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~プロローグ~
『約束しようか』
春の優しく、柔らかな日差しに照らされて、彼女の表情は見えなかった。
しかし、口元に小さく浮かんだ笑みは、真っ直ぐ自分に向けられたものだ。
月の様に、キラキラ眩しい子だった。
『約束だ!』
春の温かく、心地よい風が頬に当たり、彼はくすぐったそうに笑った。
無邪気ながらも力強い笑みを浮かべ、右手の人差し指を差し出す。
太陽の様に、サンサンと輝く子だった。
広大な草原にそびえ立つ大木の下、二人は約束を交わした。
その誓いは、これから先・・・幾度となく、少年と少女を繋ぎ止める。
月日が流れ、二人が離れようと、二人に忘れ去られる日が来ようと、
〝約束〟を果たす、その時まで・・・。