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素直過ぎる坊やは子供

作者: 日暮栄光

「ほんとうにいたんだ」


 百年に一度の森の舞踏会。雲一つない満月の晩だけに人間の国と妖精の国との門が開く。この国の子供たちは、おじいさんやおばあさんから、みなその昔話を聞いて育つのでした。


 ちょうど、今日がその晩でした。

 お城はえっちらおっちらと、お天道様がにっこり笑う時間から、町中の男たちをまるでおそうじバキュームのように吸い込むのでした。

 お国の人はみな、子供のときに妖精をみたことがある。と口をそろえていいました。というのも、この国では妖精からふわふわの綿毛をもらい、頭に生やさなければ大人と認めてもらえなかったのです。

 けれど、妖精は百年に一度。祭りの晩にしか姿をあらわしません。国中の大人たちはみな、お城がつくるふんわりわたげ製造機から、ぽおんぽおんと吐き出される綿毛を買い、そして頭から生やすことで成人の儀式をすませているのでした。


 町のはずれに正直もので有名な、一人の木こりがおりました。その木こりは今年で御年七十でしたが、とても正直もので、尚且つとても頑固者でしたので、お城から出されるふんわりわたげを買うことはせず、わしゃあ、ほんものの妖精をみたことがある。とかたくなに申すものですから、未だに国のものからは大人として認められておりませんでした。

 そんな木こりには孫がひとりおりました。それは木こりによく似て、正直者で正義感の強い男の子でした。

 この男の子はたいそう素直な子だったので、百年に一度の妖精祭である今晩。大人になるために、そしておじいさんのおっしゃることが正しいことを国中の人たちに示すために、妖精の国へ旅に出る計画を立てていたのでした。

「おじいさん、ぼくは今晩妖精の国へいって、おじいさんの言うことがただしいと国中の人たちに知らしめてごらんにいれますよ」

 けれど、おじいさんは首を横にゆっくり振ってこういうのです。

「わたしの可愛いぼうや、どうかわたしを置いて妖精の国へ行くだなんて言わないでおくれ。おじいさんのところにずうっといておくれ」

 おじいさんは素直なぼうやがいなくなってしまわないか心配なのでした。

「ごめんなさいおじいさん、けれどぼくはすぐに帰ってきます。おじいさん、それではいってまいります」

 まっておくれ、というおじいさんの声を背にうけて、それでも坊やは旅立つのでした。

 ――まっていておくれ、おじいさん。ぼくが今におじいさんの言うことが正しいと証明してみせるよ。ぼうやの頭はそのことでいっぱいなのでした。


 坊やは身の丈ほどもあるリュックサックを背負い、国のはずれにある西の森へやってまいりました。

 国の妖精伝説では、西の森の一番深く、周りに一本の樹木もないお天道様の光が一番差し込む巨大樹の切り株が妖精の国への入り口と言い伝えられているのでした。

 坊やは意を決して西の森を進みます。人の立ち入った跡が一つもない、背の高い木ばかりが立ち並びお天道様の光が遮られて、だんだん薄暗くその森の蒼がよりいっそう深くかんじられた頃、坊やはとっても大きな石にごつん、とぶつかりました。

「わっ」

 坊やは驚いて尻餅をついてしまいます。ぶつかったはずの大きな石が、むく、むくむくっと大きく左右に動いたのです。

「やあ、こんなところに人間がいるだなんてめずらしい。それもまだ子供だ」

 石が意思をもって坊やに語りかけるのでした。

「石がしゃべった!」

「失礼なことをいう餓鬼だな、俺は熊だ」

「今度は月がしゃべった!」

 坊やがぶつかったのは石でも月でもなく、熊でした。石のようにからだが大きくごわごわした毛につつまれた頭が月の輪形に禿げあがったツキノワグマなのでした。

「だれが禿だ!」

「ごめん熊さん、意味がわからないよ」

 坊やはとても正直者なのでした。とても正直者でしたので、熊さんが必死に頭をおさえてかくしながら昼寝していたことに、気づけなかったのでした。

「ま、まあいい。ところでぼうや、坊やは森のこんなに深いところまで何しにきたんだい」

 ツキノワグマあらため月の輪禿さんは坊やに問いました。

「ぼくはこの森に一番深いところにある切り株から妖精の国へいって、妖精さんからふわふわの綿毛をもらってくるんだ」

 坊やは元気いっぱいに、夏の日のお天道様みたいな笑顔をかわいらしい顔いっぱいに浮かべて熊さんにそう答えます。

「なに、妖精だって? そうか、今日は百年に一度のお祭りか。しかし、それにしたって妖精に会いにゆくだなんて、ようせい」

 熊さんはぼうやの話を聞くなり、ようせい、ようせい、とぶつぶつ呟くのでした。それはもう、恋敵の名前を口にするアラサー女性のように――。

「あ、あいつら妖精。俺が気持ちよくいつものようにお気に入りのひんやり冷たい石を枕にぐっすり昼寝をしているあいだに。お、俺の自慢の剛毛を、ぷちぷち、ぷちぷちって! まるでお中元でもらう割れ物注意の段ボールから緩衝材のプチプチをとりだしてプチプチプチプチ潰す子供みたいにプチプチプチプチ抜きやがって! こんなきれいな月の輪型に芝刈り機たずさえた近所のおっちゃんみたいな技術で禿げ整えてしてくれやがって! くっそおおおおおおおおお!」

