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赤にするか黒にするか

作者: ネタロー

そのお客様に出会ったのは冬のある日のことでした。


私の勤めているバーにはギャンブルルームがあり、そこではルーレットやポーカーなどのギャンブルが楽しめるようになっていました。


ここだけの話、コインは1枚100円の現金と交換できるようになっており、お客様の中にははまりすぎて、身持ちを崩す方もいらっしゃるほどでした。


そんな中、ある不思議なお客様がいらっしゃいました。

その方は時折、店に来店すると軽食とお酒を楽しみ、最後にルーレットを行って帰って行くというものでした。


何処が不思議かと言うと、そのお客様は初めに1コインだけ黒に賭けると、増えたコインも含めて、ひたすら黒色に賭け続けるというものでした。


当たれば増えたコインをまた、黒に賭け、負ければそこで終了し、退店されていく。

それはお客様が来店された際、毎回同じ様に賭けていました。


私は1度不思議に思い、なぜ毎回同じような賭け方を続けるのか尋ねて見た事がありました。


するとお客様は、

「私は昔から運と言うものに縁がなくてね、運よく当たる、なんてことは無いから一番確率の高いところに賭けているのさ」と


「それなら、毎回同じ色に賭ける必要はないのでは?」

そう、私が問うと、


「赤と黒、どちらも出る確率は毎回同じなのだから色を変える必要はないのさ」

そう笑って答えました。


それからもそのお客様は、来店の度にルーレットで黒を賭け続け、そして負けて帰っていくそんなことが続いていたある日のこと。


カララララララ、コローン。


「黒の24」


「「「おおおお!」」」


「凄い、これで19連勝」


「もう、5000万超えたぜ…」


その日もそのお客様はいつも通り、軽食とお酒を楽しんだ後、ルーレットで黒に賭け続けていました。

ただ、その日いつもと違ったのは、黒が1()9()()()()で出たという事でした。


お客様の前には倍々に増えたコインが山と積まれ、増えていったコインの前に、次第にギャラリーが集まりだし、今では店中の人間が勝負の行方を見守っています。


「…5000万、次勝てば1億…」


高々と積まれたコインの山の前に、お客様はうわ言のようにつぶやきながら、そのまま熱に浮かされたかのように黒へとコインを押し出そうとしました、と。


「流石に20回連続で黒は出ないよな」


そのギャラリーの声に、ピタリ、と手が止まりました。


「いやいや、ここまで続いたら、20回出てもおかしくはないんじゃ…」


「いやでも、連続で出る確率は…」


ガヤガヤと騒ぎだすギャラリーを背景に、冷や水を浴びせられたかのように固まるお客様へと私は声を掛けます。


「お客様、赤と黒、どちらになさいますか?」









ちなみに作者なら、5回連続で当たったあたりでやめるか、赤に賭けてしまいそうです。

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