表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/15

#12 カップ焼きそばでロシアンルーレット? (前編)

今回の作品は『私立白川大学付属高等学校生徒会シリーズ(http://ncode.syosetu.com/s2032c/)』及び『生徒会は闇組織でした。(https://ncode.syosetu.com/n3903dm/)』より。


吉川 修(きっかわ しゅう)

高橋 雄大(たかはし ゆうだい)

小笠原 達也(おがさわら たつや)

木沢 聡(きざわ さとし)

小笠原 鈴菜(おがさわら すずな)

木崎 政則(きさき まさのり)

 ここは私立白川大学付属高等学校の生徒会室。

 そこに4人の男子生徒が机の上に並べられた同じパッケージのカップ焼きそばが6個置いてある。

 彼らはそれを見て何かを(くわだ)てているようだ。


「1人だけ罰ゲームとして……」

「そうだね」

「誰が外れクジを作るかだよな」

「あと、誰が外れクジ(・・・・)を引くか分からないので、ハラハラしますよね」

「そこは鈴菜クンや修クンあたりに外れクジを引いてほしいのが俺の望みではあるが……」


 雄大がニヤニヤしながら自分の予想を言った瞬間、生徒会室の扉が開く。


「こんにちはー……って、なんで同じカップ焼きそばがたくさんあるんですか!?」


 そこにやってきたのはこの高校で唯一の1年生である修。

 彼は同じカップ焼きそばが並んでいるため、これから何が始まるのか分からないようだ。


「修クン。今からみんなでカップ焼きそば(それ)を作るのだが……」

「ところで、会長はカップ焼きそばで何をしたいんですか?」

「みんなで「ロシアンルーレット」をして生徒会役員の親睦を深めようではないか!」

「……なんというくだらないものを……」


 雄大が修にそのことを説明すると、真顔で軽く悪態をつく。

 聡が彼の肩をつんつんと突っつくと「吉川くんもそう思った?」と問いかけてきた。


「聡先輩もですか?」

「ボクも入学して高校生活に慣れてきた頃にやった時はそう思ったんだよー。食べ物でロシアンルーレットをやるのはこの生徒会の伝統だからやらなくちゃならないんだけどね……」

「それは毎年恒例のイベントですからね」

「うん」

「木崎はまた来年もあるだろう?」

「確かにありますが……」


 彼が修と話しているところを遮るかのように、政則と達也が会話に加わってくる。

 その時、「こんにちは」と鈴菜が生徒会室に入ってきた。


「もしかして、「ロシアンルーレット(例のアレ)」をやるんですか?」


 彼女が雄大にこう言うと、「ご名答」と返ってくる。

 さすがに2年生である鈴菜は修みたいに同じものがいくつもあったとしても驚かないようだ。


「だって、カップ焼きそばが人数分置いてあるので、普通にこれから何か始まるのが目に見えていますからね!」

「さすが鈴菜クン! さて、全員揃ったことだし、ロシアンルーレットを楽しむぞ!」

「「おーっ!」」


 私立白川大学付属高等学校生徒会役員によるカップ焼きそばでロシアンルーレットゲームが今幕を開ける――。



 *



 彼らは生徒会室にある備品の電子ケトルに水道水を入れ、給湯室で湯を沸かす。


「お湯が沸くまでに誰が外れクジを作るかをアミダくじで決めよう!」


 雄大はニヤニヤしながら、事前に作っておいたアミダくじを他の生徒会役員の前に置いた。

 彼らは1から6の書かれたところの上に名前を書き、最後の1枠は雄大の名前が記された。


「みんな選んだから、クジを引いていく! たとえ、外れクジを作るのが1年生や2年生に当たったとしても文句は言わないこと!」

「了解!」

「分かりました!」

「じゃあ、俺はこれから別室でアミダを辿ってくるから待っててほしい」

「「ハイ!」」


 彼は実験室のようなところに移動し、パイプ椅子に腰かける。


「どれにしようかな……3番からにしよう」


 彼は聡のアミダを辿っていく。

 次に達也、雄大、政則、鈴菜、修の順に――。


「今回、外れクジを作るのは……鈴菜クンか。って、鈴菜クン!?」


 その時、雄大は去年のことを思い出していた。

 昨年はシュークリームでロシアンルーレットを行い、その時も彼女がカスタードクリーム4割、辛子6割のシュークリームを作り、卒業した先輩と聡に食べさせて不敵な笑みを浮かべていたことを――。


「鈴菜クン、今回はどんなカップ焼きそばを作ってくれるのか楽しみだな……」


 彼はそのようなことを呟きながら、生徒会室に戻ると、修の姿がない。

 彼は給湯室におり、大量に開けられたカップ焼きそばの容器からソースとふりかけの袋を取り出し、かやくを入れていた。


「あっ、会長。外れクジを作る人は決まったんですか?」

「ああ、一応は……」


 彼は少しそわそわように雄大に問いかける。

 しかし、今の彼にとっては修に「鈴菜が外れクジを作る」ということを告げることができる状況ではなかった。

2017/11/08 本投稿

2017/11/11 「前書き欄」追記

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