるのを手伝っていただけますか」


「は、はい」




ブン、ブン、ブン、


「皆、鍛錬に励んでいるようですね」


「隊長!?」


「隊長何故ここに!?」


「朝は執務室で仕事があるとおっしゃっていたはずでは?」


「それなのですが特段急ぐ要務もなかったのでこうして私も久々に午前の鍛錬に参加したいと思いまして」


「はあ、それなら構いませんが」


「(聞いたか、隊長また肌着が着れなくなったとか)」


「(ああ、ケビンが言ってた。相変わらず胸の所だけ破けていた、と)」


「(隊長の筋肉はどこまで成長するんだ)」


「(何故か本人は太った、と勘違いしてるみたいだが)」


「(そのうち鎧も弾け飛ぶんじゃないのか)」


「私の事は気にせず各々、鍛錬を続けてください」


「了解しました!!」


ふ、ふ、ふ、ふ、ふ、


「(体を動かしたい気持ちはわかる。わかるが)」


「(何故鎧をつけたままなのか)」


「(そして何故それで汗をかかないのか)」


「ふ、ふ、ふ、ふ………ふー」


「止まった」


「いや、違うこの流れは」


「やはり両手では負荷が軽くなってしまいますね、ふ!」


「出たー!鎧着ながらの片手懸垂!」


「それすらも、それすらも余裕なのか?」


「我らも他の兵や騎士達には劣らないと自負しているが、あの方には勝てる気がしない」


「さすが騎士団長…」


ガシャ、ト、


「ふー、久々にやると案外苦しいものですね。私は執務に戻ります。では」




「では、これより午後の鍛錬を始めるものとする。2人組となり、組手を開始せよ」


「「「「「「「「「「「「了解!!!」」」」」」」」」」」」


「午後は組手ですか副長」


「団長、ええその通りです。皆団長の御姿に刺激され、やるきは十分ですよ」


「そうですか、ふむ」


「何か」


「いえ、ならば今日は私も組手に参加します」


「!!!!」


「「「「「「「「「「「「!!!!!!!」」」」」」」」」」」」


「いや、しかしそれは」


「私の様になれ、とは言いませんが皆がそれほど私の事を見ていたのであれば実際に私と手合わせをした方が良い経験になるでしょう」


「「「「「「「「「「「「(な、なにーーーーーーー!!!」」」」」」」」」」」」


「(ま、まずいぞ)」


「(隊長と組手などしたら明日以降体が動かなくなる)」


「(それならまだいい方だ。俺は前回医務室行きだったからな)」


「(いや、待て副長なら上手い事言いくるめてくれるかもしれない)」


チラッ


「しかしこの後、そう、本日の鍛錬は既に予定が組まれていまして団長と組手をするとなると、その」


「その、なんです?」


「この後剣と鎧の整備をしなければなりません。最近さぼって汚れていますから丹念に磨かなければなりませんからな」


「鎧を磨くだけなら差し障りないでしょう、ではさっそく始めましょう」


「「「「「「「「「「「「(しくったー!!!)」」」」」」」」」」」」


「ならば団長、せめて鎧を脱ぎましょう」


「いや、私は着たままでも」


「そうです、この後鎧を磨くのです。ならば今脱いでおいた方が楽では」


「しかし」


「そうだな、良し!ケビーーーーーーーン!ケビンはどこだーーーーーーーーー!!!」


た、た、た、た、た、


「はいはい!小間使い、ケビンはここです!!」


「いいかケビン、団長はこれから私たちと組手を行う。その為、鎧を脱ぐのを手伝いなさい」


「(いいか、なるべくゆっっっっっくり脱がすのだぞ!!)」


「了解しました副長殿!!ではマッシュ様こちらへ」


「え、ええ」


「(今の内に全員鎧を脱いで土を出来るだけ柔らかく、柔らかく耕すぞ!!)」


「「「「「「「「「「「「了解!!!」」」」」」」」」」」」


ざ、ざ、ざ、ざ、が、どご、どさー、さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ、


「ほう、いつにもまして気合が入ってますね」


「そ、そうですね団長が参加されるという事で皆、気を配っているんですよははは、ケビン、もっともっとゆ、んん、丁寧に扱いなさい。この後団長の鎧を磨くのはあなたなのですから」


「はい、ではマッシュ様屈んでいただいてよろしいでしょうか」


「ええ。………にしても土木がこれほど板についていたとは。さすが我ら聖導騎士団、どの様な事にも抜かりはなさそうですね」


「ま、間に合ったか…?」


「ああ、さすがにこんだけ柔らかくしとけば腰から落ちても大丈夫だろう」


「頭から落ちたら?」


「それくらい受け身取れ」


「なんか、畑仕事してるみたいだ」


「あながち間違ってないかもだ何故なら、」


「何故なら?」


「この後土に埋まってしまった誰かを掘り起こすことになるぞ多分」


「では、私も準備が出来ました。さっそく組手を始めましょう」


「団長、ここで私より提案があるのですが」


「何ですか」


「団長、ここにいる全員と同時に組手ではいかがでしょうか」


「「「「「「「「「「「「!!!!!!」」」」」」」」」」」」


「(な、なにを考えてるんだあの副長ー!)」


「(いや待て、仮に団長と1対1にでもなれば空へ舞う事は必須)」


「(そうか、全員でかかればさすがに全員が全員投げ飛ばされることはない)」


「(少ない犠牲で済むというのか…さすが副長だぜ)」


「(ああ、物事を穏便に済ます副長の座は伊達じゃない)」


「そういえば副長、あなたは鎧を脱がないのですか」


「ああ、私は掛け声をかけますので」


「「「「「「「「「「「「(副長ーーーーー!!!!)」」」」」」」」」」」」


「(あの野郎、しれっと自分だけ逃れたぞ)」


「( ゆ る さ ん )」


「(通りで手伝いもしないと思ったら…くそう、策士め!)」


「掛け声ならケビンにやらせない。ちょうどいるのですから」


「ぼ、僕ですか?!」


「な、いや、しかし」


「何、他の団員を組手をしている間に脱げるでしょう。では、ケビン合図を」


「は、はい!では…始め!!」


おおおおおおーーーーーーーーー!!!!


「(こうなりゃやけだ全員で突っ込め!!!)」


「(団長を抑え込めばさすがにうごけまい)」


「(12人に勝てるわけないだろ!!)」


がし、がし、がし、がし、がし、がし、がし、がし、がし、がし、がし、がし、ががががが、


「なるほど、全員で私の動きを封じに来ましたか、ですが」


ふん!


ぐわーーーーーーーーー!!!!!!


どさ、どさ、どさどさどさどさどさどさどさどさどさ、どさ!!


「「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」」


「ふー、どうやらまだまだ鍛錬が足りないようですね。各々精進するように。おや、副長まだ着替えていなかったのですか?」


「は、もう…?」


「そしたら良いです、着たままで結構ですのでかかってきなさい」


「う、う、う、」


うわーーーーーーーーーーー


ブン!


ぽいーーーーーーーーーーー


どざっ!


こうして聖導騎士団団長マッシュ・ガーリーの一日が終わる。

読んでいただきありがとうございました。


この度、本編では回収できない部分ですね、世界観というか、本編では××でしまったキャラ達がいますので、彼らの活躍を書けたらな、と思います。


よければ本編「ヨルム様の独り言日記」もどうぞ。

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