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リセットウォーズ  作者: 誠也
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34.討伐

 倉庫の中一人銃の手入れをする。銃口の汚れを取り、詰まらない様にと。ここの所、敵に追いかけ回され休むに休めていないのか、流石に疲れが溜まっている。少しうとうととしながらも、しっかりと準備を進めた。

 今日の晩奴等を叩く。今度は取り逃しの無い様に。

 しかし、東帝会もこれ程までに敵の侵入を許していたのかと思うと、この先が危うく感じる。鈴川も上に立つカリスマを確かに持っているのだが、それも端々まで及ばぬ程に組織が大きくなり過ぎたのだろう。本当に厄介だ。

 昼寝をしようかと考えた時、一本の電話が入る。相手は春田だ。


「よお秋川、調子はどうよ?」

「悪くはないんだけどね、ちょいと眠いかな。」

「ハハハッ。そりゃ明日ぐっすり寝りゃ良い。それよりこっちは何時でも行ける状態だから、また夜に暴れようや!」


 そう言うとプッツリ電話が切れる。頼もしい気もするが、どことなく面倒臭さがあるんだよな。まあいいや、さっさと寝よう。

 倉庫の中に置いてある簡易的なベットに横になる。空調も無いこの部屋は寒く、ぐっと布団にくるまった。

 スマホのアラーム音で目が覚めた時間は午後四時半。組の奴等が来る前にと早めに設定したが、眠さが拭えない。徐に立ち上がり、近くにある水道の蛇口から冷水をかぶる。うう、冷てえ。でも目は冴えてきた。

 一息つくと、倉庫の入口から声が聞こえた。声の主は真壁達組の奴等で、頼んでおいた弁当も一緒だ。

 少し早めの夕食を済ませ、皆着替えを始める。闇に紛れる黒の戦闘服を纏い、銃を仕込む。慣れた手つきで作業を進めるその顔付きは皆真剣なもので、ルーティンになっているのか、集中力が高まっているのが分かる。

 準備が整ったところで最終確認を行った。大きめのテーブルに置いた敵の拠点の構造図から攻めるルートと人員配置を確認する。攻め方はほぼいつも通り、相手の退路を全て立ち、電気と通信網を遮断。その後混乱に乗じて各個撃破というシンプルなものだ。今回の中華料理店とらやは道路に面し、左右と裏をビルに囲まれている。前みたいに孔を逃がしてはいけないとその隣接するビルに春田組を配置、とらやの地下には野口組を配置する予定だ。


「お前ら今日の作戦は頭に入ってるか?」


 辺りを見回し、それぞれの顔を見る。


「しくじるなよ。そして生きて帰ってこい!」


 倉庫の中、歓声が上がる。これで一つ気合いが入っただろう。

 車に乗り込み、とらや近くの駐車場まで移動する。到着後辺りに誰もいないことを確認し、その時を待った。

 ・・・三、二、一、零。作戦開始と同時に車から降り、突撃した。作戦通り、建物の電気、通信網を遮断し、中へと突入する様は自衛隊とまではいかないがそれに近い程に洗練された動きをしている。

 中に入るとそれぞれに割り当てた部屋を目指し、俺は奴のいるであろう最上階へと向かう。前回黒虎と戦ったときは参謀役に徹し、実際に奴と手合わせしたのは右京だ。右京の話では、その動きと判断の早さで、こちらに攻撃の隙を与えず、攻撃が決まったとしてもそれが誘いであったりと苦労したらしい。

 建物の利は向こう側だが、奇襲であることでそれは無くなり寧ろこちらが有利といえる。夜、人々が寝静まった中それは戦闘ではなく暗殺。仲間達が発砲した音だけが下の階で微かに聞こえる。もしかしたらまだ上に潜む奴等に聞こえてしまったかもしれない。だが、殺れる時に殺らなければより面倒なことになる。それはダメだ。せてめ奴が動き出す前にと上の階へ急ぐ。

 最上階に辿り着き、目的の部屋の前で立ち止まる。入口側の壁に体を付け、ゆっくりと中の様子を窺う。物音はしない。が、怪しい。俺の知る奴の情報から考えるに十中八九奴は起きている。そしてこちらを殺す算段を立てて何処かに潜んでいるはずだ。だとすれば、壁を挟んで反対側か?そっと壁に耳を付ける。・・・分からないな。時間をかけても仕方ないと、銃を構えながら突入した。

 暗がりの中周囲を見渡すが、姿が見えない。んっ!。殺気を感じ見上げると、高い天井を横に走る柱の上に佇む奴が居た。こちらが気付き、銃口を向ける前に奴は飛び降り、素早い動きで間合いを詰めてくる。銃を両手から右手だけに持ち替え、撃つのでは無く、叩く為強く振った。しかしこれは、腕で防がれる。それにこのままでは終わらない。右京の話にあった通り、次の手を直ぐに繰り出してくる。もう奴はその右足を俺へと向けていた。だが、こちらもそれは読んでいる。銃から手を離した後、左手持ち替えたナイフが奴が蹴りを入れるであろう場所へと待ち構えているのだから。刃が足を捉える寸前で体を捻り、直撃は避けられたものの、奴のその右脛からは血が流れ出している。そして互いに距離を取った。


「おい、お前はどこの差し金だ!」

「そう言われても、言わねーよ。あんたが孔だろ?早めに降参した方が身のためだよ。」

「黙れ!」


 その言葉と同時に再び動き出す。こちらに向かって来るのでは無く、近くにある木製の椅子を取りに動く孔。ナイフに対し素手はダメだと判断したのだろう。しかしそう簡単には思うようにさせない。俺は動きを先回りするように銃弾を放つ。行くに行けない状態を作りつつ、孔を追い詰める。

 今入ってる残りの弾はあと四発。弾が切れれば不利になる。俺が弾を補充するより早く孔が俺を捉えるからだ。となれば・・・。

 距離を取りつつ、銃を撃つ。()()の銃弾は孔を捉えることはできず壁や床に被弾した。俺は弾が無くなったとリロードするふりを直ぐ様標準を孔を向ける。孔は俺が視線を少し落とす隙にあと一歩踏み込めば拳の届く距離に居た。だがそのあと一歩分遅かったな。俺はデカい的目掛けて引き金を引く。その銃弾は孔の左胸に命中し、辺りに血を撒き散らし、前のめりに倒れ込む。ふう、楽じゃないね。

 しかし倒れたはずの孔は被弾しても尚、俺を殺そうと手を伸ばしてきた。だが、その行動は読んでたよ。左手に持つナイフを孔の背中に突き刺す。もう這い上がってこない様にと。

 右京に話を聞いてて良かった。仕留めたと思ってもそれが罠かもしれないなんてあの状況では思えない。本当に厄介な相手だよ。でもこれで終わりだ。さて、下の奴等の様子でも見に行くかな。

 その翌日何事も無かったかの様にとらやの前を人が行き交う。しかしとらやは閉まったまま。ニュースも流れなければ、噂も立たない。夜の内に全て処理をしたからだ。

 それから東帝会の方は鈴川が膿を一掃してくれたらしい。これでやっとゆっくり眠れる。

 だが一つ気掛かりなことがある。何故か奴の死体が消えていたことだ。確かに仕留めたはず、はずなんだが。いや、今日のところは休もう。もう体がふらふらしてるからな。眩しい朝日を鬱陶しく思いながら家路についた。

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