能力 — Ability —
能力——
その言葉を聞いて、部員達は首を傾げた。笠原先生は、衝撃的な言葉を送った。
「いいか。今のeスポーツを勝ち抜く上で、この能力を知る事は、絶対不可欠になった。最早、能力を知らぬ者は、プロゲーマーになる資格なし。」
この言葉に、部員全員ショックを受けた。
「で、今のお前達は当然知らない。という訳で、これからeスポーツで戦っていく為に、俺が長年研究して得た情報を教える。」そして、笠原先生による能力の説明が始まった。
「まず、能力とは、ゲーマー自身が持っている、ゲームを有利に進める為の特殊な能力の総称だ。そして、その能力を持つ者を、能力者と呼ばれる。能力者になれるゲーマーは約10%とされているが、これは年々上昇傾向にある。能力は、人間の基本性能を引き上げた基本能力系とゲーマー自身の個性が反映された個性能力系の2タイプある。個性能力系は挙げたらキリがないので、ここでは割愛するが、基本性能系は、基本的に2つある。」
そして、笠原先生は続ける。
「まず、1つ目は、第六感。これは、能力者全員が覚醒する基本的機能。これがある事で、能力者は、他の能力者の能力を認識することが出来る。この第六感のみ覚醒する者もいる。そして、もう1つが、融合。これは、極めて少数のゲーマーが覚醒する、ゲームのプレイアブルキャラクターの「意識」と自らの「意識」を融合させる能力だ。これを行うと、『自分がファイターになる感覚』になる。そして、ゲームの状況判断が的確になり、コマンド入力成功確率が上がり、ゲームを有利に進めやすくなる。」部員達は、真剣に聞いている。
「以上が、俺が長年得た能力関連の情報だ。ただし、能力は未だ解明されていない部分も多く、近年では、能力者の覚醒者が増加傾向だ。今後、eスポーツで戦っていくには細心の注意が必要だ。そして・・・・」笠原先生は、鋭い目つきで発言した。
「今回のeスポ甲子園東京予選に、能力者と思われるゲーマーが参戦する事になる。この映像を見て欲しい。」
笠原先生は、ある映像を見せた。ある少年が、とある会場でひたすらゲームをしていた。
その映像を見て、誰よりも驚愕したのはダイチとマサトだろう。何故なら、そこに映っていた少年は、アキバ駅近くのゲーセンで会った白髪色白の赤い瞳の少年だったからだ。笠原先生は、さらに衝撃発言をする。
「もし、この子が能力者だった場合、我々は、90%の確率で負ける可能性がある。」
これには、どよめきが起こった。負ける可能性90%?僕達が今まで頑張って来たのは一体何だったのか?
全て無駄になる可能性が90%超えているのか。ショウゴは、
「勝つ方法は、あるんですか?」
笠原先生はこの時、「奇跡を信じて、戦うしかない。」と言っていたが、実は一つだけ道はあった。無論、それは奇跡に近い確率だ。
(この部員達の中に、能力者として、覚醒する者がいれば・・・。)
その後、それぞれeスポ甲子園の最終調整に入ったが、ダイチは、ひたすらある練習をしていた。
「俺たちだけの技」
ゴウと一緒に作った友情のコンボが詰まった技。ダイチは、ひたすらコントローラーのボタンを押しまくった。やがて、段々とダイチの五感が研ぎ澄まされていくように感じた。
「おーい、ダイチ」
いきなり声がしたので、「うわぁ」と声を上げてしまった。呼んだのは、ケンジだ。
「大丈夫か?結構、やり込んでいたけど。」
いつの間にか、部活終わりの時間だった。ダイチは急いで、準備して学校を後にした。
ダイチは、一人で家に帰っていた。最近はゴウと一緒に変える事が多かった為か、寂しく感じる。
ゴウは、大丈夫だろうか。ゴウの体調を心配した。
そして、ダイチは盟友の思いを背負って、eスポ甲子園東京予選リーグを迎える事になる。