 熊さんはその大きな図体を大きくふるわせて、頭をかかえて地面に突っ伏そうとして、誤って本物の石に頭をおもいっきりぶつけて「痛ってええええええ!」と絶叫するのでした。

 とても素直な坊やは、熊さんが何言ってるのかまったくわかりませんでしたが、とりあえずこの禿うっせえな、とおもうのでした。

 触らぬ神に祟りなし、気を失った禿をそのまま置き去りにして、坊やはさらに森の深いところまですすみます。

「やあ、人間のぼうや。こんな森の深いところまで何しにきたんだい」

 お天道様の光も差し込まない森の深く。薄暗い森の中でわずかに木々の合間からさすわずかな淡い光を頼りに歩いていると、またどこからともなく声がするのでした。

「だれだい、どこにいるの」

坊やは尋ねました。

「ここだよ、ここ」

 声の主はそういうのでしたが、ここだよここ。ではどこだかまったく坊やにはわかりませんでした。

「ここ……っていうのはいったいぜんたいどこなんだい?」

 素直な坊やは正直にそう訊きます。

「上をみてごらん」

 声の主はおもしろくなさそうに、しかしちゃんと答えました。

「わあ!」

「どうだどうだ、驚いたろう」

 坊やは上を見上げると、そこにはとてもとても黒くて大きい。そして凍えるほど美しいなにかが、木の枝に作られた玉座に鎮座しているのでした。

「おっきい松ぼっくりだ」

「違うわい、失礼な餓鬼だな。わたしはこの森の主、ミミズクであるぞ」

 木の枝でできた玉座に鎮座したミミズクはふんぞり返ってそう言うのでした。

「ミミズク?」

 坊やはそれまでミミズクを見たことはありませんでしたから、ミミズクがなにを言っているのかわかりませんでした。

「まあ、そのような反応も無理はない。なにせここ最近の人間ときたら森の住人たちへの献上品もろくによこさぬようになった」

 まあ、よい。ミミズクは低い声でつぶやきます。

「こうして生贄をよこしてきたのだからな」

 ぼおうぼおうとミミズクのくぐもった声があたりに響くや否や、木の陰からいくつもの黒い影がバッと飛び出し坊やに襲い掛かりました。

「いたい、いたいっ!」

 坊やは両手両足をバタバタ振り回して襲い掛かってきた影を打ちました。

「なにをするんだ!」

 ミミズクはその真っ黒な容貌に似つかわしくない甲高い悲鳴をあげました。

「なにをするんだ、とはなんだ! そう言いたいのはぼくのほうだ!」

 素直な坊やは素直に怒りをあらわにしてそう叫びます。

「なにをするんだって……だっておまえは生贄になるために、こんな森の深いところまでやってきたのだろう?」

 ミミズクは心底不思議、といった様子で首を百八十度傾げ答えます。

「だれが生贄になるためにこんな森の深いところまでやってきただって? 僕は生贄なんかになるためじゃなく妖精の国へいくためにこんな森の深いところまでやってきたんだい」

 坊やはミミズクが思わずびっくりしてその立派な玉座から滑り落ち、地面に頭からめりこむくらい大きな声で答えます。

 もごもごもご、ミミズクは地面にめり込んだままなにやら言っております。しかし坊やは聞く耳をもちません。

「お父さん、お父さん」

 坊やを襲っていた謎の陰がそう叫ぶと地面にめり込んでいるミミズクのところに駆け寄っていきます。

 じっと目を凝らしてみると、正体のわからなかった謎の陰は一回り小さなミミズクなのでした。きっと哀れなめり込みミミズクの子供なのでしょう。目蓋に光るものを浮かべながらお父さん、お父さんと繰り返しています。

