39.幕
今朝のニュースは各局が同じ話題を主に放送していた。自由国民党の総裁選である。結果は高木さんの圧勝。新しい総理に期待を寄せる反面、誰がなっても同じという世論も出ている。ここからは高木さん次第だ。俺も勿論力添えするが、メディアを抱えた野党は脅威、今まで以上に慎重にならねば。
一方、時を少し遡るが三週間前、俺の元にある情報が入った。秋川昴が病院にて息を引き取ったと。
嘘だ、そんなことある筈は無い。彼奴は「どうかしたかい?」と人を馬鹿にした様子でどこからか出てくる筈だと何度も思った。そう何度も。
しかし、死亡届が提出され、遺体も既に火葬されたらしい。確認も何もできないが、今はそれを信じるしかない。
俺が今彼奴の為にできることは彼奴の功績を無駄にしないことだ。墓参りや組の事務所に顔を出しては俺はメディアに捕まり、議員を辞めねばならない。だからこそ俺は国会議員として国の為に生きた彼奴の意志を継ぎ、今よりも良い国にする。そう心に誓った。
今日もいつも通り国会を終え、自宅へと帰る為、最寄りの駅へと歩いていた。痛た!
「おっと、ごめんよ。」
いかんな、考え事をしていては危ない。さっきみたいに人にぶつかってしまう。駅の改札、ポケットからスマートカードを取り出そうとすると何やら覚えの無い物が手に当たった。
取り出すと四つ折りにされた紙であり、開くとそこにこう書かれていた。
『悪いな右京、俺はここまでだ。後はよろしくな。』
振り返り、辺りを見回したがもう手遅れだろう。ふふ、ふふふ。ああ、任せてくれ昴。




