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リセットウォーズ  作者: 誠也
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11.遁走

 昨日の件について話をすると昴から連絡が入った。松本組の皆にも伝えるとのことで事務所に集まる。事務所行くと親父以外の組員が既におり、少し重い空気だった。

 俺が最後であった様で、昴からの話が始まる。

 今回の件において安田さんは自首した。その為、暫くは戻ってこない。そこで安田さんの変わりとして、真壁さんが実行部隊の長となった。


「この失敗は全て指示を出した俺の責任だ。すまない。」


 と昴は頭を下げた。組員達もどうしていいのか分からない様子。今まで昴の作戦で多く功績を上げており、信頼も厚い。その為、責めようという気も起きない様だ。


「それから、これが一番大きな所なんだが、成瀬を殺したことで黒虎への献金もかなり減ることになった。奴等もかなりの痛手だろう。だが、その分恨みを多く買った。報復があるかもしれないから各自注意してくれ。」


 そう、成瀬がしていた中国への資金援助とは黒虎へのものだ。海外勢力の水際対策としてやった今回の作戦だが、成瀬を上手く丸め込めれば、恨みはあいつだけに向けられる予定であった。しかし、成瀬のあの様子では難しかっただろう。

 今日の所は組の仕事は無く、昴も事務所を出て行った。この後、どうするか。土工の仕事も今日は無いが、不用意に外は歩けない。帰って部屋でゆっくりしよう。

 事務所を出て自転車で家まで向かう。時刻は昼を少し回ったところ。日差しは強く照りつけ、背中は汗で滲む。これ程までに暑いとバテてしまう。体をやすめようと途中目に入ったコンビニに、茶とアイスクリームを求め自転車を止めた。

 店内は空調が効いており、涼しく体が一気にだれる。暑いのは辛いが体が温度変化に馴染むのに少し時間がかかった。ペットボトルの麦茶を取り、アイスクリームを選びに行くと見知った顔があった。


「あっ、右京くん。奇遇だね。今日は休みなの?」

「ああ。京子もアイスクリームを買いに来たのか?」

「うん、こう暑いと冷たい物が欲しくなるよね。」


 京子こと香川京子とはすっかり仲良くなり、呼び捨てをする仲になっていた。

 カップのバニラアイスを買いコンビニの外に出る。それからその近くにある公園の木陰に二人で腰を下ろし、アイスクリームを食べた。その一口で冷たさから頭がキンと痛くなる。横を向くと京子も同じ様に頭を押さえていた。それを見て互いに笑い、和む。


「右京くんこの後予定ある?良かったらどこか遊びに行かない?」


 予定は無いが、一緒に遊んでいる所を襲われても敵わない。


「すまない、予定は無いんだが、今日は少し疲れててな。部屋でゆっくりさせて欲しいんだ。」


 その言葉に京子は「そっか。」と残念そうな顔をする。ん、ちょっと言い方が悪かったか?


「京子と居ると落ち着くし、嫌な訳じゃ無いんだ。誘って貰ったのも本当に嬉しい。ごめんな。」

「ううん、そういう日もあるよね。分かった、また遊ぼうね。」

「ああ、また・・・。」


 帰ると伝えようとすると京子の背後に忍び寄る二人の男の姿があった。普通では無い殺気のある面持ちで。俺は京子の手を引き、手繰り寄せる。勢い余って俺の背後まで滑り、体を地に付けた京子は「痛た」と声を上げた。俺は一歩前に踏み出し、男二人と相対する。すると、男達は聞き取り難い日本語で罵倒し始めた。黒虎か。

 どうするかと考える前に奴等は殴りかかってくる。このまま避けては後ろに居る京子に当たるかもしれない。攻撃を受け止めると重く、受け続けるのも限界がある。反撃にと、片方の男の腹を目掛けただ思いっ切り手を出し、突き飛ばそうと試みた。男は少し後ろに下がり躱そうとしたが、俺もまた一歩前に踏み出し距離を詰める。俺の両手は男の腹を捉え、勢いそのまま男は後ろへと倒れた。しかし、一人を押しのけたのも束の間、もう一人の男が右の頬に拳を入れてくる。まともに入ったその拳に口の中が少し切れ、血の味が薄らと舌に伝わった。

 二対一では分が悪い。京子も居ることだしここは・・・。俺は敵を背にして、逃げ出した。その際に後ろで怯えていた京子の手を取って。追ってくる奴等から逃れる為、人の多い通りを選び、その中に紛れながら必死に逃げた。息を切らしながらも、捕まらない様に。それでも、京子にはかなりきつい様で、途中で足を止めた。振り返り奴等が来ていないかを見ると、人の多さにはっきりとは分からないが、近くには居ない様だった。


「京子すまない。巻き込んでしまって。」

「えっと、そのあの人達は何だったの?あっ、でもその前に右京くん口から血が。」


 京子はあわあわと落ち着きがない。このままここに居るのも危ないな。


「京子、一先ずここを離れよう。もしよければ俺の家が近いから、そこで話をさせてくれないか?」

「えっ右京くんの家!う、うん、分かった行く。」


 まだ落ち着かぬ京子の手を引き、家を目指した。

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