小さなミミズクたちは必死に地面から引き抜こうとしますが、ミミズクには手がないので羽がお父さんミミズクの身体を滑るだけでした。

 可哀想に思った坊やは、しばし襲われたことに対する怒りを抑えて手伝ってやるのでした。

「ごほん、ごほん。いやあ、助かった礼を言おう」

 ミミズクは身体についた土を払いながら、ありがとうと言うのでした。思いの外話のわかる鳥のようです。森の主と称するだけあって裏庭で買っていた鶏とはやはり違います。

「それでなんだったかな。生贄になるためにきたのではないと」

「そうだよ。ぼくは妖精に会いに妖精の国へいくんだ」

 坊やは今度こそミミズクの綺麗なオリーブの瞳を見つめて言います。

「そうかそうか。妖精に……」

 ミミズクは『妖精』と聞いた瞬間にびくっと身体を震わせて激しく地団太踏むのでした。

「妖精……そうか妖精か、妖精。あいつらさえいなければ俺がこの森の支配者なのに、あいつら今日になって急にあらわれてきやがって、あいつらさえいなければ俺たちの生活ももっと楽に……」

 ミミズクはぶつぶつと何やらよくわからないことを並べ立てます。きっと性根は根暗なのでしょう。かわいそうに……。

 坊やは俯いたままぶつぶつとお経を唱え続けるミミズクをやさしい目をして見下ろすのでした。

「それじゃあ僕はこれで」

 坊やはそれだけ言ってミミズクのおや子の脇を通り過ぎ手を振ってやります。

「待て、小僧」

 急にもう威厳もくそもないのに小僧とか言い出したミミズクは続けていいます。

「本当にいくのか」

 坊やはいまさら何を言っているのか、と思いましたが仕方ありません。このミミズクがくどいのは先程からの会話でもうわかっています。

「行きますよ、もちろん。だって、そのためにぼくはここまできたのだから」

 坊やがはっきり言ってやりますと、そうか、ならば止めはしない。その声だけが聞こえいつの間にかミミズクの姿は森の暗闇の中に沈んでいるのでした。


「わあ、きれい」

 ぱっとそれまで続いていた木々たちがいなくなり、円形状の開けた草原にお天道様のあたたかな光が目一杯差し込んでいます。

 そよ風になびく芝生は踊るように楽し気で、周りを囲む背の高い木々たちもその長い枝を振って歓迎してくれています。

 その中心、一番光が集まる場所にそれはありました。

 坊やの背丈より二回りも、いやそれ以上大きな切り株です。

よほど大きな木が立っていたのでしょう。切り株となった今でもその長く太い根はどこまで続いているのかわからないほど森の奥へと伸び続けており、突き出した枝も天を見据えてその葉を揺らしております。 

「やあ、待ってましたよ」

 坊やがその神秘的な風景に魅入られているとどこからともなくまた声が聞こえました。

「こっちこっち」

 坊やは声の聞こえる方向へ目線を走らせると、しかしそこには何もいないのです。

「どこだい」

 坊やは問います。

「こっちだよこっち。お前の足元さ」

 坊やは自分の足元を見て驚きました。

 そこには坊やの小さな掌よりもさらに小さな人間がいたのです。

「わあ、君は小人かい?」

 坊やはまた尋ねました。

「いいや、僕は妖精さ。君は僕らに会いにきたんだろう?」

 言われてみれば、たしかに小さな小人の背中からは二枚の立派な羽が生えております。

 坊やはその羽を認めて、顔いっぱいにひまわりのような満面の笑顔を浮かべました。

「君が妖精なんだ、ほんとうにいたんだ! わあ、そうだよ。僕は君たちに会うためにここまできたんだ!」

 坊やはとてもとても嬉しくなって飛んで回ってはしゃぎました。

「そうかい、そうかい。そんなに嬉しいかい。しかし、こんな幼い子供がくるとは僕も思わなかったよ。それにもう日が真上にあるよ、もうお昼だね。こんな時間になったのに君のような子供が一番ノリとはどういったことだろう……」

