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青春ゲーマー  作者: 伊藤 啓
奮闘編 —友情コンボ—
5/16

無双連撃 — Critical Rush — (1)

 ダイチとゴウは、笠原先生の指示によって、真剣勝負することになった。

ダイチは、涼、ゴウは「マックス」というファイターを選んだ。マックスというファイターは、「エアシュートカリバー」という遠距離攻撃を放つ事が出来、その特性を生かした必殺技、特殊技を持っている。

「Ready.....Go!」

 ゲーム開始の音と同時に、壮絶なバトルが始まった。ゴウは、遠距離攻撃を大量に放つ。ダイチは、防戦一方である。やがて、ゴウの攻撃を交わしつつ、ダイチは至近距離で、強パンチ繰り出した後、必殺技「流星拳」を放つ。ゴウは、30%のダメージを負った。しかし、ゴウも僅かな隙をみて、攻撃を撃つ。ダイチ、40%のダメージを負う。双方、互角の戦いを繰り広げている。

 ショウゴは笠原先生に、「どうですか?」と聞いた。笠原先生は、


「ショウゴ、さっき『ダイチは、まだ成長しきれてない。』って言ったろ?お前の目は、節穴だな。」


とニヤリとした表情で、ショウゴの発言を咎めた。ショウゴは、自身の発言の否定と笠原先生のキャラが変わったのと相まって、困惑した。

 結局、僅差でゴウが勝利した。ダイチは、


「くそぅ〜、あと一歩だったのに・・・」


と声を出して、悔しがった。笠原先生は、


「二人とも、いい試合を見せてくれた。」


と二人を讃えつつ、


「まぁ、俺が見ていたのは勝敗ではなくて、二人のプレイスタイルを見てたんだけどね。」


と話した。続けて、笠原先生は二人のプレイスタイルについて話す。


「ゴウは、攻撃主体型。良く言えば、積極的な攻撃スタイルで相手を圧倒する。悪く言えば、防御が疎かになり、ダメージを食らいやすくなる。いわゆる諸刃の剣型だ。対して、ダイチの方は、攻守を上手く使い分けているイメージもするが、どちらかと言うと、防戦型のプレイスタイルになってしまっている。これでは、相手のダメージを与える機会を失う可能性がある。そして、攻撃パターンの質が悪い。流星拳を連発しまくりだ。これでは、隙が生まれる。」


笠原先生の意見は的を射ていた。ケンジとショウゴは、非常勤講師の割には、かなり的確なアドバイスを送る40代の中年の男に、ますます疑念が湧いた。一体、この人は何者なんだ?


 笠原先生は、「つまりだ。」と言い、


「二人とも、筋は悪くないということだ。まだ1年だし、実戦経験を積んでいけば、なんとかなるだろう。ゴウは防御を、ダイチは攻撃チャンスを意識して、今後は練習に励むといい。」


とアドバイスを送った。


「さてと、ショウゴ。『クリティカル・ラッシュ』を二人に叩き込むぞ。デモを頼む。」


とショウゴに言った。

 ショウゴは、「はい。」と言って、ゲームのコントローラーを握った。ショウゴは、トレーニングモードを開いた。笠原先生は、横からショウゴに指示を送る。


「ショウゴ、二人に分かりやすいように、ファイターを『涼』にしろ。」


 ショウゴは涼を選択し、トレーニングを開始した。

 ショウゴは、高速でコマンドを打ち、流星拳、疾風脚、聖空拳など全ての必殺技をラッシュの如く連発し、攻撃した。攻撃中、全く隙を見せない。相手のダメージは一気に減った。ダイチとゴウは、ショウゴのコントローラー捌きに魅了された。笠原先生は、


「これが、無双連撃(クリティカル・ラッシュ)だ。」


と言った。


「今日から、二人にはこの練習をしてもらう。(eスポ甲子園)東京予選までには、ちゃんと出来る様にしといてね。じゃあね。」


と言って、そそくさとPCルームから出ていった。

 こうして、二人の無双連撃の特訓が始まった。それは、地獄の日々の始まりだった。

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