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#8 未来に生きる人間たちにカップ焼きそばを作らせてみた ~ライトレイ編~

今回の作品は『ときえん』シリーズ(http://ncode.syosetu.com/s7141c/)より。


今回の登場人物

・ベネディクト

・ネロセレーヌ(通称・ネロ)

・サラ

・リリア

・ティー

・ユアン

・ロブ

 時は先ほど同じく、西暦3000年――――。


 自然豊かなところにライトレイのメンバーが集うログハウスがあった。


「ねぇ、見慣れないダンボール箱が届いたけど、誰か頼んだ人っている?」


 ティーがテーブルの上に置かれたその段ボールを指を指し、ロブとユアンに問いかける。

 しかし、彼らは「僕ではないですね」「俺でもないよ」と答え、リビングをあとにした。


「じゃあ、誰が頼んだんだろう……」

「やっと届いたね?」

「ベ、ベネディクトさん!?」


 彼女が頭を悩ませている時、ベネディクトが声をかけてきた。


「あぁ、コレは俺が頼んだんだよ」

「この箱の中身は何ですか? 見慣れない絵が描いてあるんですが……」

「コレは「カップ焼きそば」と言うんだ」

「「カップ焼きそば」? それは美味しいんですか?」

「さぁ……」


 例のダンボール箱を頼んだ主である彼がティーにその中身を教える。

 しかし、彼女はもちろんのこと、ベネディクトも「カップ焼きそば」の美味しさについては知らない。

 よって、その作り方はおそらく誰も知らないだろう(・・・・・・・)と思われる。


「ならば、試しに作ってみたらいいんじゃないですか?」

「そうだな。美味しいかはさておいて、モノは試しだからな!」


 彼はカッターナイフでダンボール箱を開け、それを1つ持ってキッチンへ向かう。

 ベネディクトを見送ったティーは呆れながら「はぁ……ベネディクトさんも忙しい人だなぁ……」と言いながらリビングから出て行った。



 ♪



「あれ? 作り方が書いてない……」


 台所に着いたベネディクトはフィルムで包まれているカップ焼きそばを剥がしていく。

 それは先ほどパンドラクロスのメンバーが作って食べたものと同じものだ。


「なるほど。蓋に描いてあるのか」


 彼は蓋を開け、その容器の中からかやくとソースふりかけが入った小袋を取り出す。


「お湯が必要なのか……あっ、かやく? も入れておかないとな……」


 ベネディクトは電子ケトルに水を入れて、湯を沸かし始めた。

 その間にかやくをサッと入れる。


「暑い……」

「冷たいものがほしいよね……」

「あれ? ベネディクトさん、こんなところで何やってるんですか?」


 サラとリリアがタオルで汗を拭きながら、キッチンにやってきた。


「「カップ焼きそば」というものを試しに作っている」

「「カップ焼きそば」?」

「さっき、ティーが話してたものじゃない?」


 ベネディクトがこう答えると、彼女らはコップに麦茶らしきものを注ぎながら、彼の話を聞いている。

 その間に電子ケトルから湯気が出てきたため、カップ焼きそばの容器に湯を注ぎ、タイマーを3分にセットした。

 リリアたちが給水を終え、使用したコップを洗っている時、ベネディクトはネロセレーヌにカップ焼きそばを買ったことを告げていなかったことに気がついた。


「ネ、ネロ以外(・・・・)はみんな知っているのか?」

「ハイ」

「いや、ネロ(師匠)も知ってますよ」

「みんな知ってるということではないかぁ!」


 彼はネロセレーヌ(彼女)に怒られる覚悟を決め、ちょうど鳴り始めたタイマーを止める。

 そして、湯切りとして少し浮いていた部分を立て、水を流しながら一気に湯を切った。


「まさか、みんな、俺が「カップ焼きそば」を作っていることを知っているとは知らなかったぞ!」


 ベネディクトは菜箸(さいばし)を使って麺とソースを思いっ切り混ぜ合わせる。


「まぁ、ティーがその段ボールを持ってこなかったら、ここまで騒ぎにならずに済んだのよね?」

「ネロか……」

「私の許可を得ずに何をこそこそしていたかと思いきや……」


 その場面はいつから聞いていたのかは分からないが、ネロセレーヌに聞かれていた。

 彼女は彼を睨みながら「キッチンで料理するとは思ってなかったわ!」と怒り始める。


「ご、ごめん。本当はどんな味がするんだろうと思って、買っただけだから。あとは武器の開発とかに使ってもいいだろうし……」

「私にも「カップ焼きそば」というものを分けてもらわないと許さないからね?」


 彼女はベネディクトの頬を指先で突っつきながら「冗談♪」と言いたそうにデレてきた。


「ハ、ハイ。1個しか作ってないから1人分の量は減ってしまうけど、みんなで……」

「なら決定ね。私の分もあるならば、安心」

「おい、ネロ! あとで俺の部屋にこい!」

「……ハーイ……」


 あれから7人で1つの「カップ焼きそば」を仲よく分け、その美味しさを全員で噛み締める。

 そして、「カップ焼きそば(それ)」は時代が変わっても愛されるものかもしれないと彼らは感じられたのかもしれない。


 なんやかんやでいろいろなことが起きたライトレイのベネディクトによる「カップ焼きそば」作り。

 彼はネロセレーヌにどのようなことをしたのかは誰も知らない――――。

2017/08/19 本投稿

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