第4話 テーマ性と完成度
テーマ性と完成度には関係性がない。
厳密には違う気もするが、わたしはあえて関係性がないと結論づけています。
テーマ性と完成度の関係性については意見が分かれることを先に断っておく必要があるでしょう。
テーマ性とは作品においてテーマがどの程度色濃く現れているかです。
文学作品は作者の内面的な感性によりテーマを書く。
一方でエンターテイメントでは他者の感性によりテーマを書く。
他者の感性によりテーマを書く場合、テーマの定義はあまり厳密にはなりません。
エンターテイメントではテーマそのものが厳密にならないので他の部分で補います。キャラクターなどが分かりやすいですね。ビジュアルも大事です。
近年ではテーマも大事ですがキャラクターがかなりの比重を占めるようになりました。
キャラクターによって生まれる物語はあってもテーマから生まれる物語は少なくなってきました。
これはキャラクターとテーマのどちらが良いかではなく流行のようなものだと思っています。流行の理由としては感想がいつでも自由に交換できるためだと思っています。
テーマは個人によって受ける印象が違います。これは1人で作品を読むときにはかなり大事です。作品と対面して作品と対話する。そして自分の感想を得て終わる。
しかし現在は違います。
多くの人と感想を語り合う機会があります。感想を語り合うときテーマについて話し合うと個人差が大きすぎて会話にならなかったり最悪喧嘩になります。これは感想のズレです。
キャラクターを語る場合はズレが少ないです。テーマと違って作品中で明確に文章で書かれているしイラストがあればズレはさらに小さくなります。お互いに全然違うことを話すより同じことを話したいのが人間です。コミュニケーションです。だからみんなと感想を共有するために重要なキャラクターは作品の要素としても比重が重くなるのです。
エンターテイメント小説ではテーマよりもキャラクターが大事だと言えるでしょう。
キャラクターを中心とした作品の完成度はキャラクターで8割方決まります。
テーマすらもキャラクターから派生して生まれるでしょう。
ゆえにテーマ性と完成度は関係性がありません。エンターテイメント小説におけるキャラクターはテーマよりも高い次元に燦然と輝く太陽です。良いキャラクターを思いつくことはキャラクターを生かす世界観を生むことになり、キャラクターを生かす展開を生み出し、キャラクターの在り方がテーマとなっていくでしょう。
あなたのキャラクターは作品世界を代弁します。それこそが完成度に繋がるのです。
以上。