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作品の完成度を高める方法  作者: 石宮鏡太郎
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第1話 完成度とは

これは初心者向けの完成度を高めるための方法論です。守破離で言うところの守に該当します。

守破離とは「最初は教えを守り、教えられたこと以上のことをできるようになり、最終的に教えから離れていく」ことです。

作品を書けるけれど内容が滅茶苦茶な人のための話です。


さて、題名にある作品の完成度とは何でしょうか?

作品を書いたとき、多くの人は完成度を高める前に完成したことにしてしまいます。

初心者にとって完成度を高める作業というのは非常に分かりづらく、しない人が多いように思います。

むしろ完成度を高めるための作業を行わないからこその初心者であり素人でもあります。

多くの場合、教えてくれる人がいなければ気づけません。

教えてもらうのが嫌いな人、教えてもらう機会に恵まれなかった人、理由は違えど結果としては同じです。


小説で大切なのは物語の骨格そのものです。その組立は大抵の場合は感覚的なものであり芸術的なものです。

ですが、その内容を伝えるためには技術的な要素も必要です。

技術的なレベルが低いままでは作品の完成度が必要なレベルに達しません。ですが安心してください。芸術的な部分は仕組みを伝えられない部分ですが、技術的な部分は仕組みを伝えることのできるものなのです。


話は逸れますが、わたしは小説が好きです。

小説は基本的に文章のみで伝えるメディアであるため非常に偏った情報伝達方法ですがそこが好きです。

子供の頃は本の内容が本質であって、紙媒体である本そのものは器であり大切にする対象ではありませんでした。

しかし多数の作品に触れるうち、物語の伝え方そのものに理論的な部分があり芸術的な部分との融合がなされている必要があるのではないかと思うようになりました。また、作品を読んだり書いたりしているうちに完成度について考える機会が多くなりました。


完成度とは過不足がどの程度あるかで大まかに知ることができます。

過不足は作品要素のバランスとは別物です。

作品内の要素が全体に対してどの程度の比率を占めているかがバランスです。

過不足は、作品として不要な内容が書かれていたり、作品として必要な内容が不足していることを言います。

少しくらいは許されますが過不足がひどいと許されません。感覚的な世界ですが初心者にとって一考する価値はあります。

具体例をあげます。


******************

例1 不足がある


あの人宇宙飛行士。

飛んでって帰ってこなかった。

涙がきらり頬を伝った。

******************


例1の内容は短すぎて意味が分かりませんが、実際にWEBに投稿されているような作品を思い出しながら概要だけを抜き出した文章です。

例1の内容に対して”書かれている要素を増やさずに加筆”してみましょう。どれだけ加筆しても登場している要素が少なすぎて苦しいと思います。読者は作者の提示した内容を受け取りますが、受け取る内容が少なすぎると理解不能になって本を閉じます。

問題点の整理をしましょう。答えはシンプルです。

読者に提示されている要素が不足しているのです。


次に、過不足の過を例としてあげます。

例1と比較するため内容は例1と同じとします。

内容が支離滅裂なのでじっくり読むと頭が痛くなりますから流し読みで結構です。


******************

例2 過剰である(今回は表現が滑っていることも含む)


私のここ数年でたった一人の恋人は素敵でいつも渋い顔をしているけどコーヒーが好きだ。ついでに宇宙飛行士で。

コロンビア産のコーヒー豆が好きだった私のここ数年でたった一人の恋人は宇宙飛行士としての任務でスペースシャトルに乗って大気圏の向こうの宇宙空間に飛んでいって帰ってこなかった。焙煎中のコーヒー豆は飛んでいかないけど私のここ数年でたった一人の恋人はそうでないらしい。

丸っこいけど三角形みたいな蠅がうるさく飛んでいる。叩き潰そうと思ったがやめた。丸っこいけど三角形みたいな蠅の見た目はコーヒー豆みたいで。でも私はコーヒー飲まないしコーヒー豆に興味はないけど。ていうかコーヒー豆に興味があるってどんな感じ?

コーヒーを飲む。ごくごく飲む。一気飲みする。最近は合コンで疲れているから飲み干せない。

私のここ数年でたった一人の恋人のことを考えながら私のここ数年でたった一人の恋人を失ったことに対する涙が鼻筋のほうには落ちずに頬のほうを流れていった。

******************


ツッコミどころが満載です。読みたくない!と思う人も多いかと思われます。

主な原因はいくつかありますが、全体として言えるのはどうでもいいことを書きすぎていること、表現を工夫しようとして失敗し滑った表現を大量生産しているところです。


例1と例2に共通するのは読者が「なんだこれ」と思うことです。

また表現にセンスがない、表現が上滑りしているというのは作者にとって重要な事実を伝えています。

表現が相手に伝わっていない、すなわち「表現が相手に伝わるかが検討されていない」のです。

ストーリーが作者の頭の中で完成していても、その完成した内容を誤解のないように伝えることができなければ小説としての完成度が低いと言えるでしょう。

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