 坊やは不思議なことを言う妖精を無視して、喜び勇んで話しかけます。

「そうだ、すっかり忘れていた。僕はふわふわの綿毛をもらいにきたんだった」

 どこで綿毛はもらえるの? 坊やは妖精にそう尋ねると、妖精はしばし腕を組んで思案したあと、ゆっくりと話し始めました。

「うん、まあいいだろう。なんにしても君が今回最初のお客様だ、丁重にもてなさせていただくよ。さあ、こっちへ」

 お客様? 坊やはまたよくわからない言葉を不思議に思いながらも妖精が指し示す切り株の上に乗りました。

「さあ、妖精の国へ。一名様ごあんなーい!」

 妖精さんが声高らかにそう叫ぶと、あたりは白くあたたかな光に包まれ、坊やの視界は瞬く間にその光の粒たちに埋め尽くされるのでした。


 視界が晴れ渡って、坊やは思わず閉じていた目を見開きました。眼に移った光景に思わず坊やは感嘆の声をあげました。

「わあ、すごい!」

 坊やはぴょんぴゅん跳ねまわって、いつの間にか隣に立っていた先ほどの妖精に話しかけます。

「ここが妖精の国なの!」

 妖精も嬉しそうにひとつ頷いて、

「そうだよ、ここが僕たち妖精が暮らす妖精の国さ」

 大きなキノコのお家に朝露の川、葉っぱの小舟にてんとう虫のタクシー。

 ふわふわ綿毛は妖精の長老様からもらうんだ。そう言う妖精は長老様のお屋敷へと案内する傍ら、坊やに妖精の国をそれはもう嬉しそうに紹介するのでした。

 坊やも妖精が話す一言一言がとても新鮮でとても魅力的で幻想的な妖精の国の景色も相まって頬を紅潮させて話に聞き入るのでした。

「長老様! 長老様!」

 長老様の邸宅へ着きました。そこは大きなどんぐりの家なのでした。

 妖精はドンドンと強く扉を叩いて中にいるであろう長老様に呼びかけます。

「今回初のお客様です。長老様、長老様!」

 中々反応のない長老宅の扉をゴンゴンあまりにも強く打つ鳴らすので、坊やはちょっぴり不安になりました。

「ええい、なんじゃうるさい。まだ昼間じゃろ」

 閉まっていた扉が急に開いて、前かがみになっていたであろう妖精さんはつんのめって地面に頭から突っ込みました。なむさん。

「おおう、人間の子供じゃな。ポポルはどうした」

 たぶん、この人が長老様なんだろうな。と坊やは思いましたが坊やの気持ちは全力でその事実を否定したくてたまりませんでした。

 パジャマ姿で無精ひげ、あたまは寝癖ぼうぼうで一分に一回はきっちり欠伸をこさえている。そんな一応背中からあまり綺麗な色ではない羽だけ生やしている中年おやじが、妖精の国の長老だなんて認めたくはありませんでした。

「長老様、下です。下。踏んでます」

 そんな中年妖精長老に哀れに踏まれたままジタバタしている妖精、どうやら名前はポポルというであろう親切な案内人の妖精は消え入りそうなか細い声で自分の存在を主張しています。なんとまあ、やはり哀れなことで。

「おおう、すまんかったなポポル」

 長老はさほどすまないとは思っていなそうにそう言うと足をどけて今度は坊やと向き合います。

「まあ、なんだ。入れ。お茶くらいはこやつが出すのでの」

 喋り方だけ嫌に長老臭い中年はそれだけ言って部屋の中へ入っていきました。坊やも、もうなんだかぐだっぐだだなと思いつつ、しかたなく、長老についていきます。なにかやわらかいものを踏んでぷぎゃぷぎゃという可愛らしい悲鳴を聞いたような気がしましたが気にしないことにしました。


「で、おぬしはこれを取りにきたのだろう」

 長老が差し出したものはまさしく求めていたふわふわ綿毛。坊やは本当にほしいものを前に歓喜します。

「ありがとうございます!」

「待てえい」

 坊やはありがたく長老の手にあるブツを頂戴しようとすると、長老は勢いよく手を引っ込めてしまうのでした。

「どうしたんですか」

「そちらこそどうしたんじゃ」

 話がいまいち嚙みあいません。

「長老、それをくださるんじゃないんですか」

「おう、あげるとも」

 やはり話が見えません。

「じゃがな、その前に渡すものがあるであろう?」

 長老はヒゲをいじりながらそんなことを言います。歳をとって中年のくせにもう呆けてしまったのでしょうか。

「渡す者なんかありませんよ」

「なんと、ではおぬしはなにっも持たずにここまで来たということか!」

「そうですけど」

 長老は気味の悪い変な顔のまま固まってしまいました。なんだというのでしょう。

「ポポル!」

 長老は厳しい声で床に這いつくばる哀れな妖精を呼びます。

「はい」

 返事とともにやっとこさ身を起こしたポポルは身体についた土を払ってひょうひょうとしていました。

「これはどういうことじゃ」

「さあ、どういうことでしょう」

 一向に話は進みません。さすがお役所仕事です。

「おい。坊主」

「いえ、僕は長髪です」

「そういうことじゃないんだよ」

 首をげんなり下げつつ長老は話し出しました。

「坊主よ、大人になるとはどういうことかわかるじゃろ」

 いったいなんのことでしょう。

「大人になればな税金を払わねばならぬ、おぬしがここまで来るのにあってきた熊もミミズクもちゃんと税金を納めておるのじゃ、じゃからのおぬしがこのふわふわ綿毛を得ようというのなら、おぬしも払わにゃならんのじゃ」

 一気にまくし立てて話す長老の話を聞いて坊やは思いました。ああそうか、おじいさんはだから大人にならなかったんだな、と。

「いいえ結構です」

「え、いやちょ」

 後ろでなにか言っている長老を無視して、坊やはもときた道を引き返してゆくのでした。


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